衛宮士郎は英雄と成る【ゆゆゆ編完結】   作:読者その1

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そう言えば、今日って何気に13日の金曜日ですね……

ー追記ー
あるシーンに文章を追加しました。


第14話 決着

【3】

 

 

 士郎、友奈、美森を乗せた宇宙戦艦ナガト(美森命名。最初は大和と名付けようとしたが、士郎に止められた)が成層圏を超えた頃、士郎は自身が出せる最強の攻撃の準備に入った。

 

投影開始(トレース・オン)

 

 そんな士郎を邪魔立てするかの如く、御魂が無数の火球で攻撃を仕掛けて来た。

 

「「なっ!?」」

「御魂が攻撃してきてるの!?」

「ええ、恐らくは先輩の力に反応して……でも、先輩の邪魔はさせない。地上にも落とさせない」

 

 そう言って、砲塔を上下左右に動かして火球を迎撃する美森。士郎は美森を信じ、投影に集中する。

 

「創造の理念を鑑定し、基本となる骨子を想定しーー」

 

 その剣は人々の願いから、星の内部で結晶・精製された神造兵装であり、最強の幻想(ラスト・ファンタズム)

 

「構成された材質を複製し、制作に及ぶ技術を模倣しーー」

 

 至高の聖剣と言えるそれは、本来士郎では投影できる代物では無かった。

 

「成長に至る経験に共感し、蓄積された年月を再現しーー」

 

 然し、士郎は満開を通じて神樹の力……神の力を受け取り……

 

「あらゆる工程を凌駕し尽くしーー」

 

 結果として、本来投影不可能な神造兵器を一度だけ、完璧に投影する事を可能とした。

 

「此処に、幻想を結び剣と成す!」

 

 友奈はその剣に目を奪われていた。美森もこんな状況でなければ、友奈と同じ様にその()()()()()()に目を奪われていた事だろう。

 士郎は一度、深く息を吸って吐いて、黄金の剣を掲げた。すると、黄金の剣の周りに光の粒が集まっていく。

 だが、これだけでは駄目だ。まだ、この聖剣の力を十全に発揮するには至らない。

 

十三拘束解放(シール・サーティーン)――円卓議決開始(ディシジョン・スタート)

 

 あの御魂を破壊するには、この聖剣に掛けられた拘束を解かなければならない。

 

「一つ、共に戦う者は勇者である」

 

 ガヴェイン承認。

 

「一つ、敵は心の善い者ではない」

 

 ガレス承認。

 

「一つ、この戦いは誉れ高き戦いである」

 

 トリスタン承認。

 

「一つ、これは、生きるための戦いである」

 

 ケイ承認。

 

「一つ、敵は、己より強大な者との戦いである」

 

 ベディヴィエール承認。

 

「一つ、我は、人道に背かぬ」

 

 ガヘリス承認。

 そして、ガチョン! ガチョンと拘束が解除され、聖剣の輝きが増す。

 

「一つ、あれは、精霊ではない」

 

 ランスロットーー否認。

 

(ちっ、バーテックスは精霊の扱いか、あれの何処が精霊なのやら……)

 

 士郎は心の中で舌打つが、拘束の解除を続ける。

 

「一つ、あれは、邪悪である」

 

 モードレッド承認。

 

「一つ、この身に、私欲は無い」

 

 ギャラハッド承認。

 

「一つ、これは世界を救う戦いである」

 

 アーサー承認。

 バキンと十三の拘束の内、九つの拘束が外れ、聖剣は強大な光を放つーー時は満ちた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

約束された(エクス)ーー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 士郎は輝きがピークに達した聖剣を、強く握りしめ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

勝利の剣(カリバー)!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 御魂に向かって振り下ろした。すると、黄金の剣から光の奔流が放たれ、御魂を飲み込んだ。

 その光は地上にいる風、樹、夏凛もしっかりと目に捉え、その光の正体が士郎によって繰り出された物なのだろうと、皆が確信していた。

 そして、その光景を間近で見ていた友奈と美森は息を飲んでいた。

 

「す、凄い……」

「ええ、本当に……まるで戦艦大和の一斉射。これならきっと」

「その褒め方は、よく分からないけど、取り敢えずありがとうと返しておくよ」

 

 でも、と士郎は御魂を見て呟いた。

 士郎に釣られて、友奈と美森も士郎の視線の先を見る。すると、二人の目には大部分を溶解炉の中に付け込まれた様にドロドロに溶かしながらも尚、辛うじて黄金の奔流に耐えた御魂の姿が映った。

 

「「……嘘」」

 

 友奈と美森は驚愕で目を見開いき、士郎は上がった息を整えると、深く吸った息を吐いた。

 

「全く、俺が持ち得る中でも、最強の攻撃だったんだけどな。完全破壊には至らなかった様だ……」

 

 そう呟くと士郎の満開が解け、何時もの赤い外装の服装に戻った。そして士郎の体は一気に脱力し、崩れるように座り込んだ。

 

「美森、あれを破壊出来るか?」

 

