本来の世界に帰ってきた料理人   作:北方守護

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第38話 違う物

武昭は十夢との取引を終えると他の店で野菜や果物などを仕入れて帰路についていた。

 

「ねぇ……()()()()()って凄いんだね……」

助手席にいたももが武昭に話しかけた。

 

「んー?別に俺は凄くないよ、俺はただ師匠達に習った事をやってるだけです」

 

「ふーん、そうなんだ……」

 

「なぁ、武昭ーコッチって何か温泉みたいのって無いのかー?」

2人が話してると竜胆がイスの後ろから声をかけてきた。

 

「温泉って、そんなに疲れてるのか?」

 

「そう言えば、最近の竜胆はちゃんと仕事をしてるから司が驚いていた……」

 

「そりゃあ私だってたまには真面目に仕事をする事があるんだぜー……それで武昭ー何処か無いのかー?」

竜胆を見るとグデーとしていた。

 

「温泉か……ここからだったら……少し距離があるから時間が掛かるけど、それでも良いのならあるぞ」

 

「そうかっ!だったらそこに行こうぜ!!」

グデーとしてた竜胆は猫の様な笑顔になると元気になった。

 

その後、武昭が車を走らせて到着した場所は軽く木々が生い茂り近くに川が流れていた。

 

「武昭、ここに言ってた温泉があるのか?」

 

「あぁ、昔に美食家の依頼を受けた時に偶然見つけてな……おっ、あったぞ」

皆が武昭の案内でついた場所は川の水から湯気が立っており木々からも湯気が出ていた。

 

「ここはバスバブの木が生えているんだ。確かそれにもデータが入っていたな」

 

「えーっとバスバブの木……おっ、あったぜ……どれどれ」

竜胆がタブレットを操作するとデータが映し出された。

 

【バスバブの木 植物類 捕獲レベル0】

・温泉が湧き出てる場所に生息する植物。

・その大きさは、その場の温泉の温度によって変化する。

・温泉の水温が高いほど幹は太くなる。

・この木で作成したバスタブはいい香りがする。

・幹の中に多量の水分を蓄える事が出来、温泉が枯渇しても暫くは大丈夫。

・長さは10cm~太さは50cm~。

 

「ふーん、そうなんだ……それでこの木をどうするの?」

 

「コイツはちょっと変わった現象があってな、そろそろだな……ホラ」

 

「一体、何が……え?枝が開いていってるわ……」

アリスが武昭が指さした方を見ると上の部分が開いていった。

 

「この木は夜になると中に溜まった余分な湯気を排出するのに木を開くんだ」

 

「じゃあ武昭が言う温泉って……この木だって事か?」

 

「あぁ、その通りだ竜胆……ホラ、他の木も開いてきてるぞ」

皆が周りを見ると木々が次々と開いていくのが見えた。

 

「皆、車の中に湯浴み着と部屋があるからそこを使ってくれ、俺とリョウは違う部屋を使うから」

 

「あぁ、分かったぜ武昭、それじゃ、お嬢……」

 

「おいおい!私達も早く行こうぜー!!」

 

「ちょ、ちょっと!竜胆、引っ張らなくても……」

 

「うーん、本当にコッチの世界は面白い物があるわね」

皆は、それぞれ指定された部屋で着替えに向かった。


湯浴み着を着た女性陣が外に出ると先に温泉に入っている武昭とリョウがいた。

 

「おーう、ここだここだ」

 

「結構良いお湯っすよ」

 

「あら、確かにちょうど良い温度ね」

 

「ふぇ〜それに凄く良い香りがするぜ〜」

 

「私でも……深さが大丈夫……」

入った皆がユッタリしているとリョウが武昭に話しかけた。

 

「そういや前に近くに来たって言うけど、その時はどんな獲物だったんだ?」

 

「ん?その時は確か……あぁ、そうだ【シャイニングレープ】って言う果物だったな」

 

「それってどんな奴なんだ?武昭」

竜胆が話に入ってきたがアリスとももも聞きたそうな顔を見せていた。

 

「あぁ、その名前通り葡萄の一種なんだけど生息してる場所が面倒なんだよ」

 

「どこに……あったの?……」

 

「ちょっと前に見せたスカイボスがあったろ?その生息地よりも高い山で更に常に日光が当たってる場所でしか生息しないんだ」

 

「確かスカイボスがあるのって……3000m級の山だったよね?……それよりも高い山なんて……」

 

「それに日光が常に当たってないとダメなんて……」

 

「場所が場所だから捕獲レベルは高めだけど群生地に到着したら簡単なんだ」

 

「そうなんだ……あれ?……何か……頭が……」

 

「おっと、大丈夫ですか?もも先輩?」

ももの顔が赤く軽くフラついたので武昭が慌てて支えた。

 

「どうやらのぼせたみたいですね……竜胆、少し変わってくれ」

 

「ん、分かったぜ、何かするのか?」

竜胆は呼ばれて武昭と変わった。

 

「あぁ、ちょっと飲み物を作ってこようと思ってな」

 

「なら、私も手伝うわよ」

 

「大丈夫だ、ただ混ぜるだけだからな」

武昭はそう言うと車に戻った。

 

少しして武昭が飲み物を持って戻ってきた。

 

「竜胆、もも先輩にゆっくり飲ませてくれ」

 

「あぁ、分かったぜ、ほらもも飲むんだ」

 

「うん……ありがとう……ふぅ……凄くサッパリしてて飲みやすい……」

 

「武昭、私も飲んで良いか?」

 

「あぁ、アリスとリョウも飲んでおけ」

 

「分かったわ、美味しい」

 

「うん、風呂に入ってるとちょうど良いぜ」

 

「なぁ武昭……この水って前に飲んだ事がある感じがするけど……まさかエアアクアか?」

飲み物を飲んでいた竜胆が味わいに心当たりがあった。

 

「あぁ、エアアクアにスカイボスの絞り汁と笹砂糖(さささとう)を混ぜたんだ」

 

「おいおい、だったらこれだけでかなりの値段がするだろ?」

 

「?竜胆、それってどう言う事?」

 

「あぁ、この使ってるエアアクアって水は2ℓで12万円するんだぜ」

竜胆の言葉を聞いた、ももの動きが止まった。

 

「じゃ、じゃあ、これ一杯ってどれだけするの?……」

 

「まぁ、20万よりは安いな、笹砂糖もそんなに使ってないし」

 

「ちなみに、その笹砂糖ってどれほどするんだ?」

 

「笹砂糖は1kgで2万円って所だな」

 

「じゃあ100g2000円するんだ……何だろう私の中の何か壊れて行く気がするな……」

ももは遠い目をしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 




笹砂糖 調味料 捕獲レベル1以下(人工栽培可能)
糖分を蓄えている幹?と葉と花を持っている笹。

幹と葉〉幹だけ〉葉だけ〉花の順番で味、出来る量、値段が変わる。
よく取れる→よく取れない。

幹と葉の混合1kg=5000円。
幹だけ1kg=10000円。
葉だけ1kg=15000円。
花のみ1kg=20000円。
花のみで作られた砂糖は珍しく、中々出回らない。
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