オーバーロード -不滅のトランセンダー-   作:ボンズリ

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「さーて、どうしたもんかねぇ」


突拍子もない状況を目の当たりにし、ゼノスは頭を捻る。


「まさか、ホントに別世界に転移したとはな。
 まぁ転生した経験もある以上、そうそう驚く事なんてそうそうないと踏んでいたんだが…」

ゼノスはそうボヤくと、コンソールを開こうとするが、表示される気配は全くない。
だが、頭の中にはアイテム欄や自分の能力、スキルなどが表示されるような感覚を覚える。


「ほう、これは便利だな。わざわざコンソールを開く手間もないとは。
 それじゃ次に使用できるスキルやアイテム。特に、俺の『アレ』が正常に使えるかを試さねば。
 おっと、その前にいつもの鎧姿にチェンジしておくか。」


結果はどうあれ、異世界に来てしまったことは事実。
装備を平時の全身鎧に素早くチェンジしたゼノスは、自身の状況確認に行う事にした。自分の能力や剣技、手持ちのアイテムなどが使えるかどうかを確認しなければならない。

特に、能力の確認は必須だ。もし能力が使用出来ないのであれば、強大な敵が出現した際に苦戦することは目に見えている。
大抵の敵であれば難なく処理できるのだが、もし仮にレベル100推奨の高難易度レイドボス並みの敵が現れた場合、間違いなく苦戦必死とゼノスは推測した。


「ふむ、剣技やアイテムは問題なく使用可能か…。であれば、次は能力の確認だが…」


夜の闇が覆う草原の中で確認作業を進めるゼノス。


「よく考えたら、こんな草原の只中に突っ立ってる全身鎧の男とか、怪しさ全開だよな…」


他人から見た自分の姿を想像し、苦笑交じり溜め息をつく中、頭の中にポーンという音が響く。今の音はユグドラシルではメッセージが届いた事を知らせる音声だ。
だが、ゲームではないこの世界でメッセージが届くなど信じられない。
もし仮にそういった手段を用いる存在がいるとすれば…


「…俺以外にもこの世界に来た奴がいるのか?
 取り敢えずメッセージに応えてみるか…」


鬼が出るか蛇が出るか、そんな思いでメッセージに応える。


「はい、此方ゼノス。そちらはどなた様ですか?」

「ぜ、ゼノスさん!?その声はまさかゼノスさんですか!?」


メッセージの相手は、先程別れた筈のモモンガからだった。




第2話 ー超越者ゼノスー

「おや、これはモモンガさん。貴方もこちらの世界に来ていたんですね」

 

「来ていたんですね、じゃないですよ!なんでそんなに落ち着いてるんですか!?」

 

「あー、まぁそれは置いといてください。話すのが色々と面倒なので」

 

 

まぁ普通に考えて「自分は転生者です〜」なんて言えるわけがない。

言ったところで信じてもらえないだろうし、モモンガがよりパニックに陥るのが目に見えている。

 

 

「それはさておき、モモンガさんは今どちらですか?」

 

「えっと…今私はナザリック地下大墳墓にいます。そちらは例の草原ですか?」

 

「ええ。取り敢えずそちらに移動しても構いませんか?

 1人だとやはり寂しいですし、仲間は多いほうがいい」

 

「分かりました。では、第六階層の闘技場に起こし下さい」

 

「りょーかい。では後程」

 

 

そう言うとゼノスはメッセージを終了する。

その後、すぐさまナザリック地下大墳墓入り口付近へとゲートを出現させ、ゲートの中へと消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

ナザリック地下大墳墓入口前―――

 

 

 

 

 

「さて、到着したのはいいんだが…まさかナザリックごと転移してるとは。しかも草原のど真ん中とか、流石にこれは目立ちまくってんな〜」

 

 

転移するまでのナザリックは、周囲を毒の沼が広がる危険地帯だったが、これでは誰でも容易に入ることできるではないか。

 

ゼノスはモモンガに会った際に、周りの景色と同化させる隠匿魔法を使うように伝える事に決めた。

 

 

「よし、確か第六階層だったな。すぐに向かうとしよう」

 

 

ゼノスは所持アイテムの中からある指輪を選択し、装備する。

この指輪は「リング・オブ・アインズ・ウール・ゴウン」と呼ばれる代物で、この指輪さえあればナザリックの一部の領域を除く全ての階層に移動する事ができる。

元来、この指輪を所持されていることが許されているのはアインズ・ウール・ゴウンのギルドメンバーのみであり、どこのギルドにも所属していないゼノスが持つ資格はない。

 

だが、アインズ・ウール・ゴウンの中心的存在であった、たっち☆みーとギルド長であるモモンガと旧友であったことと、かつてギルドが四桁を超える討伐部隊によって責められた際、助っ人として最前線で活躍した功績により、アインズ・ウール・ゴウンの全ギルドメンバー満場一致で指輪がゼノスへ贈られることになった。

 

 

「今思えば、あれほどまでに敵を狩った戦場はなかったなぁ…まぁ『狩り場』としてはそこまでではあったが」

 

 

