5時間目を屋上でサボろうと思っていたんだけども。
気づいたら、何故か保健室のベットの上で仰向けになっていた。あまり馴染ではない天井がそこにあった。おかしいな、オレは何で保健室で寝ていたんだろうと自問自答する。たしか、1組のマリー・アントワネットと別棟の屋上にいたはずだ。しかし、何故か保健室にいた。
そして、何故かベッドに拘束されている。両手はバンザイ、両足も大股に開いて4箇所上手いこと手錠で繋がれていた。
だ、誰がこんなことを.........
そういえば、オレはマリーさん以外の誰かと屋上で会っていたような気がする。うっ……思い出せない。
「目が覚めたか?」
「お、お前は……っ!?」
な、何故、お前がここに……。
「教室に戻ってこないから心配したぞ。まったく放し飼いにした途端にコレだ」
「放し飼いって、お前……」
「あぁ、だからこうして手錠でお前を拘束しているわけじゃないぞ?コレは私が来た時こうなっていたのだ」
「そ、そうか。それを聞いて少し安心したぜ」
こいつの趣味じゃなくて良かった。
「というか、オレに何があったんだ?」
「覚えていないのか?貴様は屋上で倒れていたらしい」
「マジっすか……」
「あぁ、マジだ」
などと、心配(?)な顔をするコイツの名前はアルトリア・ペンドラゴン・オルタ。
ジャンヌ・オルタと同じく"オルタ"って名前付いていてややこしいので、オレはアルトリアと呼んでいるがな。たまに、アルトリア・ブラックとかふざけてみたりするのだが。
コイツはクラスメイトの不良。入学式の日に、当時学園最強だった上級生の慢心金ぴか王に喧嘩を売ってボコった伝説があったり、次女オルタと何度も衝突があったりなんやかんやの問題児だ。
そんで次女オルタの悪友になったものだから困ったものだ。主にオレの理想の普通な学園生活が台無しになった元凶の1人だから。
「それで、オレは何故屋上で倒れていたんだろう」
「そこまでは私も知るところではないがな。倒れていた時の前後の記憶が無いというのはよくあることだ」
「それで、お前がオレを発見して、ここまで運んでくれたのか?」
「いや、貴様を発見して、ここまで運んだのは私でなく貴様の後輩だ。ほら、アイツだ。私は名前は知らないが、時たま貴様と一緒にいるだろ。紫の髪の後輩だ」
「そっか、お礼を言わないとな……」
というか、それって誰のことだよ……
髪が紫の後輩……
うっ……誰だろう。思い出せそうで思い出せない……
笑顔はチャーミングだったかもしれない……
親し気に先輩って呼んでくれていた気もしなくもない……
でもどこか人を見下していて……
腹黒で…………
いつもオレを困らせて、こうやってオレをベッドに手錠で拘束するのも普通にやってしまいかねない異常性癖をも内に秘める小悪魔系女子……
ここまで出てきているのに……あと、もう少しなのに…………
イメージしてみても駄目だ。目隠し線でフィルターが掛かっているイメージだ……
やっぱり、思い出せないや……
まっ、いっか。
「それで?その後輩からバトンタッチしてオレの付き添いをしてくれているのか」
「まぁそんなところだ」
アルトリア曰く、授業が始まっても教室に戻らないオレを探すため、(授業を抜け出す口実ができてラッキーと思っていたらしく)テキトーにぶらぶら校内を散策してたら偶然その後輩を発見したそうだ。気絶しているオレを引きずっている怪しい後輩を発見したらしい。
それでその後輩の後を付けたら、ここ保健室にたどり着いたそうだ。
「私はその後輩に言ってやった。ソレは私のモノだ。私の許可なく勝手に手を出すな…とな」
「ア、アルトリアさん、かっけー……っ!!」
主人公か何か、コイツ。
でもな、大前提で間違っているんだよなー、これが……いや、今は否定するより説明を聞くけども。
「じゃあ、その後輩は何て言ったと思う?『じゃあ私の代わりに先輩の彼女(仮)になってくれますかー?先輩、彼女欲しい童貞卒業したいって五月蠅いのなんのその』と言って私にその役目を譲ってくれたワケだ」
「……何言っているのかよくわからない」
「つまりアレだ。今からセックスするぞ」
「いつものパターンじゃねーか………っ!?」
よし、今すぐ逃げよう!!
