お隣さんちのジャンヌ三姉妹   作:Eクラス

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こんにちは、ジャンヌ

 次女オルタに忠告されたことがある。

 

「あの女はどこか頭のネジがぶっ飛んでいるあざとい聖女様だから普通に気を付けなさい」

 

 確かにそうなのかもしれない。

 

 ジャンヌ家の長女ジャンヌ・ダルクはあざと可愛い。

 

「うふふ、だーれだ?」

 

 休憩時間、校内を1人ぶらついていたら後ろから手で目隠しされた。

 

 誰って・・・・・・声からして、次女オルタと似ていて、しかし、あいつがこんな小っ恥ずかしいこと、死んでも学校でしない。

 

 だから、答えは1つしかなかった。

 

「そう。君のお姉ちゃんですよ♪」

 

 お姉ちゃんぇ・・・・・・振り返るとあざとい聖女様が嬉しそうにニコニコしてらっしゃった。

 

「何かいいことでもあった?」

 

「君に会えました

 

「お、おう……」

 

 学校は同じ、クラスは違えど学年は同じなんだから遭遇する確率も高いだろうに。あぁ、意図せず会うから嬉しいんだろうか。

 

 学校では一緒にいないからこそ、次女と比べて絡みが少ないからこそ、こういった瞬間が嬉しいのだろうか。だが、流石に学校では自重されたし。

 

 少しモジモジしては手を後ろに組み、ちょっと下から覗く感じの上目遣いがまたあざと可愛いな、おい。

 

 くっそ、、、反則級だぜこの聖女様は。

 

「で、ちょっとイタズラできて満足?なら、オレもう行くけど」

 

 オレの理性が保っている内に退散するのだ。したいのだ。

 

「もう、まだ用事は済んでませんよ。いつもそうやってお姉ちゃんを避けようとするなんて酷いです。泣いちゃいますよ?」

 

「はいはい、ごめんな」

 

 テキトーに流されたからなのか、ほっぺたをぷくーと膨らませてご立腹をアピールしてらっしゃるよ。駄目だ、直視できない……あと、近いんだって。

 

 知ってるか、ヒトにはパーソナルスペースってのがあってだな……

 

「あ、オレ便所行きたかったんだ。悪いな、ジャンヌ」

 

「あ、まだ私の話は終わってませんよ!!」

 

 オレは理由を作って男子トイレに逃げることに成功した。

 

 まったく。

 

 まったく、、、、身が持たない。用を足して一度深呼吸をしよう。落ち着こう。

 

 確かにオレはジャンヌを避けている。たとえ、幼馴染としても次女と在り方が違うから戸惑いさえする。次女は同じクラスだからもう慣れたが、オレは基本悪目立ちをしたくない『普通』を望む人間だ。

 

 なんだよ、あの聖女様。あざと可愛い過ぎなんだよ。

 

 オレ達が学校の奴からどういう風に見られているのか、あの聖女様は知らないのだ。いや、確信犯だったら最悪なんだけども。

 

 昔からああだよ。

 

 子供の時から一緒にいるから、ああなっちまった。家族を想うが故の行き過ぎた好意だ。ちょっと愛が重いと感じてしまう。

 

『普通』じゃない。それはよくない。

 

 別に長女のことは嫌いじゃないぜ。でも、ああいう過度なスキンシップは敵を作り過ぎるだけだ。それがオレは心配で、そして、個人的に迷惑と感じてしまう。

 

 はぁ、心休まねぇ。何のために1人になったのか、これじゃわからない。

 

 しかし、心休まず問屋は降ろしてくれなかった。

 

「トイレ済ましましたか?」

 

「何故、いる……」

 

 オレは誰にも会わない別棟の3階トイレまで逃げ込んだというのに。この聖女様、待ち伏せしてやがりましたよ。

 

「まだ話は終わってませんでしたから」

 

「いやいやいやいやいやいやいや」

 

「そんな否定しなくても」

 

