宗衛と来てから数日後……
武昭は1人でリンゴを食べながら遠月学園内を歩いていた。
「まさか、俺がここに通う事になるなんてな……」カシュッ
「んー?もしかして、お前……武昭か?」
武昭が声がした方を見ると学園の制服を着た竜胆と紫色の髪の小柄な少女がいた。
「おぉ、久し振りだな竜胆」
「本当にそうだなぁ!なんでここにいるんだ?」
「あぁ、来月から俺もここに通う事になったんだよ」
「そうだったのか!いやー、これでまた色んな美味しい物が食べれるぜ!!」
竜胆が肩を組んでくると一緒にいた少女が話しかけてきた。
「ねぇ竜胆、彼は誰なの?」
「初めまして、来月からここの
「そう……私は中等部3年の茜ヶ久保もも、よろしく」
「なぁ、武昭、また何か食わしてくれよー
「まぁ、一応、持ってはいますけど……直ぐに出来るのは
「ちょっと……君もデザートを作れるの?」
「それなりに作れますよ、師匠からは色々なジャンルの料理を叩き込まれましたから」
「だったら、ももに見せて……
「別にバカにした訳じゃないんですけどね……じゃあ何処か厨房に案内してください」
「分かった、一緒に来て……」
「フッフーン、何か面白そうだぜー!!」
竜胆はももに連れて行かれる武昭の後をついて行った。
ももが準備した厨房で武昭が何を作るか考えていた。
「さてと、何にしようかなぁ……ん?これは……」
武昭は厨房の角に置いてあった材料に気がついた。
一方、ももは竜胆と武昭を待っていた。
「ねぇ、竜胆はどうやってあの子と知り合ったの?」
「アァー……それは、そのー……(ももには、あまりあっちの世界の事を話す訳には……)」
「お待たせしましたー」
竜胆が言い淀んでると武昭がワゴンに料理を載せて来た。
「キッチンに合った果物を使ったフルーツグラタンです」
「おぉ……カスタードの焼けた良い匂いがして来るぜ……」
「確かに匂いは良いけど問題は味だよ……んっ!?何!この味は!!」
「キッチンに置いてあった熟し過ぎたフルーツをカスタードに混ぜて作ったんだ」
「それとフルーツを合わせて焼き上げたのか……うん!美味しいぜ!!」
「けど、そんな事をしたら味がクドくなるのに凄くサッパリしてる……なんで?」
「あぁ、それは
「だとしても、こんなにサッパリする柑橘類なんて味わった事が無いよ!!」
ももは武昭に詰め寄った。
「ねぇ!何の柑橘類を使ったの!!出来るならももにも分けて!!」
「それは言えないな……
(なるほど……この柑橘類があっちの世界の物を使ってるのか……)
竜胆は事情を理解していた。
その後、ももと別れた武昭は竜胆と歩いていた。
「それにしても武昭が私よりも年下だとは思わなかったぜ」
「俺も竜胆が中等部だと思ってなかったけどね」
「それにしても、あのももがなぁ……」
竜胆は別れる時に武昭に迫っていたももの事を思い出して苦笑していた。
「そういや武昭は私と別れてからどうしてたんだ?」
「あぁ、あの後海を歩いていたらデンマークに到着してさ、色々事情があって薙切インターナショナルって所で世話になる事になったんだ」
「ふーん、その関係で遠月に来たって事か……まっ、武昭に会えたから私は良かったけどな」ニカッ
「そこに
「そっか……なぁ、そのアリスって子は武昭の事情は知ってるのか?」
「知ってると言うか……無理やり知ったって所だな」
武昭は苦笑しながら理由を話した。
そんな中、武昭の懐から何かの音がしたので取り出すと小型のタブレットだった。
「チッ、また向こうの生物がコッチの世界に来たみたいだな、悪い竜胆」
「待てよ、私も着いていくぜ、その事を知ってるんだしよ、それに武昭がいるなら大丈夫だろ?」
「俺がいても安全とは限らないぞ、自己責任で着いてくるなら良いぞ」
「あぁ、私は自分が行きたいから行くんだ、何があっても気にしないで良いぞ!」
「はぁ、分かったよ、じゃあ行くから俺に掴まれ」
根気負けした武昭が言うと竜胆は背中におぶさって来た。
「えっと、俺は掴まれって言ったんだが……」
「別に良いだろ……私がこうしたかったんだから……」
「分かったよ……距離があるから
武昭が両手を合わせて離すと歪んだ空間が現れた。
「武昭、それ……はぁ聞いても意味が無いからな」
「じゃあ行くか……
武昭が竜胆を背負ったまま、ワープロードに入ると、その場から姿が消えた。
武昭はペアとアナザ、ニュースを食してるので裏の世界を発動出来るが、そんなに長時間は発動出来ない。