アフリカ某所。
ジオン残党軍拠点。
荘厳な洋風の邸宅の一室を思わせるような部屋でジオン軍服に身を包んだ男がモニターに向かい合っていた。
「ノイエン・ビッター少将閣下。お久しぶりです。」
モニターの向こう側でセリウスが敬礼をしてビッターに挨拶をした。
「うむ。セリウス准将。司令就任おめでとうございます。で、ご用件は?」
ビッターは武人の鑑とでも言うべき男であった。
軍組織上上位に存在する、年も階級も下のセリウスに対して敬語を使うことに何の苛立ちやそのような感情を持たない程に器が大きく、武人ぜんとした男であったら、
そして、軍人として最も優先すべきは作戦行動であることも理解していた。
「率直に申し上げて、兵を出して頂きたい。」
セリウスも少将という、自身が本来あるはずのない特例の2階級特進をしてもなをたどり着けていなかった高みにあるビッターに対して敬語を使うことを惜しまない。
司令に着任したからといって大言壮語を年も階級も上のジオン軍の屋台骨ともいえるビッターに吐く気にはならなかった。
少将以上という階級はジオン軍内において特別な意味を持っていた。
それは、ザビ家の人間と同等または近い地位に組織上就くということに起因する。
軍内において少将以上のものはザビ家の身内に近い存在であると考えられていた。少なくともザビ家の誰かからは特別に厚い信頼を寄せられているわけである。
そんな少将に自らの力のみで上り詰めたビッターに対してセリウスは尊敬の念を抱いていた。それも、敬語を使う一つの理由でもあった。
「どの程度?」
「堅牢な基地一つ潰すだけの。」
「なるほど。占領は考えなくても?」
「ええ。勿論です。」
占領をするのか、ただ破壊するのみか。というのは重要な問題であった。
何故ならば占領するならば継続的に占領し続けるための追加戦力、補給線の確保をしなければならないからだ。
正直、物資の困窮するアフリカ方面軍第三突撃機動師団にとって大戦略なき、戦略価値ない占領地の拡大は望むべきところではなかった。
勿論、セリウスもそれを解った上で破壊のみに済ませんのであった。
ビッターも物資の補給がなくとも、指示された作戦行動はなんであろうとやりとげて見せるという思いと自信があった。そして、今回のように上官から自分の腕を見込まれて頼み事をされることは軍人冥利に尽きると思っていた。
「加えて、潜水艦一隻分の物資とモビルスーツ一機を微量ではありますが閣下の軍に送ります。」
「それはありがたい。喜んでいただきます。」
正直、ビッターは喉から手が出るほど物資を望んでいた。
「作戦の詳細については…」
こうしてジオン残党も活動を始めた。