衛宮士郎は英雄と成る【ゆゆゆ編完結】   作:読者その1

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よし、前回投稿が27日だから、3日ぶりの投稿だな(白目)


第三話 合同訓練

【2】

 

 バーテックスとの戦いが始まって数日後。

 予定より早いバーテックスの襲来というイレギュラーにより、大赦はエミヤからの要請もあって、本来なら来週に予定されていた合同訓練と、その二週間後に予定されていた合宿を前倒しにして行う事を決定した。

 だが、その合宿は連休を利用した三日間の合宿ではなく、次の戦いが予想される、二週間程の期間を利用した長期合宿である。

 その間、須美、園子、銀の三人は神樹館小学校を公欠し、勉強も大赦に所属する教員による個別指導が行われる手筈になっている。

 大赦が行える、最大限のバックアップを受けて今日。二週間に渡る長期合宿が始まろうとしていた。

 

「貴方達勇者の御役目が本格的に始まった事により、私達大赦は、貴方達を全面的にバックアップします。家族の事、学校の事は気にせず。頑張って」

 

 現在、エミヤ達は大赦が有するリゾート地の浜辺に集合しており、勇者達三人は担任であり、大赦に所属する安芸に激励の言葉を受けていた。

 

「「「はい!」」」

 

 自信で満ち溢れた表情で応えた三人に、安芸は三人の勇者を誇らしく感じるのと同時に、大人である自分達が戦えない事への歯痒さと、無力さを感じた。

 自分達に出来る事は、勇者達の無事を祈る事のみ。安芸はエミヤに深々と頭を下げた。

 

「守護者様。どうか、この子達の事をお願い致します」

 

 それは一見、端的で社交辞令と言える言葉だった。

 しかし、その声、その言葉には、本気で三人の勇者(せいと)を想う気持ちが宿っていた。

 そんな安芸にエミヤは一言。

 

「任せたまえ」

 

 そう言って須美、園子、銀の三人を見つめた。

 

「さて、こうやって頼み込まれた以上。生半可な鍛え方は出来ない。覚悟は良いか?」

 

 エミヤの問い掛けに三人は先程よりも大きく、力強い声で答えた。

 三人もまた、安芸の想いを感じ取り、より一層、闘志を燃やしたのだ。

 

「「「はい!」」」

「うむ。あれが見えるか?」

 

 三人の反応に静かに頷いたエミヤは、浜辺から凡そ二キロ離れた先に位置する展望台を指差した。

 

「ルールは簡単。あの展望台にまで三ノ輪を送り届けろ」

「え?それだけ……ですか?」

「思ったより、簡単そう?」

「二キロぐらい走れるだけだしな。勇者の身体能力なら直ぐだな」

 

 想像よりもずっと簡単そうな鍛錬内容に三人は戸惑い、拍子抜けとばかりに肩を竦める。

 無論。そんな簡単な物ではない。

 

「勿論。そんな単純な話ではない。あの展望台には私が待機し、君達を狙撃で妨害する」

「狙撃!?」

「あ、危なくないですか?」

「何言ってるのよ。守護者様の弓の腕なら、私達に命中させずに妨害する事朝飯前だわ……ですよね?」

「ああ、勿論だとも。尤も、誤って命中させてしまうかも知れんが」

「っ!?」

 

 冗談混じりに言ったエミヤの言葉に、三人は体を矢で貫かれる場面を想像して硬直した。側で待機していた安芸も三人と同じ想像をし、何か言いたげな表情でエミヤを見つめた。

 そんな四人の反応を見て、エミヤはやれやれと呟き、あるボールを取り出した。

 

「流石に弓矢は使わない。私が使うのはこれだ」

「バレーボール?」

「そんなんで、妨害なんて出来るんですか?」

「ああ、これなら当たっても痛くないだろう?」

「それは確かに……」

「とは言え、これは訓練だ。このボールをバーテックスの攻撃に見立てて、対処しろ。ボールが直撃すれば行動不能判定とし、その者は脱落。三人全員が脱落すれば一からやり直しだ。制限時間は特に無し。三ノ輪が展望台に到達するか、私がこれ以上の鍛錬は続行不可能と判断すれば終了だ。何か質問は?」

