お隣さんちのジャンヌ三姉妹   作:Eクラス

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下駄箱にラブレター

 ふあ~…あー、ねみぃ。

 

 なんて、欠伸をしながら登校する今日この頃。いつものように、当たり前のように幼馴染(オルタ)と登校するオレ。今週末からGWだなー嫌だなーとか愚痴りながら登校する。GWってさー、もっとワクワクするもんだよなー……なんだよ、GWが嫌いな男子高校生って。そんなのラノベ主人公でも聞いたことねーよ。

 

「あ、犬のうんち踏んでやんの」

 

「げげぇっ!?」

 

 誰だよ、うんち拾って帰らなかった飼い主は?

 

 オルタとの登校は安パイなはずのに……ついてない……いや、うんは付いたけどな。靴裏に着いた“うん”と“ち”をアスファルトや電信柱に擦り付けながら登校する。

 

「ねぇ、うんち君」

 

「お前、幼馴染の名前がうんちって嫌だろ……」

 

「でも、今のアンタにお似合いのあだ名よ」

 

「……そうかい。で、なに?」

 

「また、犬のうんち踏んでるわよ……」

 

「う、うんちぇ………」

 

 オルタは前方不注意なオレを注意しようと声を掛けてくださったのだが、うんち君のあだ名に気を取られたオレはまたしても前方に転がるヤツを避けきれず踏んでしまった。

 

 ツイてなさすぎて逆に笑える。

 

 学校着いたらソッコーでうんち洗い流そう。

 

 あと、

 

「新しい靴を買うしかあるまい……」

 

「だったら行ってみたいとこあるから、そこで買いましょ。ちょっと遠いけどね」

 

「わかった」

 

 なんでも、最近新しくできたアウトレットだとか。アウトレットの雰囲気は好きだからオレは別にいいけどな。とりあえず、こいつとのGWの予定が1つ決まった。

 

 そして、うんちなやり取りをしながら歩いていると、前方に見覚えある背中を2つ発見した。信号1つ越えた先にジャンヌと、その彼氏が一緒に並んで歩いていた。

 

「あれ?あの2人、より戻した??」

 

「それはどうかしらね……」

 

 2人の距離が微妙なんだよな……。

 

 恋人のそれじゃねーのよ。もっとこうガッとくっついてだな。手でも握れってんだいっ。

 

 それと歩くの遅い。このままのペースだと追いついてしまうじゃないか。だから、オレたちは歩くペースを緩め、信号を1つズラしたりして、学校まであともう少しの距離をそろーりそろりと奴らの後ろをこっそり歩いた。時に電柱に隠れ、時に犬のうんちに触れ…他の生徒に変な目で見られながら……

 

 つーかさ。もうじれったいとか通り越してなんかイラっとくるんだよなー。

 

 お前らどうしたいの?より戻したいの?終わりにしたいの?なんで楽しくお喋りしてないの?オレ介入していいの?今まで静観していたけど愛のキューピットした方がいいの?大きなお世話?お前らに言いたいことは山ほどあるというのに地の文にもできないこの感情。もうそれはモヤモヤしましたとも……

 

「ほんと、アレ見てるとなんかイライラするわね」

 

「ホント何なんだろうなー」

 

「別にアタシはあの二人がどうなろうと知ったこっちゃないんですけどね」

 

「でもジャンヌが心配なんだろ?」

 

「はあ?心配してないわよ。そんなワケないですー。むしろアタシ達であの2人を罠にハメてラブホぶち込んであげたいぐらいですー」

 

「お前ね…オレは自制したというのに酷いよな……」

 

「う、うっさいわねー……でも、あの2人って、いざラブホ行ってもまごついて失敗するパターンのカップルよ」

 

「失敗って例えば?」

 

「た、例えば……部屋の明かりを付けたらミラーボールが回っちゃってディスコの中でヤっちゃうとか……」

 

「それはヤれたんだから成功してんじゃねーの?」

 

