本来の世界に帰ってきた料理人   作:北方守護

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第26話 揚羽蝶鮫〔あげはちょうざめ〕

現場に到着した武昭と竜胆は色々と用意をしていた。

 

「ん?竜胆、それって前にグルメタウンで買った奴か?」

武昭は竜胆が持っている物に気付いた。

 

「あぁ!向こうで買ってきた小型モーターボートだぜ!それに、このボディースーツもだ!!」

竜胆が衣服を脱ぐと黒いピッチリとしたウェットスーツの様な物を着ていた。

 

「これって凄いんだな、最初はサイズが入るかなって思ってたけど簡単に着る事が出来たんだ」

 

「あぁ、それはコッ(トン)の皮で出来てる奴だったか」

 

「そう言えば、買う時に従業員さんにそう言われたな、それって珍しい生物なのか?」

 

「いや、コッ豚はそんなに珍しい奴じゃなくて普通に牧場でも育てられてるんだ。けど天然物の方が皮の強度が強い分高くなるんだ」

 

「へぇーとそうなのか……まぁ、私の()()()でも合う奴があったから買ったんだけどな」

竜胆は自分の胸を見て話していた。

 

「ふーん、まぁ女の悩みは俺には分からないからな、じゃあ潜水をするけど……どうする?1人ずつで行くか2人で行くか」

 

「いや、その前に聞きたい事があるんだけどよー 武昭はそれだけで平気なのか?かなりここの海は冷たいって聞いてるぜ?」

竜胆が武昭を見るといつもの格好で上半身を脱いだだけに口にマスクをしてるだけだった。

 

「ん?別にこれ位なら……うん、平気だぞ?」

 

「まぁ、武昭がそう言うなら大丈夫なんだろうな……なら2人で行こうぜ」

 

「そうだなって……竜胆も()()を持ってろ」

武昭は竜胆に一枚の葉っぱが入ったマスクを渡した。

 

「ん?何だこの葉っぱ……コレもアッチの物か?」

 

「あぁ、その葉っぱは酸素の葉って言って微量な光と微かな水分と二酸化炭素で光合成をして酸素を作れるんだ」

 

「へぇ、こんな葉っぱ一枚でなぁ……そうか、ならありがたく貰っとくぜ」

 

「じゃあ準備も出来たから潜るぞ お先に」ドブン

 

「あっ!先に行くなんてズルいぞ!」ドブン

武昭が潜ったのを見て慌てて竜胆も続けて潜った。

 

海中では武昭と竜胆が隣同士で泳いでいた。

 

〔うん、見た所……変な所は無いな〕

 

〔あぁ、普通にこの世界でも居る生物だし向こうの奴がいる感じもしないな〕

武昭と竜胆はマスクに着いてる通信機で話しながら海中の光景を見ていた。

 

〔なぁ武昭、その獲物って言うのはグルメ界ならどんな所に居たんだ?〕

 

〔揚羽蝶鮫は向こうでも中々見つからない獲物だったんだ……まぁ、それもあって捕獲レベルが高くなるんだ〕

 

〔そうなのか……それにしても、そんな生物がいる様には見えないけどな……〕

竜胆は自分の周りを見渡した。

 

〔竜胆の言う通りだな、特に生態系が崩れてる訳でもないし……ん?コイツは……気をつけろ近くに獲物がいる可能性がある〕

 

〔そうなのか?けど、何でそんな事が分かるんだ?〕

 

〔それは()()が落ちてたからだ〕

武昭が海底の岩に付着していたアゲハ蝶の様な物を竜胆に見せた。

 

〔これってアゲハ蝶か?何でこんな海中に……いや、まさか……〕

 

〔そうだ、これが揚羽蝶鮫の鱗なんだ……まぁ、これも上手く処理をすれば食べられるんだけどな……竜胆!危ねぇ!!〕

 

〔え?……武昭!?〕

竜胆は何かに気付いた武昭に庇われたが庇った武昭は左腕に切り傷が出来ていた。

 

〔大丈夫か?竜胆……〕

 

〔あぁ、武昭が庇ってくれたから大丈夫だけど……お前の方は……〕

 

〔これ位なら……問題ない!〕

武昭は傷付近の筋肉を締めて血止めをした。

 

〔それよりも竜胆は早く船に戻れ……()()()は俺が相手をする〕

武昭が水中の一点を見てるとその場所にタブレットで見た揚羽蝶鮫の姿があった。

 

 

 

 

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