 

 エミヤの問いに、三人は一度顔を見合わせて頷く。

 

「「「ありません」」」

「ならば良し。準備が整えば安芸担任に知らせたまえ。安芸担任の笛の音が開始の合図だ」

 

 そう言い残し、エミヤはその場から消え去った。比喩や誇張ではなく、文字通りの意味で消えた。

 

「消えた!?」

「わお〜。イリュージョン〜」

「これが霊体化ね。話には聞いていたけど、未だに信じられないわ。人が消えるなんて」

 

 初めて目にした霊体化に勇者組の三人は驚愕し、安芸も三人程ではないが、目を見開いていた。

 

「はいはい。百聞は一見に如かず。初めて目にする霊体化に驚く気持ちは分かるけど、鍛錬に集中して」

 

 手を叩きながら注意を促す安芸に、須美ははっと気を取り直して表情を引き締めた。

 

「そうよ。乃木さん。三ノ輪さん。集中しないと!」

「須美は真面目だな〜。ま、言ってる事は正しいけど」

「鍛錬頑張ろ〜!」

 

 安芸と須美の言葉に、武器を構えて展望台を見つめる銀と園子。その様子に安芸は大丈夫そうと考え、笛を口元にやった。

 

「三人共。準備は良い?」

「はい!視界良好。本日は晴天成り!何時でも往けます!」

「私は大丈夫で〜す」

「ワタシもです!」

 

 三人の答えを聞いた安芸は、満足そうに頷いた。そして息を大きく吸って。

 

 ピィィィィィ!

 

 笛を大きく鳴らした。

 

「ミノさん。わっしー。往っくよ〜」

「ああ、園子、須美。しっかり守ってくれよ〜」

「任せて、バレーボールの一つや二つ、私が撃ち落としてーー」

 

 見せるわ。須美がそう言おうとした直後。

 

 ドゴッ!

 

「「「うぇ!?」」」

 

 砂浜が爆発した。

 

「きゃ!」

「うわぁぁ!?」

「わっしー!ミノさん!」

 

 爆心地から最も近い位置に居た須美は、衝撃で吹き飛ばされた。

 銀は斧を盾にして衝撃に耐えるが、爆発によって巻き上げられた大量の砂に押し潰された。

 園子は砂煙から顔を庇いながら、須美と銀の名を叫んだ。

 突然の事に戸惑いながら、三人はモクモクと砂煙が立ち登る爆心地を見つめた。時間にして数秒後。爆心地の砂煙が晴れ、クレーターが露わになった。そしてそのクレーターの中心に有った物はーー

 

「バレー……ボール?」

 

 バレーボールだった。

 つい十秒程前にエミヤが見せたのと、同じボールだった。

 

「っ!第二射が来るわ!乃木さん!」

「アイアイサー!」

 

 再び放たれるバレーボールを目にした須美が叫び、園子がそれに応える様に槍傘を展開する。

 

 ボフッ!という砲撃の様な音を発しながら放たれたそれは、もはやバレーボールと言う代物ではなかった。

 それは球ではなく弾。砲弾と例えるのが適切な轟音と速度で放たれたそれは、園子が展開した槍傘によって防がれた。

 

 バゴッ!

 

「重っ〜〜」

 

 想像を超えた衝撃に、園子は軽く吹き飛ばされ、バランスを崩した。そしてその隙を突く様に第三射が放たれ、それは吸い込まれる様にして園子に命中した。

 

「ぎょぇぇ!」

「乃木さん!」

「園子!」

 

 奇声を上げて脱落する園子。それに気を取られた須美と銀。その隙を突いて二つの凶弾が放たれ、須美と銀は園子の後を追う様に脱落した。

 

 

 ・

 

 

 二度目の訓練は、そう間を置かずに開始された。

 

「三人共。準備は良い?」

「はい!須美、園子。往くぞ!」

「ええ!」

「今度は油断しないよ〜」

 

 安芸の問いに応えた三人の表情に気の緩みはない。バレーボールだから大した事はない。心の奥底でそう思っていた考えはとうに無くなった。

 そして、もしさっきの訓練が実戦ならば、三人は命を落としていた。それは先のバーテックス戦で水瓶座との戦いを経験した三人だからこそ、その事を強く実感した。

 この訓練を実戦だと考え、エミヤをバーテックス()と想定する。

 

 ピィィィィィ!

