本来の世界に帰ってきた料理人   作:北方守護

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第6話 案件

武昭が宗衛と一緒に部屋に行くとアリスの母親でもある薙切レオノーラがいた。

 

「アッ、レオノーラさんもいたんですね」

 

「それはそうデース、私とナッさんは常に一緒なんですカラー」

 

「ハハハ、私も同じ気持ちだよレオノーラ……それで武昭君を呼んだのは【G案件】らしき物が見つかったからだ」

G案件という言葉を聞いた3人は真面目な表情になっていた。

 

「それで……今回の場所はどこですか?」

 

「うむ、今回は東南アジアの、この辺りらしい」

宗衛はモニターに地図を写し出すとある地域を丸で囲った。

 

「それで、今回の件がG案件だと思う理由はなんですか?」

 

「それは、この様な物が見つかったからだ」

宗衛はアタッシュケースを取り出すと中からある物を出したが武昭はそれに見覚えがあった。

それは金色に輝く人参だった。

 

「コイツは……やっぱりゴールド人参じゃないっすか」

 

「やっぱり武昭君が知ってる物だったか……最初、それは塗料でも塗られた物だと思われていたらしい」

 

「でしょうね、コイツは向こうの世界での普通の畑でも極稀に出来る物ですからね」

 

「私達は以前に武昭君から様々なデータを見せてもらっていたから、それに心当たりがあったんだ」

 

「それで武昭君、コレはどう料理するんですカ?」

 

「コイツは柔らかくて糖度も高いから野菜ジュースにすると美味しいです」

 

「そうか、それは後で良いとして武昭君には、そこに向かってもらいたいんだ」

 

「分かりました、出発には、どれだけかかりますか?」

 

「今から空港に向かってくれれば良いのだが武昭君は大丈夫か?」

 

「えぇ、俺はいつでも出れますよ」

 

「そうか……ならコレがチケットだ、それと情報が書かれた書類だ。後は現地に案内人がいる」

武昭は宗衛からチケットと書類を受け取ると、そのまま空港に向かった。

 

 

「武昭だけでどこに行くのかしら……リョウ君!私達も行くわよ!!」

 

「はぁ……分かりましたよお嬢……」

リョウはアリスを止めれないと判断して一緒に空港に向かった。

 

 

 

飛行機の中で武昭は宗衛から貰った書類を見ていた。

 

「少し前から今まで見た事無い作物などが発見されている……か」

 

「紫水さん、そろそろ着陸します」

 

「はい、ありがとうございます」

武昭は目的地に到着した。

 

(どうやら目的地に着いたみたいね……行くわよ!リョウくん!!)

 

(ヘーイ、わかりやしたー……なんだろうな……この嫌な感じは……)

そんな中黙って飛行機に乗っていたアリスとリョウは武昭に気づかれない様に降りて後をつけていった。

 

 

しばらくして武昭は宗衛から聞いた案内人の所に来ていた。

 

「あなたが宗衛さんから聞いてた案内人ですか?」

 

「あぁ、そうだ……だが俺が案内出来るのは地図上だけでしか無いんだ」

 

「まぁ、何が起こるかわからないから構いませんけど それに1人だけの方が動きやすいですから」

 

「すまないな……それであの品が見つかった場所はここら辺りになる」

案内人は地図で、その場所を示した。

 

「うーん、結構な奥ですね……何か以前と変わった様な事はありませんでしたか?」

 

「以前とか……そういえば、少し前に山に入った奴から大きな獣を見たと聞いたな」

 

「大きな獣って、どんな奴でしたか?」

 

「そいつが言うには体長7~8m程の真っ黒な熊だってよ……」

 

「体長7~8m程の真っ黒な熊……(まさか……)わかりました、じゃあ出発しますんで」

武昭は案内人から情報を聞くと現場に向かった。


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