竜胆が武昭と同じ方を見ると体長7m程の大きさをした揚羽蝶の様な体表面をした鮫がいた。
〔武昭!お前が相手をするって言うけど大丈夫なのか!?〕
〔えぇ、以前も同じ様な依頼を受けた事がありますからね……とりあえず フライングナイフ!〕
武昭が鮫に向かって攻撃をするが躱された。
〔チッ!やっぱり水中じゃ動きが鈍くなるか!おっと!〕
鮫は武昭に狙いを定めると向かって来たが武昭は避けた。
〔くそっ!どうしたら……なっ!?〕
武昭が避けたのを見て鮫が方向転換したが何かが飛んできて武昭の体に傷を付けた。
〔一体何が!?……コイツは……鱗か!〕
武昭が体に当たった物を確認すると鮫の体から飛ばされた鱗だった。
〔確か普通の鮫でも鱗は楯鱗て呼ばれてて結構な硬さだったけど……コイツの鱗はそれ以上の鋭さがあるぜ!〕
武昭は鮫を見ながらどうしようか考えていた。
そんな中……
〔ん?今、何か……アレは!?〕
武昭は海中に何かを見つけるとソレに向かった。
〔チッ、アイツもコッチに向かってきてるか!〕
鮫は武昭を追ってきた。
一方……
「プハァ!ハァハァハァ……どうやら私の方には来なかったみたいだな……」
海上に出た竜胆は直ぐに船に上がると海の方を見た。
「武昭……大丈夫だよな?……ドゴォーン!なっ!?なんだ!あっ!」
竜胆が見てると海中から大きな爆発が起きたと同時に揚羽蝶鮫が水面から飛び出してきた。
「コイツは……確か武昭が相手をしてた奴だよな?……武昭は……」
「プハァ!……ハァハァハァ……あぁ、ギリギリで何とかなったか……」
竜胆が確認してると武昭が浮かんできて水面から顔を出していた。
「武昭!無事だったのか!!」
「あぁ、ちょうど海底に
「分かった、ちょっと待ってろ」
竜胆は武昭に指示を受けた通りにした。
「ありがとうな竜胆……」
「これくらい良いって……おいっ!武昭!その腕どうしたんだ!?」
竜胆は武昭が上がってくる時に右腕に咬まれた様な傷跡があった事に気付いた。
「ん?コイツはアイツを捕獲する時にちょっとな……竜胆アイツを曳航するからそばにつけてくれ」
「あ、あぁ……けど、どうやってコイツをこんな風にしたんだ?」
竜胆は鮫に近づくと、こうなった理由を聞いた。
「それは
武昭はズボンのポケットから幾つかの巻貝を出すと甲板に置いた。
「コイツは
「へぇ……って、そんなのがあったら危ないんじゃないのか!?」
「あぁ、だから傷が治ったら俺が処理するんだ」グギュル〜
「全く……心配してたのがバカらしいぜ……」
竜胆は武昭の腹の音を聞いて苦笑いした。
その後、武昭は竜胆にドクターアロエを傷に巻いてもらっていた。
「ありがとうな竜胆」
「これ位なら私でも出来るからな、それでこれはどうやって処理するんだ?」
竜胆は甲板にのせられた揚羽蝶鮫を指した。
「あぁ、まずは腹を捌いて内臓を取り出すんだ、その後に全部の鰭を切り落とすって……そうだ、竜胆がやってみるか?」
「うえっ!?そうは言っても私はこんな奴を捌いた事無いんだぞ!?」
「中級とは言え竜胆も食義を身につけてるんだ……後は色々な食材を捌いていかないとな……まぁ強いて言うなら食義の応用課題だ」
「武昭……あぁ、分かったよ、私やってみるよ……けど、この鱗、かなり硬いぞ?」コンコン
「俺の包丁を貸しても良いけど……ん?そういや前に竜胆はグルメデパートで幾つか包丁を買ってきたんじゃなかったか?」
「あっ!そうだった!……確か……あった!」
竜胆は何かを思い出すと荷物の中を探り出して一本の包丁を出した。