「ふふっ、手錠に繋がれているのを忘れたか、馬鹿者め」
「オ、オルタえも~~~~ん!!」
「今日こそ年貢の納め時だな。あぁ、あの突撃女は宛てにするな。貴様が教室にいないことなど気にもぜず、ノートに漫画の落書きしていたな。私があ奴に確認してみたが、どうせサボりだろうと決め込んで自分の世界に没頭していた」
「ア、アイツ……」
「まったく薄情な幼馴染を持ったものだな、貴様も」
まぁ、それがジャンヌ・ダルク・オルタであり、アイツの美点でもあるし。しかし、タイミングが悪いな、おい。
「私が貴様の幼馴染だったら、片時も放し飼いはしないというのに」
太ももさすさす、やめてっ。
「あの後輩、私と貴様のためにと思って、いろいろオモチャも用意してくれているそうだ」
「うわー……」
なんかベットの下からいっぱい出てきた。
学校の保健室って、すげー。
「ふっ、気の利く良い後輩を持ったな」
「いや、きっとロクでもない後輩だぜ。そいつ」
「す、凄いな…コレは、こんな感じで動くのか」
「待て、スイッチ入れるな!」
「お、おおっ……私の聖剣と同等の波動を感じる」
「まさかの神造兵器っ!?」
「ふん………///」
「テレんなよ……っ!!?」
「黙れ。これは貴様で試してやる」
「ごめんなさい。まだ男でいたいです」
「じゃあ、男性用ので試してやる。脱がせるぞ」
「待て待て、早まるな!!話せばわかる……っ!!」
アルトリアがオレの身体を跨った。俯いているせいで表情が読み取りにくい。コイツ、マジなのか……
「私はな、立香……こうして抵抗して嫌がる貴様の顔が三度の飯より大好物だ」
「………」
うん、知ってた。基本、いじめっ子だもんな。お前。
「アレだ。初めてはやはりナマはよくないと思うから、コレを使わせてもらう」
「あぁ、コンドウさんね……」
アルトリアはポケットに隠し持っていたソレを開封した。そして、「なんだコレは。使い方がよくわからん」といってテキトーに捨てた。
ワイルドハントだな、コイツ。
「そもそもの話だが、貴様がまだ童貞だったことに驚いている」
「オレはお前がコンドウさんの使い方も知らないお子様なことに驚いているぜ」
「黙れ。」
「はい、すいません……」
話の腰も折ってすみません。
「私はてっきりあの突撃女とすで済ませていると思っていた……」
「オレとオルタが……ははっ、まさか」
「いつも一緒にいるだろ……」
「そうだけど、オレ達はそんなんじゃ……」
「三姉妹との関係が壊れるのが怖いか?」
「………」
「図星か」
「図星だったらどうだっていうんだ」
「正直な、貴様たちを見ているとイライラする」
「………」
「貴様がいつも口にするソレは聖女様に弟離れしてもらうための建前か?それともあの突撃女へのけん制なのか?それとも幼子への言い訳か??」
「それは……」
「まぁ、いい。貴様が答えなくてもその反応だけで十分だ。貴様の想いがどうであろうと、貴様があの者たちの想いをどう受け止めようと、私の知ったことじゃないがな。とにかく一発ヤらせろ。あの突撃女の嫌がらせのためにもな……もちろん、このことは黙っておいてやる。2人だけの秘密だ。なに、バレなければいいのだ。大人になれ、バカ立香。大人になって女を知れ。知って私の気持ちを知れ。バカ■■■■」
「アルトリア……」
後に続く言葉が出なかった。
アルトリアが身を寄せて顔を近づけてきたから。オレは何故かコイツを受け入れてしまった。悟ったというか諦めたというか、そんな心境だ。抵抗しても無駄だから。
不良の彼女はちょっと嫌かな……とは思うけど。凄く傲慢だし。強引だし。コイツ、いろんな所で喧嘩吹っ掛けているからな。デートの時にチンピラに絡まれたらたまったものじゃないとか、いろいろ考えてしまうわけだが。
でも、彼女欲しいと口にしてきたのはオレ自身だ。いい加減覚悟を決めるべきだ。
これで長女の問題は解決する。次女には……どう謝るべきか。そもそも何故謝らないといけないのか、という疑問も出てくるわけだが。別にオルタとは何もない。恋心を抱いたことが一度もなく、昔から一緒にいるが、それが普通で当たり前過ぎたから恋することもない、ただの幼馴染。あいつは大切な家族の1人にすぎない。
オルタは祝福してくれるだろうか……あぁ、泣きながらデュヘインされそうだな。
オレとアルトリアの唇があと一秒で触れる。
その一秒が永遠に感じた。
「ちっ、あと一秒遅くれて来ればいいものを……間の悪い女だな。貴様は……」
「戻ってくるのが遅いと思って探しに来てみれば……また、ナニをしようとしてるのかしら??冷血女」
息を切らしたジャンヌ・オルタの登場だ。
待ってたぜオルタえもん。
「突撃女。よくここがわかったな」
「たまたまよ」
「そうか。なら、そういうことにしておこう。それよりも、今良い所なんだ。少し待つがいい」
「ふざけんな!教室戻るわよ!!」
「えぇい、私の邪魔をするな!私はこいつと今日こそ合体するんだ!!」
「が、合体とか言ってんじゃないわよ!!!」
あー、なんだかなー、、、、、
いろいろシリアスな部分とか台無しなのだが、とりあえず、またいつものように、オレの上で見苦しい戦いが勃発した。
「いつもこうだ。いつも貴様という奴は私の邪魔をする」
「当ったり前でしょうが!!学校でコイツとナニしようとしてたら止めに入るでしょ!!」
「いや、今日という日は我慢の限界だ。そろそろ貴様とは決着をつけたいと思っていた。ここで全てを終わらせてやろう」
「えぇ、いいわよ。やってやろうじゃない。対戦ルールは何にする??」
「じゃあ、今日はこれだ。ポッキーゲームで引導を渡してやる」
「え、えぇ、望むところよ……っ!?」
ふっ……可愛いな、こいつら。
不覚にもそう思ってしまった。
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