本来の世界に帰ってきた料理人   作:北方守護

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第9話 実食

武昭が黒鉄熊を始末した後……

 

「おいっ!こっちの方は下茹でが終わったぞ!!」

 

「そうか!なら、次はそこの鍋に入れて2時間蒸してくれ!!」

 

「武昭!味見をお願い!!」

 

「あぁ……少し臭みが出てるから生姜をスライスした物を入れて臭みを消してくれ」

黒鉄熊を捕獲してきた武昭達は薙切インターナショナルに戻っていた。

 

アリスとリョウは武昭に着いていった事が宗衛とエレノーラにバレて叱られていた。

 

その後、武昭は宗衛に許可を貰いアリスとリョウと共に採取してきた食材の処理をしていた。

 

「さてと、まずは黒鉄熊の処理からだな」

 

「武昭、俺達は何をすれば良いんだ?」

 

「あぁ、コイツを捌くから、その後の処理を頼むよ」

 

「捌くって言うけど……これってすごい硬いわよ?」

アリスとリョウは黒鉄熊を触って感触を確認していた。

 

「どうやって捌くんだ?あの時みたく手でやるのか?」

 

「いや……久し振りに()()()を使うよ」

 

「うわぁ……綺麗な包丁ね……」

 

「それに見てるだけでも俺達が持ってる包丁とは何かが違う事が分かるぜ……」

アリスとリョウは武昭が出した包丁に見とれていた。

 

「これは俺が向こうの世界で使ってた包丁で作った人の名前が付けられてて【メルク包丁】って言うんだ」

 

「メルクって人が作った包丁なのか」

 

「あぁ、向こうの世界じゃ普通のメルク包丁でも数十億円するからな」

 

「数十億円って……ねぇ、ちなみに武昭のその包丁は幾らなのかしら?」

 

「ん?俺の奴はメルクさんに直接材料を持って行って作って貰ったから正確な値段は分からないけど、包丁の素材だけだったら2~300万って所かな?」

それを聞いたアリスとリョウは驚愕の表情を浮かべていた。

 

「驚いてる所悪いが、コイツは早くしないと肉に血の臭みがつくから手伝いを頼む」ピシュン

 

「なっ!?……一瞬であの大きさの毛皮を剥いだって言うのか……」

 

「私でも出来ない事は無いとは思うけど……あれだけの速さとなると……無理だわ……」

 

「よしっ……リョウは肋肉の蒸し物、アリスは胸肉でハンバーグをそれぞれ作ってくれ

残った部分は俺が作るし、軽く俺の指示にも従ってもらうからな」

 

「確かに……こんな奴は俺は見た事は無いからな……」

 

「私も始めてみる食材だから、その方が良いわ」

アリスとリョウは武昭の指示を受けながら黒鉄熊などの調理を開始した。

 

しばらくして……

 

「オォッ!これが今回武昭君達が捕獲してきた物で作った料理なのか!」

宗衛達は武昭達に呼ばれて食堂に来ていた。

 

「えぇ、今回はアリスとリョウにも手伝ってもらいましたけどね……

まぁ、まずは冷めない内に食べましょう!」

 

【この世の全ての食材に感謝を込めて頂きます!!】

武昭の合図で皆は言うと食事を開始した。

 

「ウワァ……このスープ凄い美味しいよ!ベルタ!!」

 

「そうだね!シーラ!お肉も凄く柔らかいし!!」

 

「それは腿肉の所だな、温度を常に一定にしてある時間煮込むと良い出汁が出てホロホロに柔らかくなるんだ」

 

「うむ、このハンバーグは臭みが無く適度な歯応えがある」

 

「それは私が武昭に指示されて作ったのよ」

 

「おーう!この蒸し物も骨から綺麗に剥がれマース!!」

 

「それは肋肉を下茹でしてから蒸した物です……」

皆は色々と話しながら食事をしていた。

 

その後……

 

「そうだ、宗衛さん……これでちょっと作って欲しい物があるんですけど……」

「うん?何かな」

 

「これなんですけど……向こうの世界じゃ……」

「ふむ、なるほど……」

 

「全く……ダメですよアリス……勝手に着いて行ったりシタラ」

「はーいお母様……」

 

「リョウだけ良いなぁ!武昭に着いて行って!!」

「私達だって一緒に行きたかったのに!!」

「そんな事言うけど……俺だって被害者なんだぜ……」

 

「そうだ武昭君、明日は一緒に着いて来て欲しい所があるんだが」

「はぁ、俺は特に予定も無いですけどどこに行くんですか?」

「あぁ、それは……日本だ」

宗衛は武昭に明日の予定を話していた。


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