宗衛に連れられて武昭が来たのは日本にある遠月学園という所だった。
そして武昭と宗衛は学園長室で宗衛の父親で学園長でもある薙切仙右衛門に会っていた。
「久し振りだな、宗衛よ」
「えぇ、そうですねお父さん」
「それで、そこにいるのが……」
「初めまして、宗衛さんの所にお世話になってる紫水武昭と言います」
「ふむ、事情は宗衛から聞いてはいるが……本当に君は異世界にいたのかね?」ギロッ
「えぇ、こんな事を急に言われてもなかなか信じられないだろうですけど……
(うーん……軽く俺の事を威嚇してるみたいだけど、これ位なら向こうでも受けた事はあるな……)」
武昭は仙右衛門の威嚇を軽く流していた。
「ほぉ……なかなかの胆力の持ち主みたいじゃな……では何か儂に作ってはくれぬか?」
「えぇ、構いませんけど……好き嫌いとかはありますか?」
「特にはないぞ……それと、あるならば
「向こうの食材っすか……えぇ、わかりました、じゃあ作って来ます……厨房はどこにありますか?」
「それならば、私が案内しよう」
武昭は宗衛に連れられて近くの厨房に向かった。
しばらくして武昭が調理を終えて戻ってきた。
「おまたせしました」
「ふむ……これは……砂?……にシャーベットを掛けただけにしか見えぬが?」ギロッ
仙右衛門は武昭が四角い砂にシャーベットが掛かった物を見て睨みつけた。
「まぁ、こっちの人からすれば、そう思いますよね……けど一口食べてみてください
アッ、宗衛さんの分もあるから、どうぞ」
「すまないな、ありがとう……確かに普通の砂にしか見えないが、武昭君が作った物なら問題は無いからな オォッ!」
「なんと!大丈夫か!宗衛!!」
「はい!大丈夫です……これは砂に見えるが食べられるのか!それに、このシャーベットが清涼感を増してくれている!!」
「それは砂氷のシャーべ林檎のシャーベット掛けです」
「つまり、これは食べられる砂という事か……オォッ!」
武昭が作ったスイーツを食べた仙右衛門は長く歩いた砂漠でやっと見つけたオアシスで水浴びをしてる幻を見た。
「えっと……宗衛さん、これは……」
「あぁ、薙切一族に伝わる物でね、おはだけと呼ばれる物なんだ」
武昭は仙右衛門が着物を脱いでいた事を宗衛に尋ねていた。
その後……
「フゥ……最近暑かったが、あれで少し涼しくなったわい」
「だから武昭君はあれを作ったのかい?」
「えぇ、砂氷はサンドガーデンと言う砂漠地帯で涼を取る為に食べられている物でしたから。
それにシャーべ林檎は掛けた物の清涼感を上げる効果もあるんです」
「なるほど、確かに儂らとは違う世界に居たみたいだな……よし、お主の入学を許可しよう」
「ん?宗衛さん、今回俺を連れて来た理由って、それだったんですか?」
「あぁ、父には武昭君が、こっちの世界で暮らすのに必要な事をお願いしていたんだよ」
「そうだったんですか……ありがとうございます、仙右衛門さん」
「ハッハッハッ、気にするでない、それに儂からも頼みたい事があっての……」
「頼みたい事?俺が出来る事なら出来る範囲で手伝いますけど……」
「ふむ……実は……」
仙右衛門は武昭にある事を話していた。
しばらくして武昭は仙右衛門から学園で使用する住居に来ていた。
「ふーん、ここが俺の家になるのか……」
「あぁ、父さんからは家賃とかの費用は心配するなと聞かされている」
「別に、それ位のお金とかだったらあるんですけどね……」ドサッ
武昭は懐から袋を出して中身を見せた。
「これは……ダイヤだね……私にはよく分からないがかなりの価値だな…」
「向こうの世界には砂の代わりに砂金やダイヤで出来たジュエル砂漠って場所があるんですよ」
「それも、さっき出してくれた砂氷と同じ所のかい?」
「はい、サンドガーデンです それで宗衛さんの知り合いに宝石の鑑定士とかいませんか?
とりあえずの手持ちが欲しくて」
「あぁ、それならば今は私の持ち合わせを渡しておくよ。
それで、そのダイヤが売れたら、その分を引いて武昭君に支払おう」
「そうですか、ありがとうございます」
「さてと、私は用事ががあるから席を外すよ武昭君は好きに過ごしててくれ」
「だったら俺は学園内を歩いてみます」
「では私が用事を終えたら連絡をするよ」
武昭と宗衛はそれぞれ出て行った。
因みに年齢はソーマ達と同級生にしたいと思います。
今回の話で武昭の年齢を中等部1年生の生徒と同じにします。(13歳)
それと宗衛の仙右衛門の呼び方は、今回の話に書いてある物にします。