本来の世界に帰ってきた料理人   作:北方守護

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第4話 確認

しばらくして武昭は竜胆の案内でガララワニを発見した所に到着した。

 

「竜胆、ここら辺なのか?」

 

「あぁ、大体この辺りだぜ……私は周りを気にしないで逃げたからな……」

 

「その途中で俺に会ったって訳か……ん?何か向こうから音がするな……うおっ!?」

武昭が何か音のする方に行くと地面がなく急に海になっていて落ちそうになったが寸前で水面に立っていた。

 

「危ねぇ!フゥ……ギリギリだったな……」パシャパシャ

 

「おいおい武昭、お前ってどこまで人間外れな事してんだよ」

 

「え?普通に両足を高速で動かしているだけなんだけど」

武昭は足に力を込めて陸に戻った。

 

「なんか武昭にそういう事を言うのが面倒になってきたぜ。 それにしても……なんで急にこんな所から海になってるんだ?」

 

「んあ?そうなのか?竜胆」

 

「そうだぜ、一応この辺りの地図は持ってるんだ、ホラ」

武昭は竜胆が持っていた地図と今いる場所を確認するが確か地図上で地面の所が今は海になっていた。

 

「なんか、まるで地面だった場所が海に変わったみたいだぜ」

 

「そうだな……ん?アレは、まさか……よいしょっと!」

 

「いきなりどうしたんだ武昭……って何だそれ!?」

竜胆は武昭が草むらに石を投げた事に疑問に思ったが捕まえた動物を見て驚いていた。

 

「コイツはヘビガエルって呼ばれてる向こうの世界の動物ですよ……もっとも昨日のガララワニよりは捕獲レベルは低いですけど」

 

「そうか……けど、なんでそんなのがコッチの世界にいるんだ?」

 

「ガララワニにヘビガエル……待てよ、竜胆少しココで待っててくれ」

武昭は竜胆をおろすと近くを探索し始めた。

 

少しして武昭が戻ってきた。

 

「武昭、どうかしたのか?急に何かを探してたみたいだけど」

 

「いや……ちょっとした仮説があったんだが、どうやら俺が考えてる通りみたいなんだ」

 

「武昭が考えてる通りって……」

 

「まぁ、まずはヘビガエルを料理して昼飯にするぞ」

武昭はヘビガエルの料理を始めてしばらくすると料理が出来た。

 

「じゃあ、この世の全ての食材に感謝を込めていただきます」

 

「なぁ武昭が食事の時に言うそれってなんだ?」

 

「あぁ、コイツは俺を美食屋として鍛えてくれた人が言ってた事です……

だから俺も食を愛する人間としての命に対する礼儀を忘れない為に、言ってるんです……」

 

「そうか……そうだよな私たち料理に関わる者達は命を貰ってるんだもんな……

じゃあ私もこの世の全ての食材に感謝を込めていただきます……」

武昭の話を聞いた竜胆も武昭と同じ事をしてから食事を始めた。

 

その後、食事を終えて2人は話していた。

 

「それで武昭が考えてる通りってなんだったんだ?」

 

「えぇ……どうやら、この辺りの地域の一部が向こうの世界……つまりグルメ世界と繋がってるみたいなんです」

 

「なっ!?だから、あんなガララワニやこんなヘビガエルみたいな奴がいたのか!!」

 

「そうです……その証拠に、これはさっき掬った海水です、見ててください」

武昭はポケットから何らかのセンサーの様な物を海水につけると液晶画面に様々な成分が表示されていた。

 

「武昭、その機械も向こうのなんだろ」

 

「えぇスティックセンサーって奴です……それでここを見てください」

 

「うーんと……ん?なんだ?このG・Mって」

 

美食物質(グルメマター)って呼ばれてる物で向こうの奴には必ずと言っていい程入ってる成分なんですよ」

 

「そうか……その成分が入ってるって事は向こうの世界の物って証明でもあるのか……

けど、それならココはどうするんだ?」

 

「そうだなぁ……このままにして別の人間が入ったら危ないし……」ピピピ

武昭達が解決方法を考えてると何か音がしたので確認すると武昭の腕時計からだった。

 

「ん?なんだ、この音……ここが光ってるな……」

 

〔ワハハ!どうやら問題なくそちらに到着したみたいだな!武昭〕

武昭が機械の光ってるボタンを押すと盤面が開き空中に画面が浮かび上がるとマンサムが写っていた。

 

「会長!?どうして通信が……」

 

〔あぁ、説明するのを忘れていたな、そいつは通信装置も兼ねていてな、それで通信しとるという訳だ〕

 

「そう言う事は渡す時にでも教えといてくださいよ……あっ、ちょうど良かった実はコッチで少し問題が起きたんです……」

武昭は今までの事を説明した。

 

〔なるほど……事情はわからんが世界の一部が繋がってるのか……〕

 

「はい、それに昨日ですけど捕獲レベルが低いですけどガララワニを捕獲しました」

 

〔ガララワニか……武昭程の実力なら問題はない相手だろうが、そんな存在がいるのが問題だな……〕

 

「だから、範囲はそんなに無いみたいなんで隠形樹を植えて隠そうかと」

 

〔ふむ……それならば暫くは大丈夫か……まぁ、こちらでもどうするか話し合ってみよう では〕

マンサムは通信を切った。

 

「さてと、まずはどれだけの大きさか見ないとな……竜胆、悪いけど背中に乗ってくれるか?」

 

「あぁ、構わないけど、どうするんだ?」

 

「どれだけ広がってるか見るんですよ……ちゃんと捕まっててくださいね?せーの!」

 

「ちょ、ちょっと待て武昭……何をする……ウワァァァ……

竜胆は武昭が何をする前に上空へジャンプされて顔を青くしていた。

 

 


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