 士郎の問いに、美森は首を横に振って答える。

 

「すいません。もう余力は殆ど残ってないです」

「俺も同じ様な物だな。エクスカリバーはもう使えない。宝具も使えて一回だな……って事は」

「私の出番ですね!」

「ああ、結果的に友奈を連れて来たのは、正解だったな……行ってこい、友奈」

「はい!」

 

 士郎の言葉に力一杯に返事を返すと、友奈は軽いストレッチを始めた。

 

「見てて!シロー先輩!東郷さん!」

「ああ、トドメは任せた友奈」

「頑張って」

 

 士郎と美森の激励を受けて、友奈は跳び立った。そして……

 

「満開!」

 

 宇宙に巨大な一輪のヤマザクラが咲き誇った。その花は、暗い宇宙空間で咲き誇ったからだろうか、士郎と美森の目には、今まで目にした満開の中で、最も美しく、そして神々しく見えた。

 満開によって、友奈の背後なリングと、その左右には巨大なアームが現れた。

 

「全ての力を、この一撃に込める!」

 

 友奈はそう叫び、満開の力を全て右のアームに注ぎ込む。左のアームは光の粒となって消え、その光の粒は右のアームに集結して行き、巨大なアームは、更にふた回り大きなアームとなった。

 そして友奈は右手を引き絞る。それに連動して、アームも友奈と同じ動きをする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

究極勇者の(アルティメット・ブレーブ)ーー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 友奈もまた、意味も無い必殺技を叫ぶ……いや、友奈の場合は元からだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鉄拳(パァァァァァンチ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 友奈の拳は、死に体だった御魂に深く突き刺さり、拡散した。

 そして、友奈が戦いが終わった事にホッと安堵の息を吐いた直後、友奈の満開が解け、地球の引力に引かれて自由落下を始めた。

 空かさず、友奈の落下地点に最後の力を振り絞り、船を動かした美森。落下してきた友奈をキャッチする士郎。そして美森の満開が解けて同時に船も消える。

 三人は地球の引力に引かれ、地球に落下して行く。このままだと、三人は成層圏で焼け死んでしまう。故に士郎は、残った力を振り絞り、花を咲かせる。

 

熾天覆う七つの円環(ロー・アイアス)

 

()()()()()()()()()()()()は三人を包み込み、そのまま成層圏へと突入した。

 

「……悪いな、二人共。耐えられるか分からない」

「謝らないで下さい。シロー先輩」

「そうです。それに、もし駄目でも三人なら怖くないです……」

「そうか」

 

 そんな話をした直後、成層圏に突入する。

 

「ぐっ!」

 

 早速、三枚のアイアスが溶ける様に消える。更に三枚が同じ様に溶ける様に消える。

 

「残り一枚。これじゃ、確実に耐えられない……」

 

 いや、と士郎はそんな考えは捨てた。

 

「耐えてみせる!絶対に!」

 

 士郎は()()()()()()()()()()()()()()()を翳しながら、雄叫びを上げる士郎。()()()()()()()()()()()()()()()()()()!そんな思いが、士郎に奇跡を起こさせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 再び咲き誇る満開の花。

 その花の名を……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

咲き誇れ、七つの神盾(ロー・アイアス)!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 最初に展開したアイアス。その最後の一枚が消える寸前、士郎は再び満開を発動させた。それは満開時の装備へと変わる事はなく、その力の全てを自分達を守るアイアスへ注ぎ込んだ。

 結果、そのアイアスは神聖で、より強硬な盾へと昇華し、その一枚一枚は完成されたアイアスと同等以上の防御力を誇る。つまり、最低でも完成型アイアス七つ分、古の城壁四十九枚分の防御力を誇る物へと変わった。

 士郎の満開ゲージは確かに溜まっていた。だが、それを使う体力は残っていなかった。限界を越えた先に咲いた花。それは成層圏の間で六枚の花を散らせつつも、何とか成層圏を突破するまで耐え抜いた。だが……

 

(地面との衝突に耐えられるか?)

 

 士郎の疑問に答えるなら、否である。

 アイアスは既に限界を迎えている。成層圏を突破出来ただけでも奇跡の域を超えている。もう一度満開を使う余力は残っていない。

 最後のアイアスは消えかかっている。地面に衝突する衝撃を和らげる事は出来るかも知れないが、それでも普通なら死を免れない。

 

(友奈と美森なら、精霊バリアで耐えられるかも知れない。けど俺は……)

 

 士郎は気を失った友奈と美森を見て、一言謝った。

 

「ごめんな。約束、守れないや。けど、せめて二人だけは……」

 

 士郎は覚悟を決めた。自分のこの命、その全てを使い果たしてでも、この消え掛かったアイアスを維持すると。

 

 

【3】

 

 

「止まれ!」

 

 一方の地上では、落下してくる士郎、友奈、美森の三人を受け止める為、樹がワイヤーで作った網が張り巡らせていた。

 風と夏凛はその様子を眺める事しか出来ない悔しさに奥歯を噛み締め、拳を強く握りながらも、落下してくる三人の無事を祈っていた。

 