その形は両刃だが片方が普通の形でもう片方が鋸刃になっている物で刃渡り60cmはある包丁だった。
「そいつは……特殊調理食材の包丁の
「デパートで見た時に何か感じたんだ これならいけるだろ?」
「いける事はいけるけど……使うには難しいぞ?」
「へっ、難しいからこそ食義を鍛える事も出来るんだろ?……ふぅ……」
竜胆は包丁を持って精神統一をした。
「じゃあ……行くぜっ!!」
竜胆は鮫の顎の下に包丁の刃を入れると、そのまま腹から尾の方まで斬り開いた。
「そうだ、竜胆 内臓を取り出す時は1つずつ出すんだ。俺がどの部位か説明するから」
「あぁ、分かったぜ……っとコイツはどこの部位だ?かなりの大きさだけど」
竜胆が最初に手にした物は薄いオレンジ色で7~80cm程の柔らかい部位だった。
「そいつは肝で今みたいな取れたてなら刺身でもイケるぞ」ジュルリ
「そうなのか……まぁ私は初めてだから味見だ。ハイよ武昭」
「おっ、ありがとうな竜胆……う〜んコレコレ」
竜胆は肝を武昭と自分の分だけ薄切りにすると、そのまま口に入れた。
「うわっ!なんだこの肝!私も何度か魚の肝は食べた事があるけど凄くコッテリなのに後味が爽やかだぜ!!」
「取れたてならではの新鮮さからする味なんだ。あぁコイツを醤油に漬けて焼いても美味いぞ」
「なっ!そんな物があるなら来る前に言っておけよー!!」
「悪かったな、けどな醤油漬けにしようにも普通のじゃ無理なんだ。俺も今は持ってない」
「そうか……じゃあ、その話はここまでで……おいしょっとコイツはどこだ?』
「そいつは胃袋だな。切り開いて中を洗って日干しをすれば良い珍味になるんだ」
「そうか、うわっこんなに長いのは腸か……コレは空気が入ってるから浮き袋だな 次は……」
(いつのまにか俺の指示無しに捌いてるか やっぱり以前の修行が身について行ってるって事か)
武昭は自分の指示無しに鮫を捌く竜胆を見ていた。
暫くして……
「ふぅー やっと処理が終わったぜ」
鮫の捌きを終えた竜胆は額の汗を拭っていた。
「ご苦労さん。さてと次はコイツの処理をするか」
「なぁ武昭、コレの処理も私にやらせてくれないか?」
武昭が爆破ツブ貝の処理をしようとした時に竜胆が話しかけてきた。
「んぁぁ……俺もやらせたいけど、コイツは特殊調理食材だからな」
「特殊調理食材って……前にエナメルキャベツって奴を頼まれた細さに刻んだけどな」
「あぁ、コイツもちゃんとした手順で処理しないと危なくてな じゃあ幾つかあるから試しに一個やってみろ」
武昭はツブ貝を1つ俎板の上に置くと竜胆にやらせた。
「えっと最初は殻から身を外さないと まず、ここら辺に穴を開けて〈コンコン〉え?何か色が変わってきて……おいおい!大きくなってきてるぞ!」
「やっぱりダメだったか……竜胆、ふせろ」ドゴォーン!
竜胆が伏せたのを見た武昭がツブ貝を上空に投げると、そのまま空中で爆発した。
「爆破ツブ貝は変に殻に傷付けたりすると、その衝撃で爆発するから慎重にやらないとダメなんだ」
「そうだったのか……なぁ、もしかしてそんな食材は他にもあったりするのか?」
「そうだぞ、だからこそ俺は食義を覚えさせたってのもあるけどな。さてと俺はツブ貝の処理をするから竜胆は鮫の方を料理しといてくれ」
「あぁ、分かったよ……(私はまだそこまでの食義を覚えちゃいないのか……頑張らないと……)」
竜胆は新たな決意をすると鮫で料理を作り始めた。
その後、2人は互いに出来上がった料理を食べて港に戻った。
何か竜胆がメインになりつつある?