お隣さんちのジャンヌ三姉妹   作:Eクラス

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神父×麻婆豆腐×JK

 オレはまだ痛むお尻を心配しながら、オルタと遊びに出掛けるのであった。

 

 昼食は外で取ると母さんに伝えており、オレ達は電車に乗りいつもの遊び場へ目指した。まー、遊び場つっても新宿なんだけども。どうせ、いつものようにゲーセンだろうけど。メダルゲー楽しいよなー。

 

 でも、オルタの今日の目的は違った。

 

「なにここ?」

 

「神父が作る麻婆豆腐が映える店らしいわよ」

 

「へー……」

 

 店の中に入りテーブル席に通されたオレはオルタからそんな説明を受けた。

 

 ここは神父が営む中華料理屋だってさ。ザ90年代な古めかしい内装。従業員はたった1人なもんで、広さもそれほどなく、サラリーマン辺りのおっさん常連客ばかりが好きそうなイメージなんだが、それは偏見でしかないようだ。

 

 この店の売りというかコンセプトがあるそうで、ターゲット層は若い女性に、特にJKに的を絞っているらしく、店1番のオススメ料理である麻婆豆腐がJK共にウケるらしい。そして、神父×麻婆豆腐×JKの絵が映えるとかで、店に来たら麻婆豆腐を頼んでSNSにアップするのが今の新宿JKの流行りだとか。しかも、JKであれば麻婆豆腐半額とかっ。マジかよJK。

 

 確かに店内を見渡すといろんな学校の制服姿のJKばかりいるんだよなー。新宿民でもないオルタもそれにちゃっかり便乗したいらしく、学校指定の制服でやってきたわけだ。ちなみに、オレも制服なのは命令されて着せられたからだ。

 

 とりあえず、注文しようぜ。

 

「すみませーん。麻婆豆腐と麻婆ラーメン。それから、餃子2人前くださーい」

 

「承った。しばし待たれよ」

 

 神父さん、渋い声だな。そりゃ、おじ様好きなJKにはたまりまへんわなー。

 

 オルタもこういうおじさんが好きなのだろうか……だとしたらヤバいな。

 

「え、なに?」

 

「別に……」

 

「でもアンタ、失礼なこと考えてたよね」

 

「……エスパーかよ」

 

「そりゃわかるわよ。何年アンタと一緒にいると思ってんのよ」

 

「そーだな……」

 

 こいつ、さらっと言うよな……

 

「いや、お前のタイプってどんな人かなと思ってさ」

 

「は?な、何よ今さら……そんなの、なんでアンタが気にするのよ…………」

 

「いや、おじさん好きならオレも放っておけないし。円〇とかしてないよな?パパ活とか絶対してないよな!!」

 

「ど、どんな心配してくれてるのよ、まったく……」

 

 そんなわけないでしょ、と一蹴されたのでオレも一安心である。

 

「それよりGWはどうするのよ。今の内に予定決めないとアンタまたひどい目に合うわよ?」

 

「うっ……頭が…………」

 

「母さんも張りきってたしね。また町内会の旅行に連れていくんだーとか言ってたわ」

 

「……やべーよ、それ」

 

 頼光マッマ。ブーティカママ。マタハリママ。エレナママ。巴さん。メディア夫人。オマケに般若にジャンヌママ……あぁっぁああああばばばっば何も思い出したくねぇええええ。

 

「まぁ、流石に嘘だけど」

 

「嘘かよ。あまりシャレになってねーよ。二度と行きたくねーよ」

 

「アレは完全な拉致だったわよね。流石に同情するわ」

 

「……今度は助けてくれよな」

 

「アンタ次第よねー。今晩マッサージよろしくー」

 

「はいよ……」

 

 この世は弱肉強食だ。

 

 だから、弱者は強者に媚びを売るしかないのである。

 

「おまちどうさま。麻婆豆腐と麻婆ラーメンに餃子2人前だ。冷めないうちに食べなさい」

 

「こ、これが噂の……」

 

「……とりあえず撮るか」

 

 テーブルに置かれたマグマのようにぐつぐつ煮えたぎる赤い麻婆豆腐と神父とJKの絵が必要なんだろ??