ゼノスはかつての戦場に思いを馳せつつ指輪を起動させ、第五階層へと移動した。

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

ナザリック地下大墳墓「第六階層」―――

 

 

 

 

 

闘技場にてモモンガは配下の階層守護者達と状況確認を行っていた。

この階層守護者らは、ユグドラシルにおいてナザリック地下大墳墓の各階層における守護を任されていたNPC達であり、異世界に転移して以降は自我を持って行動するように変化した。

 

なぜ彼らが自我を持つようになったのかは不明だが、それ以前に自分たちを取り巻く環境の変化を確認することが最優先であった。

 

 

「報告は以上か。では次にナザリックの隠蔽についてだが―――」

 

モモンガは厳格かつ凄みを含んだ声で発言しようとするが、守護者らの背後の空間が歪む光景を目撃する。

 

 

「(あの空間の歪みは『リング・オブ・アインズ・ウール・ゴウン』によるものだ。ということはつまり―――)」

 

 

空間の歪みが収まると、鎧を纏う人物が姿を現す。

 

 

「ほう。ここが第六階層の闘技場かぁ、中々趣のある場所ではないですか」

 

 

現れたのは、先ほど連絡を受けたゼノスだ。

 

 

「お待ちしておりました、ゼノスさん」

 

「どうもモモンガさん。先ほどぶりですね」

 

「えぇ。皆に紹介しよう、此方の方がゼノスさん。彼は異形種ではあるのだが、我がギルドをはじめとしてどのギルドにも所属していない孤高の存在だ。そして、私とたっちさんの旧友でもある」

 

「…ブフゥッ!?ww」

 

 

再びモモンガが例の威厳のある言葉遣いで守護者達に紹介するが、あのモモンガがそのような言葉遣いをするなど想像もしていなかったゼノスはつい噴き出してしまう。

 

 

「ちょっ、どうしたんですかゼノスさん?」

 

「いやぁすみませんwまさかそんな言葉遣いで喋るなんて考えてなかったから、不意を突かれた感じで噴き出しちゃいましたw」

 

「まぁ、それは私も思ってますが…こればっかりは流石に慣れていただくしかないです」

 

「分かりました。できるだけ早く慣れるように努力をしましょう」

 

 

ゼノスとモモンガは他愛もない会話を楽しむ。

やはり友人との語り合いはいいものだ、とゼノスは心からそう感じた。

できるならば、この尊い時間を邪魔されずに悠々と過ごしたいものである。

 

そんな二人の間に、一人の女性が割って入る。

 

 

「ちょっと貴方」

 

「ん?誰だ君は」

 

「私はナザリック地下大墳墓の守護者統括を務めるアルベドです。それよりも貴方、ただの友人が我らが主であるモモンガ様に対して無礼が過ぎるのではなくて?」

 

「…は?」

 

「分かるように言いましょうか。我らがアインズ・ウール・ゴウンのギルド長であり、至高の御方々の中で唯一この地にお残りいただいたモモンガ様に対して、たかが友人風情が話す資格などないと言っているのよ」

 

 

守護者統括のアルベドが言い放った爆弾発言によって、ゼノスとモモンガの意識は完全に硬直した。

 

 

 

「待て、この私の友人に対してなんという言葉を―――」

 

「お気を害したならば申し訳ありません、モモンガ様。ですが、私はこの者を信用することはできません。

 そもそもギルドメンバーですらないものがこの地に足を踏み込むなど、恥を知りなさい!」

 

「………」

 

「な、何を言い出すんだアルベド!?」

 

「モモンガ様もモモンガ様です!このような者を簡単にこの地に招き入れるなど、しかも先ほどの転移は例の指輪によるもの。あのような者に指輪を手渡すなど、『至高の御方々は何を考えているのですか!』」

 

「………ッ!」

 

「や、やめろ!それ以上喋るんじゃない!」

 

 

モモンガは怒るどころか寧ろ逆に恐れを感じていた。

目の前のアルベドがこのナザリックを思っての発言だということは理解している。彼女の背後に控える守護者達も同じ考えのようだ。しかし守護者達がそう思うのは無理もない。突然現れて自分たちの主の友人を名乗り、そもそもギルドメンバーでない者に対して不信感や疑念を抱くのは当たり前である。

だがそうではない。そんなことはどうでもいい。問題なのは、アルベドがゼノスではなく、「ギルドメンバー達に対して貶める発言」をしたことだ。

 

 

「…ハ」

 

 

黙っていたゼノスが小さく笑いを零すと、空気が一変した。

先ほどまでのゼノスとは様子が違い、冷徹な空気が場を支配した。

 

 

「容赦なく地雷を踏みぬくとは、中々度胸が据わった女ではないか。」

 

「(あ、アルベドォォォォォォ!お前よくもやってくれたなぁぁぁぁぁ!?)」

 

 

 

ゼノスには二つの顔がある。

 

一つは普段のような爽やかな好青年としての顔。

 

そしてもう一つは、超越者ゼノスとしての顔だ。

 

普段であればこの超越者としての顔は出すことはない。

しかし、仲間が貶められた際、仲間が傷つけられた際。そして何より、「彼が気に入らない者」に対してのみスイッチが入る。

 