 いや、怖いってちょっと……いや、オレが露骨に避け過ぎた反動だ、これ。

 

「つーか、せっかくの昼休みなのにこんなことしてるの勿体ないって。友達と恋バナでもしてこいよ」

 

「マリーと恋バナするのにもネタがないと……」

 

「いやいや、オレは何も恋を咲かせるほど面白いネタとか持ってないって。これに関しては普通以下だし、期待するなし」

 

「そんな、卑屈になっちゃ駄目ですよ。ちょっとこっちでお姉ちゃんとお話しましょう」

 

「ぐっ、どこへ連れて行く気だ貴様…………っ!??」

 

 別棟。4階上がった所の屋上前の鍵で封鎖された扉前まで力づくで連れてこられました。

 

 退路は断たれた。

 

 聖女様はオレを追い込み壁ドンしてきた。両手でメリメリって……コンクリートの壁に亀裂入ったのは脆かったからだよな……っ!?

 

「ジャンヌは壁ドンする相手を間違っているぜ……」

 

「まさか、ジークくんのこと言ってますか?」

 

「お、おう……」

 

「立香はほんとデリカシーが欠けてますね」

 

「上手いこといってないのか?」

 

「それは……」

 

 ジャンヌ、もしかして……寂しくなってオレに?

 

 この長女には彼氏がいるんだけども。だから、オレも学校であからさまに度がしがたいスキンシップは避けるようにしているんだけども。

 

 彼氏の名前を出した途端、ジャンヌは顔を伏せて沈黙してしまった。壁ドンも私少し怒ってますアピールからくるものだろう。ジャンヌもどうしていいのか混乱しているんだろう。

 

 とりあえず、何があったのか説明してもらうために階段に腰を下ろすように促して2人並んで座った。ジャンヌは最初からオレの肩に頭を乗せて、ぽつりぽつり話してくれた。

 

「私達、当分の間距離を置くことになりました」

 

「そっか……」

 

「もう別れるかもしれません」

 

「うん……」

 

「原因は立香にもあります」

 

「あ、え、オレーーーーー!??」

 

 えーオレのせいー?

 

「そんなに驚くことですか?」

 

「いや、なんでオレも原因なのさ」

 

「立香が可愛い過ぎるから原因なのですよ」

 

「いやいやいや……ちょっと待って、意味がわからない」

 

「お姉ちゃん、ちょっと奥手なジーク君にそろそろ痺れ切らして、意地悪なことをしてしまいました。お姉ちゃんと立香がイチャラブしてる写真見せたら『俺も男だガオー』ってなると思ったんです」

 

「そして、見事に嫉妬して作戦失敗したと」

 

「はい。いつもに増して怒ってしまってお姉ちゃんまだ処女なんです」

 

「それは聞きたくなかったかなー・・・・・・」

 

 1年も付き合っといて『まだ』してなかったとこにびっくりした。

 

「それで、ジーク君は私を避けてしまって・・・・・・それで、今日さっき話すタイミングができたのですが、距離を置こうと言われまして」

 

「そっか・・・・・・」

 

 というか、オレが悪いのかこれ。オレが甘いからこうなったのか?

 

 なんか、おかしくね?

 

「お姉ちゃん、反省してます。ジーク君の気持ちを知ってましたし、立香にもいつも迷惑かけてしまって、ごめんなさい」

 

「ジャンヌ・・・・・・」

 

 その気持ちがあればジークも許してくれるだろう。よりも戻せるはずさ。

 

 そんないい事を言って締めるつもりでした。

 

「あぁん、でも、お姉ちゃん本当にオトウトニウム不足なんですよ!だから立香とこうして学校でもこっそりイチャイチャしてエネルギー充電したいんです!!」

 

「ダメだこりゃ・・・・・・」

 

 あの、クンカクンカしないでください・・・・・・

 

 当分の間、この聖女様に男2人振り回されるのは言うまでもないだろう。




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