 

 ドン引きなオルタを急かしてオレはスマホを取り出した。神父も慣れたもので、オルタの横に並び屈んではフレームに収まってくれた。オレがシャッターを押すたびにポーズを変えてくれる。オルタはそれを確認してオッケーを出す。オレも1枚1枚確認してみたが、オルタの奴は全部笑顔が引きつっていたがな。何はともあれ当初の目的は達成して満足していたようだ。

 

 しかし、これで終わりではない。

 

 これからオレ達はこの明らかに辛いであろう麻婆豆腐を食さなければならない。オレは麻婆ラーメンとかふざけた料理を頼むんじゃなかったと後悔した。餃子も2人前胃袋に入れる自信がないんだがな。

 

 なかなか神父さんが厨房に戻ってくれないことから察するに、一口目の感想でも待っているのだろうか。

 

「「いただきます」」

 

「うむ」

 

 とりあえず、プレッシャーはあるが、一口……オレはレンゲで麻婆をすくって口に付けた。オルタもええいままよと一口パクリと食べる。

 

 そして、時が止まる。店内は騒がしいというのに、まるで自分達だけが世界から切り離されたような錯覚に陥った。

 

 要するに滅茶苦茶辛くてスプーンを持つ手を止めたということだ。

 

「か、辛~~~~っ!??」

 

 水っ、みずーーーっっっ……

 

「で、でも、味は今まで食べたことないぐらい美味しいわっ」

 

「こ、これが本場の味とでもいうのかっ」

 

「駄目っ、箸が止まらないわっ」

 

「待てオルタ。お前、それを言うならレンゲが止まらない、だろっ」

 

「でもアンタは箸でラーメンも啜ってるじゃないっ。何よその組み合わせズルいわ美味しそうねっ。ちょっと一口よこしなさいよっ」

 

「あぁ、食べてみろよ。マジなにこれ麻婆と麺が絡み合うだけでこんな美味しいもんになるのかって感じでさーまじバイブスいとあがりけりーって感じだぜ」

 

「ズズー……アンタ食レポ向いてないわ。でも、美味しいわっ何これ箸が止まらないもの勝手に手が動くのよっ……ズズーっ」

 

「おいおいそんなに食べたらオレの分なくなるだろ。それよりも、お前汗ヤバいぜ」

 

「そういうアンタも汗ヤバいわよ。ちょっとエロいんですけど……あ、嘘よ?冗談ですっ。こほんっ。まーそんなことより。はい、アンタの分返すわ。もう半分食べちゃったけどね」

 

「うわホントだ、オレの麻婆食べ過ぎだろっ……!!?」

 

「だったらアタシの分少しあげるわよ。皿に移すわよ??」

 

「あぁ、当然だろ。オレの麻婆をすみやかに返せ。お前が食べた分だけ麻婆を麺にかけてくれっ」

 

「はいはい、アタシが食べたのはこんだけよ……」

 

「あれ?レンゲ一口分??お前コノヤロー」

 

「うふふっ、さて何のことかしらー」

 

「あははっ、こいつめー」

 

「うふふーっ」

 

「あははーっ」

 

 などと、麻婆の取り合いに発展した。どこのバカップルのやり取りなんだか、、、、なんて恐ろしい麻婆なんだろうか。麻婆に魅力され理性を失う者たちの美しくも醜い小競り合いである。仲良く取り合いしているように見えるがオレ達の目は笑っていないからな。ガチだからな。

 

 これ、もっと世に出回ったら戦争に発展しないか?それぐらいエグいんだぜ?麻婆兵器か何かだろ。

 