この超越者ゼノスとしての顔は、当初はたっち☆みーとモモンガのみ知るところであったが、ある一件以降アインズ・ウール・ゴウンのギルドメンバー全員に知られており、通称「超越者モード」として恐れられている。

 

この超越者モードに入ったゼノスは普段とは違い、敵味方問わず冷酷無比な性格となり、言葉遣いも非常に傲慢なものとなる。こうなった彼を止めることは非常に困難で、彼が満足しなければ解除されることはまずない。

 

モモンガが心の中で悲鳴をあげるのも当然のことだった。

 

 

「なに?私に対して何か言いたいことでも?」

 

「あぁ勿論あるとも。俺が貶められることなどどうでもいい、つまらぬことだ」

 

「そう、では直ちにこの地から―――」

 

 

アルベドは主の友人を名乗る恥知らずを適当にあしらおうとするが―――

 

「 だ が 」

 

瞬間、ゼノスから強大な殺気が噴き出す。

そのあまりの殺気にアルベドをはじめとする守護者達は体制を崩してしまう。

 

 

「貴様はよりにもよって我が友人達を貶めた。その一点だけは許すことなどできん。貴様が犯した愚行は、いまここで貴様の命を狩り取っても余りある大罪と知れ」

 

「くっ…!(この私が一歩も動けないなんて…この殺気はモモンガ様と同等、或いはそれ以上のもの…!」

 

「そして後ろにいる者共も、この女と同じことを感じていたのであろう?故に貴様らも同罪だ」

 

「ま、待ってくださいゼノスさん!」

 

「モモンガさん、この者等は俺の友人達に唾吐いたも同然。であれば許すことなどできん」

 

「彼らはその友人達から生み出された存在なのです!」

 

「…何?」

 

 

その言葉を聞いたゼノスはモモンガに向き直る。

チャンスは今しかないと踏んだモモンガは、彼らがかつてのギルドメンバーたちによって作られたNPC達であることを伝える。

 

 

「モモンガさん、貴方の言い分は理解できた。だが、この者達を許すかどうかは俺次第だ」

 

「ゼノスさん…!」

 

「だが、しかしだ」

 

 

そう言うとゼノスは殺気の放出を和らげた。

それにより身動きが出来なかった守護者達はようやく解放された。

 

 

「我が友人であるモモンガさんの頼みとあらば、聞かないわけにもいくまい。そこで一つ提案がある」

 

「提案、ですか…?」

 

「ここにいる守護者全員対俺一人で戦わせてほしい」

 

「なっ!?」

 

 

 

モモンガが驚くのも無理はない。レベル100の守護者全員を相手にするなど、どう考えても無謀としか思えなかった。

 

 

「…ふ。何を心配しているのかは分からぬが、貴方は俺の能力を知っている筈だが?」

 

「あ…そういえばそうでしたね。中々お目にかかるものではなかったのでつい…」

 

「なに、殺そうとは考えておらぬ。我が能力が正常に機能しているかどうかの『試し切り』のようなものだ。命までは取らぬ」

 

「で、できるだけ手加減してあげてください…」

 

「ふむ、善処しよう」

 

 

モモンガとの会話を終えたゼノスは、体制を立て直したアルベドら守護者達に向き直り、語りかける。

 

 

「さて。貴様達の主の嘆願により、貴様らは命を繋ぐことができた。モモンガさんに感謝するのだな」

 

「話は聞いていましたが、貴方一人で我々全員を相手取るなど、些か傲慢が過ぎるのではなくて?」

 

「…ハ、それは結構なことだ。傲慢ついでに一つ言っておこう。俺は『俺が満足するまで、この鞘から剣は抜かん』」

 

「…は?舐めているのですか貴方は?」

 

「いやなに、つまらぬ戦いを愉しむための趣向だ。その代わり、最初のうちはこの刀を使うとしよう」

 

 

そういうとゼノスはアイテムの中から一つの刀を手に取った。

その刀は、本来であればユグドラシル初心者が装備するべきであるはずの最弱の刀であった。

 

 

「…ふざけているのか貴様…そのような粗末な刀で我々と対峙しようとは、片腹痛いとはこのことですね」

 

「ふざけてなどおらぬ。貴様ら程度にはこの刀で十分だと判断したまでのことだ。もしこの鞘から剣を抜かせたいのであれば、それこそ己が死を覚悟して挑むがいい」

 

「減らず口を…!」

 

「さて、お喋りはこの辺りとするか。貴様らがこの剣を抜くに相応しいかどうか、見極めさせてもらうとしよう」

 

 

 

語り合いは終わりだと言わんばかりに、ゼノスは再び殺気を放出する。先ほどまでの他者を一方的に屈服させるほどではないにしろ、守護者達に強いプレッシャーを浴びさせる。

 

 

 

「さぁ、一心不乱に、抜かせて見せよ」

 

 

 

 




次回の後書きにてゼノスの詳しいステータスを開示致します。

そして守護者達の運命や如何に…!?



ヒント:圧縮剣気(原作再現)




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