「止まれ!」

 

 張り巡らせた網が容易く破られる。

 

「止まれ止まれ!」

 

 更に樹は二つ、三つ、四つと網を網を張るが、全て貫通する。

 

「止まれ!止まれ!止まれ!止まれ!止まれぇぇぇぇぇ!」

 

 無我夢中で網を作り続ける樹。もう、士郎達が地面に衝突するまで時間が無い。

 

「止まれぇぇぇぇぇ!」

「止まりなさいぃぃぃぃぃ!」

 

 樹の直ぐ側で、行く末を見守っていた風と夏凛も叫ぶ。樹は出せる全ての力を使い、隙間の無い網を作る。

 

「ミリオンズ・ネット!」

 

 樹がそう名付けた網と、士郎が展開したアイアスがぶつかった。ブチブチと音を立てながら切れるワイヤー。それでも樹は諦めず、ワイヤーに力を流し込む。

 そして徐々に減速するアイアス。漸く手応えを感じた樹は、更に気合を入れる。

 

「はぁぁぁぁぁ!」

「くっ!」

「風!?」

 

 そんな樹を援護するかの如く、風は士郎達が落下するであろう場所に立ち、巨大化させた巨剣を振ってアイアスに突風を放つ。それも一度ではなく、二度、三度と団扇を仰ぐ様に何度も何度も剣を振る。

 

「止まりなさぁぁぁぁぁぁい!」

 

 その行為に意味があったのかは不明だが、アイアスは地上数メートルの地点で停止した。

 止まったアイアスを見て、安堵する樹、風、夏凛。

 

「もう、立つ力も、残って……ないわ」

 

 風はその言葉を最後に、その場に倒れ伏し、変身が解けた。

 

「やりました……」

「ええ、良くやったわ樹。アンタの根性、ナイスよ!」

「えへへ、サプリ……決めとけば良かった……です」

 

 樹もそう言い残して、変身が解けて気を失い倒れた。同時に樹が作ったワイヤーも消え去ったが、もう必要無いだろう。

 樹が地面に倒れる前に夏凛が受け止める。

 

「……お疲れ様、樹」

 

 夏凛はそう言って、気を失った樹をゆっくりと地面に寝かせると、士郎達の方は駆け寄って行った。

 夏凛が士郎達の元に到着した頃、士郎が気合で維持していたアイアスは花吹雪の様に消え去り、後には気を失った士郎、友奈、美森が残った。

 

「衛宮!友奈!東郷!三人共、しっかりして!」

「「「……………」」」

 

 夏凛の呼び掛け返事は無く。沈黙が流れる。

 脳裏に一瞬、死という文字が浮かび、目尻に涙を溜めるながら、再度三人の名前を呼ぶ。

 

「衛宮!友奈!東郷!」

「「「……………」」」

 

 再度の沈黙。

 

「……嘘よね。だって約束したもの……約束は守る物よ……ねぇ、起きてよ……ねえってば……」

 

 夏凛の涙腺が崩壊する。その直前に漸く返事が返って来た。

 

「う、うぅぅ……ああ、何とか、生きてるよ」

「え、衛宮!」

「わ、私も……なんとか……」

「友奈!」

「帰って……来られたの?」

「東郷!」

 

 最初に意識を取り戻した士郎を皮切りに、友奈と美森も意識を取り戻した。そんな三人に夏凛は、目尻に溜まった涙を拭って文句を言った。

 

「何なのよ、もう……速く返事しなさいよ。心配させんじゃないわよ……」

 

 長い様で短い。この場にいる勇者部以外、誰も知らない戦いが終わった。

 樹海化が解け、現実世界へと戻って行く。

 元の世界では誰も五人の少女と、一人の少年が世界を守る為に戦った事を知らない。

 けれど、此処の六人は覚えている。この戦いを、世界の命運を賭けた戦いに勝利したこの日の事を、決して忘れはしない。

 

「三好夏凛です。バーテックスとの交戦終了。負傷者五名。至急、医療班の手配をお願いします。尚、今回の交戦により、残る七体のバーテックス全てを殲滅しました!私達、讃州中学勇者部一同が!」

 

 現実世界に戻り、大赦に連絡した夏凛は、誇らしく宣言した。人類は勝利したのだと……

 

 

 

 

 

 

 




衛宮士郎は英雄と成る。完結。
ご愛読ありがとうございました。























嘘です。続きます。

ー追記ー
今回のエクスカリバー使用の際、はっきり言って、この話を書いた当初は十三の拘束の存在を知らなかったんですよね(苦笑い)
そして知った後もチェックの際に見落として、十三の拘束の設定を忘れてたんですよね。
自分としてはエクスカリバーは投影品だから十三の拘束無いって設定にするつもりですけど、皆さん的にはどうですか?

ー追記2ー
アンケートの結果、十三の拘束解放の描写を追加しました。
作者自身としては、十三の拘束についてよく理解している訳ではないので、違和感を感じられる方もいらっしゃるかも知れませんが、そこはご容赦ください。
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