 

 そして安芸が出した開始の合図と共に、三人は駆け出した。

 

 ボフッ!

 

 第一射が放たれた。

 

「撃ち落とす!」

 

 須美が矢を放ち、迎撃した。

 

 ボフッ!

 

「やあ!」

 

 ボフッ!

 

「てや!」

 

 続く第二射、第三射は一定間隔で放たれた。

 それを須美は落ち着いた動作で矢を放ち、迎撃した。

 

「行ける!」

 

 三度の攻撃を迎撃した事により、須美は自信を付けた。けれど同時に緊張の系が切れ、僅かながらも、気の緩みを生み出す結果に繋がった。

 

 ボフッ!ボフッ!

 

 続く第四射と第五射は、ほぼ同時に放たれた。

 

「え!?」

 

 ほぼ同時に放たれた攻撃に須美は焦る。

 その焦りは思考を鈍らせ、腕に伝播し、動作を乱れさせた。

 乱れた動作から放たれた矢は、須美の思い浮かべた軌道から大きく外れ、ボールを掠める事すらなかった。

 迎撃出来なかったボールが須美と銀に殺到する。

 

「危ない!」

 

 銀に放たれたボールは、園子が槍傘を展開して凌いだ。

 

「やらせない!」

 

 須美に放たれたボールは、銀が須美の前に立ちはだかり、斬り裂いた。

 

「三ノ輪さん!乃木さん!」

 

 一人のミスを二人でカバーした見事な連携だった。

 けれど、最善かと訊ねられれば、そうではない。

 確かに、この攻撃は凌ぐ事が出来た。

 けれど、銀は盾役の園子の守備範囲から出た。須美は銀がボールを斬り裂いた際に巻き上げられた砂煙に視界を塞がれた。

 結果、次の瞬間に放たれた攻撃で一人孤立した園子が脱落し、続く攻撃で視界を塞がれて弓を使えない須美が脱落した。

 

「園子!須美!くそっ、よくも二人を!」

 

 一人残った銀は、一つ、二つ、三つ、と放たれたボールを迎撃したが、一人に集中した攻撃を全て捌く事は出来ず、数秒後に顔面にボールが命中してノックアウトした。

 

 

 

 

 

「痛たたた」

「御免なさい。私がちゃんと撃ち堕としていれば……」

「ドンマイだよ。私もちゃんと防げなかったし、わっしーだけの所為じゃないよ〜」

「そうだぞ。なんでも一人でやろうとせず、少しはワタシ達の事も頼ってくれよ」

「乃木さん。三ノ輪さん……」

「呼び方も固いんだよ。ワタシは銀で良いぞ」

「私の事はそのっちで良いよ〜」

「わ、分かったわ……銀、そのっち」

 

 照れ臭そうにしながらも、二人の名を呼ぶ須美。その様子に銀と園子は満足そうに頷いて、エミヤの待つ展望台を見つめた。

 

「よし!もう一回行くよ〜」

「おう!」

「今度こそ、銀を守護者様の下へ!」

 

 その後も合同訓練は続いた。

 しかし、その日は訓練を達成する事が出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




はい。皆さん。一ヶ月と三日ぶりです(白目)
最近はプログレッシブを見てからミト愛に目覚め、興味がSAOに逸れたり、書いては消して、書いては消してを繰り返すスランプに悩まされた結果、遅れました。すいません(土下座)
次は早めの投稿を目指して頑張りますので、応援の方をお願い致します!

この作品が面白い。続きを読みたいと思った方は励みになりますので、高評価と感想をお願い致します!
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