カメラのシャッター音が鳴り響く。
「進藤本因坊!本因坊おめでとうございます!」
「ありがとうございます。」
俺は桑原のじーさんを倒し、本因坊になった。
23歳。最年少記録だ。
質問が飛び交う中、
「何か伝えたいことはありますか?
又、誰に伝えたいですか?」
「…そうですね。『お前のおかげだ。ありがとう。』と
師匠…というより、俺に碁を教えてくれた人に。」
〜控え室〜
驚きが走った。
「な…っ」
「進藤くんに師はいなかったはずじゃないでしょうか?」
「ああ、確かに俺はあいつの師匠なのかもしれんが、碁は教えてない。」
森下九段が言い放つ。
「じゃあ、師匠がいたのに、それを隠していた…と?」
「これは重大な事だ。」
「いや、進藤はそんなことはしないやつだが…」
全く同じ事が会見でも質問されていた。
「でも、進藤本因坊には、師匠はいなかったと聞いておりますが。」
「あ。そっか…やっちまった」
「やっちまったとは?」
控え室では誰が師匠なのかという声、
これはやばいだろという声。
「このことは個別に記者会見をさせてもらってよろしいでしょうか
とてもとても重要なことなので。」
「では、これにて会見を終了させて頂きます。」
「ちょっと!進藤本因坊!」
「何があるんですか?」
「待ってください!」
〜控え室〜
控え室にヒカルが帰ってきた。
「進藤!今のはどういうことなんだ!」
「説明してもらおうか!」
「…塔矢先生。」
「…あのことだろう?」
「はい。」
塔矢先生は知っていて他の人は知らないこと…?
アキラと緒方はすぐに察したようだった。
「会見の費用は私が用意しよう。」
「ありがとうございます。後、呼ぶのは囲碁関係だけで。普通のテレビは断ってください。」
「分かっている。」
2週間後
2週間前と同じ部屋に全く同じ服でヒカルは登場した。
登場と同時にシャッターが切られる。
控え室は数個用意され、ヒカルをよく知る棋士達が集まった。
会見の質問はたった1つ。
「2週間前言っていた師匠の話について詳しくお聞かせ下さい。」
「はい。
少し長くなりますが聞いてください。(ここは読んでも読まなくてもいいですが、読んでおいた方がその後が読みやすくなります。)
平安時代。2人の帝(みかど)の囲碁の指南役がいました。
1人はある日、指南役は1人で充分。対局をしてどちらか勝った方が
そのまま指南役をして、もう1人は都から追い出すという案を出しました。
結果は提案をした方が勝ち、もう1人は負け、都から追い出され、
その数日後、入水しました。
しかし、そいつの囲碁を打ちたい気持ちは変わることなく、何百年たっても衰えることはありませんでした。
そして、江戸時代。幽霊になったそいつはある1人の少年に
憑きました。その名を本因坊秀策と言います。秀策は、そいつが指定した
場所に碁を打ち、その後、伝説と化しました。でも、秀策は流行病で亡くなってしまいます。
取り憑くやつがいなくなった幽霊は又、何百年か碁盤の中に住んでいました。
そして数年前、小6の私は、祖父の蔵の中にある碁盤を見つけました。
その碁盤には血の跡がありました。しかし、一緒に来た友達は見えないと言います。
その血の跡は秀策のでした。私に取り憑いた幽霊は
現代で力をつけていきます。私も力をつけていきました。
もちろん、私が今までやってきた手合い、試験は私自身がやっています。
そして、中学生の時、5月5日そいつは姿を消しました。
私は成仏したと思っています。以上です。質問はありませんか?」
「はい、その幽霊の名前は?」
「藤原佐為。かつて、ネット碁に現れたsaiです。」
「以上で会見を終了させて頂きます。」
ヒカルが控え室に行くと緒方さんが、
「進藤!あれは本当なのか!?」
「緒方さん、本当です多分。越智くんには前に見せたけど…碁盤ある?」
アキラが「あの」1局を並べる。
「この一手は…」
「ここで僕が投了です。、」
「こんな碁を…」
「筋は古く、隙があるように見えるが、そこを着く前にやられてしまう…」
緒方さんや森下先生含めそこにいた人達はsaiの存在を信じた。