「少年少女たち。麻婆豆腐の取り合いもいいが、餃子も食べてみてくれ」

 

「おっと悪い。見苦しい所を見せちまった」

 

「なに。今のやり取りで、どれだけ美味しく食べてくれたか十分に伝わったぞ」

 

「それじゃ、餃子もいただきますかー」

 

「ええ」

 

 お互い、一時休戦して小皿を2人分用意した。

 

 醤油を入れラー油を入れて1つはオルタに渡しては、さっそく餃子につけて口に運んだ。

 

「な、なんじゃこりゃーーーっ!!?」

 

「な、中に麻婆……!?」

 

「どうだね。麻婆餃子のお味は」

 

「凄く辛いけど最高だ……っ」

 

「あぁん、口の中がピリピリして涎が止まらないじゃないっ」

 

「それはよかった」

 

「はぁはぁ、あちぃー脱ぐか、、、、」

 

「う、うくぅ、ア、アタシも脱ぐわっ。そして、麻婆餃子おかわりするわっ」

 

「承知した」

 

 これが神父の狙いか。まずはド定番な麻婆豆腐をオーダーさせて、そこから麻婆の激辛に、美味しさに、奥ゆかしさに触れ味わい他のメニューにも手を出させる作戦なのかもしれない。

 

 こんなの普通じゃねーよ。しかし、この時ばかりは普通じゃできない麻婆がここにあんだね。

 

 オレ達はブレザーを脱いでブラウスもボタンを外していく。神父がタオルを用意してくれていたらしく、それを受け取って1度汗を拭いた。

 

 そして、ここからだ。

 

 残りの麻婆ラーメンをノンストップで啜り麻婆も豆腐も全部胃袋に流し込んだ。エグいほど辛いんだが箸もレンゲも止まることはなかった。頭が真っ白になってスパークして無我夢中で手と口だけが動いていた。

 

 鼓動が高まり完全にハイッてやつだぜ~。

 

 そんでもって、追加した麻婆餃子が届きオレ達はすぐさま食らいついた。

 

「くっ、ビンビン来てやがるぜ」

 

「ア、アタシもキてるわっ」

 

「これ以上駄目だってわかってるのに箸が止まらねぇっ。あひっあひーっ」

 

 できたてで熱いんだよ。口の中で麻婆が踊る踊る。それが快感で堪らない。やめられないっ。

 

 オレ達は食事をしているはずだよな。しかし、この快楽はやめられず、性に無知なオレ達は新しい世界を開いてしまったのかもしれない。

 

 もうぶっちゃけ目の前のオルタがエロい。普段はなんとも思わない幼馴染が久しぶりエロく見えた。多分、それはオルタも同じこと思ってるんだろうけど。それはわかる。いつも一緒にいるんだからコイツの反応ぐらいわかる。お互い目を逸らさないもんな。視線が絡み合い舌で麻婆を絡ませ、そして、胃袋に落としてはビクンビクン身体が悲鳴を上げるのだ。

 

 だが、オレ達の今の関係が崩れることはない。一戦越えることはなく、越えないラインで互い牽制し合いこの瞬間の生と性と食と麻婆だけを貪り尽くすだけだ。

 

「「ご、ご馳走様でした、、、、」」

 

 最後の一口を食べ終えたオレ達は完全燃焼した。

 

 息も乱れ服ははだけては、もうそれは肉食動物にどうぞ食べてくださいと言っているような無様な格好になっていた。こんなの普通じゃない。だが、それでいい。今は、少しでもこの余韻に浸りたいのだ。

 

 JKがコレにハマってしまう理由がわかっちまった。他の客達もみんなが麻婆に溺れていた。

 

 これが神父の本当の狙いだったかもしれない。見てみろよ、遠巻きからオレ達や他の客達の反応を見下ろす姿は愉悦に帯びている。なんて変態野郎なんだ。

 

 うん、海老反りなマジ卍。




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