「うっ……そ、そんなことよりも、アンタはどうなのよ??」

 

「……どうって何が?オレの初体験でも知りたいのかお前??」

 

「は??」

 

「え??」

 

「し、シたの??誰と……」

 

「え、いや……襲われることはよくあるけど。未遂なのは、お前もよく知ってるだろ」

 

「………う、うん」

 

「いやいや、オレらがアイツらみたいな空気になってどーするんだよ」

 

「そ、そうね。アタシが聞きたいのはそういうことじゃなかったわ。ごめんごめん、アンタは聖女様がアイツに取られてもいいのか?って聞きたかっただけよ」

 

「お、おぅ……」

 

 でも、オレが聖女様をどう想おうとそれって今関係なくね????とは言えなかった。

 

 言うよりも先にジャンヌ達がこちらに気づき、あいつはまた性懲りもなく笑顔で手を振っていたから……『家族』なら仕方ないのか。『姉弟』はこれが普通なのか……オレはジークが気まずそうに先に校門をくぐり校舎の中へ入っていくのを見届けて、またイラっとした。

 

 関係なくはない。ただオレはジャンヌに普通に幸せになってほしいと思っている。今、言えるのはそれぐらいだ。

 

「弟くん、今朝方ぶりですね♪」

 

「姉。一応言っとくけど、アタシも隣にいることをお忘れにならないでくださる?」

 

「オルタはお姉ちゃんにスルーされて妬いてるんですかー?貴女もようやく可愛げが出てきましたね。お姉ちゃん嬉しいです」

 

「……もうアタシは何も突っ込まないわよ」

 

 姉が妹を煽っていくスタイル。つっこんだら負けだぞ、オルタ。

 

「というか、立香……なんかクサイです。ごめんなさい、離れてください」

 

「アンタが勝手に離れたらいいでしょうが!!」

 

 恋人以上の至近距離ゼロメートル。

 

 オレの靴底に踏んづけてまだこびれ付いているだろう犬のうんちの臭いが風に誘われて、あざとカワイイ聖女様の鼻孔をくすぐった。鼻をつまんで二歩下がってやっと普通の立ち位置ってなんなのさ。一歩が短い……が、オレの代わりにオルタは言ってくれて助かるわー。

 

 それよりも、さっきのこと注意してやろうかと思ったり。でも、それは家に帰ってから説教したらいいかと、今日はちょっと本気なオレを見せてやろうかと思わなくもなかったり。マジで何考えてんだろうな、この聖女様。あざとカワイイ聖処女様は本当に……

 

 とりあえず、オレは靴底についたうんちを処理するため水道ある校庭に立ち寄った。靴底から剝がれ落ちて排水管に流されるうんちを見送っては「次、うんち処理していない飼い主を見かけたら説教する」と心に誓った。そんでもって真剣にうんちを処理するオレに何かいろいろ言いたいところがある姉妹と一緒に校舎へ向かった。この道中も、お姉ちゃんを名乗る聖女様から「お姉ちゃんが新しい靴を一緒に買いに行ってあげましょうか?」なんて言ってくるもんだから、次女は「先約済みですー残念~」と煽るもんだから、それで長女はまたあざと可愛くオレにアピールして「お姉ちゃんも連れて行ってほしいなっ☆」とかお願いする始末で……

 

 

 

 オレじゃなくてジークと行けばいいだろ。

 

 

 

 心の中でつぶやいた。こんな冷たい言葉で、今のこんな『姉』に言いたくなかった。

 

 結局の所、このイライラはうんちが原因なのか自称・姉とその彼氏が原因なのかよくわからなくて、そう考えると余計にさ……言葉を選ぼうとして、結局何にも見つからなかった。もうこれ以上面倒ごとになるんだったら、『家族』皆で行けばいいだろ…としか思えなかった。

 

 そして、GWの予定すら今はどうでもよかった。

 

「下駄箱にラブレターだ……」

 

「「は??」」

 

 オレの下駄箱にラブレターが置いてあったっ!!!???




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