グルメ時代と繋がってる地域を確認して処理した武昭と竜胆は、その場から離れていた。
「全く……おいっ!武昭!!あんな事するなら先に言えよっ!!」
「悪いって謝ってるんだろう……確かに言わなかった俺が悪いけど……
それで、これから竜胆はどうするんだ?」
「うーん?それは武昭に着いて行くに決まってるだろ?」
「いや、それは無理だぞ?だって俺は向こうの世界から戻ってきたとはいえ簡単に言えば不法入国だからな」
武昭の言葉に竜胆はアッとした表情を見せた。
「だったら武昭はどうやってこの国から出るんだ?」
「まぁ、普通に海の上を歩いていけばいいだろ」
「いやいや、普通の人間は海の上を歩けないからな」
「え?そんな事言っても俺は歩けるんですけど……」
「もういいや、武昭と話してると何かが変わる気がするぜ……」
「そっか、じゃあ俺はもう行くよ、アッ、そうだ竜胆にこれでも渡しておくか」
武昭はポケットからドロップが数個入ったガラス瓶を渡した。
「んー?コイツは飴か?」
「そうだけど、ただの飴じゃなくて、こうすると……」
武昭が瓶を軽く振ると飴の色が変わった。
「コレはミラクルドロップって言って、こうやって振るたびに味が変わる奴なんだ」
「へぇー そうなのか……うん苺味だな……次はオレンジか」
「今度会う時には、また美味しい物を作ってやるよ」
「あぁ!待ってるぜ!武昭!!」
握手をすると武昭は、そのまま海上を駆けていった。
「またか……よーし、今度会う時までに私も料理の腕を上げないとなって!うん!葡萄味か!!」
竜胆はドロップを食べながら、その場を離れた。
それから1~2週間経ったある日の事……
「あーん!また勝てなかったぁ!!」
「よーし!武昭!!今度は俺の相手をしてもらうぜ!!」
「あぁ、構わないぞリョウ」
アマゾンから移動した武昭はデンマークにある薙切インターナショナルに来ていた。
「さぁ!どっちの料理が美味かった!?」
「「武昭の方だよ」」
審査員のベルタとシーラは武昭に票を入れた。
「ガァァァ!なんで俺の料理が負けたんだぁ!!」
「リョウの料理も悪くないだけどな……ただスープを作る時に野菜を入れ過ぎたから少し青臭いんだ……」
「チッ、確かに武昭の言う通りだぜ……今度こそ俺が勝ってやるぜ!!」
リョウがバンダナを取ると雰囲気が柔らかくなった。
「それにしても……武昭って、本当に料理が上手いよな……どこでそんな腕前を身に付けたんだ?」
「まぁ、色んな所でって事しか言えないよ」
「〔ムゥー〕武昭って本当に秘密主義よね!そんなに私達に話したくないの事があるのかしら!!」
リョウと武昭が話してると頬を膨らませたアリスが近くに来ていた。
「まぁ、人には誰しも言いたくない事があるって事だよ」
「おぉ、また料理対決をしていたのか」
3人が話しているとアリスの父親でもある薙切 宗衛が部屋に入ってきた。
「アッ、宗衛さんじゃないですか、どうかしたんですか?」
「うん、ちょっとね武昭君に話したい事があってね、私の部屋で話そうか」
促された武昭は宗衛と共に出ていったがアリスとリョウは、それを見て話していた。
「ねぇリョウ君、最近お父様と武昭が2人きりで話す事が多くないかしら?」
「そうっすね……まぁ、良いんじゃないんすか?」
「〔ムゥー〕もう!リョウ君たら無関心なんだから!!良いわ!私が聞き出して見せるわよ!!」
「アッ、お嬢……全く仕方ないな……」
リョウはアリスの後を追いかけた。