メルティと護衛がはぐれた件をネタにしようと思っていたら、なんと番外編に書いてありました。
せっかくのネタがぁ~。
山道を下り、かなり平坦なところまで来ると、フィーロが、
「なんかいるよー。」
と言った。
林が切れ、草原が見渡せるようになってきている。そこに、3匹ほどの大きな鳥が座っている。フィロリアルだ。が、よく見ると、その真ん中に何かいるぞ。
「女の子だ。フィロリアルは、野生か?」
と尚文君。フィーロは、
「おいしそうな鳥だねー。」
と舌なめずりをしている。それは、お前の同族だ。共食いでもするつもりか。
俺たちは、女の子をよく見ようと、そっと近づく。
しかし、フィロリアルたちに察知されたようだ。一瞬の間の後、フィロリアルは立ち上がって、全速力で逃げていった。辺りに、抜けた羽が舞った。
女の子は、失望した表情で、逃げたフィロリアルを見ていた。髪の毛は青く、長い髪をツインテールにまとめている。整っているが、意志の強そうな顔だ。服装は上質で、その辺の町娘とは思えなかった。歳は10歳ぐらい。実年齢は、ラフタリアやリファナと同じぐらいか。
女の子が振り返った。そして、俺たちを見た。
「おっきいっ。」
女の子が見たのは、フィーロだった。そして、話しかけた。
「あなたは、フィロリアルさんなの?。」
「フィーロのこと?」
「おしゃべりも出来るの!?」
女の子は、衝撃を受けたようだった。
「私、フィロリアルさんと、お話しするのが、夢だったの!」
そうして、自分の服をまさぐると、何かを取り出した。そうして、フィーロへと差し出す。
「干し肉、食べる?」
「わーい、ありがとう。」
フィーロが、女の子の側に寄り、干し肉をついばむ。女の子は、フィーロの羽毛をそっと撫でた。女の子は、感激しているのか、頬を紅潮させている。
「村の女の子でしょうか?」
とラフタリアが言う。
「いや、身なりからして、貴族の娘か何かだろう。」
尚文君が答える。
「お名前は?」
女の子がフィーロに訊く。
「フィーロはね、フィーロって言うの。」
「フィーロちゃんね、私は、メルって言うの。」
ラフタリアが言う。
「あの子、フィルリアルのことが、本当に好きなんですね。」
尚文君が、フィーロに向かって言った。
「フィーロ。俺たちは、村での仕事が残っている。その間、その子と遊んでやれ。」
メルが感激して言う。
「ほんとですかー。」
フィーロも言う。
「ほんとー。やったあ。」
そして、どう感激したのか、人型へと変身する。
「わっ!すっごーい。」
メルがフィーロの手を取る。
「フィーロちゃんって、変身も出来るの?」
「うん、そうだよ。」
「すごい、すごい。」
感激しているメルを見ながら、尚文君が言う。
「案外あっさりと、変身を受け入れたな。」
「結構、神経が太い子なんじゃないか。」
と俺。王女様だからな。
「二人とも、楽しそうですね。」
とラフタリアが言う。
「ごしゅじんさまー。もう少し、メルちゃんと、遊んでも、いーい?」
とフィーロが訊いてくる。
「日が落ちるまでには帰って来い。」
尚文君が言う。
「あと、あまり遠くには行くなよ。」
「「はーい。」」
フィーロとメルが仲良く返事している。
俺たちは、二人を残して、村へと戻った。
村へ戻ると、魔物討伐の報告をした。そして、治療師の手伝いをする。
それが終わって一休みした後、尚文君はリファナの背中の治療をした。
以前のラフタリアと同じく、リファナにも、背中にはひどい傷跡がある。尚文君は、治療薬を背中に塗る。リファナは、この時間を心待ちにしているように見えた。
前は、俺などは速攻で叩き出されたが、今は、そういう事もなくなった。
俺は、魔法でラフタリアの治療をする。今度は、手の甲だ。包帯を巻けない部位ではないが、巻いてしまうと、日常生活が著しく阻害される。
日が落ちて、フィーロが戻って来た。フィーロがうれしそうに言う。
「あのね、フィーロに、お友達が出来たのー。」
「あのメルって子だろ?」
尚文君が生返事をする。
「うん。あの子もフィーロと同じく、いろんなところを旅してるんだって。」
「そうか。」
「そうして、フィーロの知らないことを、一杯教えてくれたの。」
「そうか。」
「それでね、フィロリアルと遊んでたら、みんなとはぐれて困ってるんだって。」
「そうか。」
ラフタリアが突っ込む。
「ナオフミ様、ちゃんと聞いてます?。」
「そうか。…って、何だ?」
空いているドアから、メルが入ってきた。
「すいません。夜分遅くに失礼します。」
礼儀正しく挨拶をする。やはり、育ちの良さが出ているな。
「どうか少しの間だけ、ご一緒させていただけないでしょうか。」
「どういうことだ?」
尚文君が訊く。言いにくそうに、メルが話す。
「私は、城下街に戻る途中だったのですが、フィロリアルさんと遊ぶことに夢中になって、護衛の方とはぐれてしまったんです。」
もしそれが本当なら、その護衛はザルだな。多分9割方、わざとはぐれたか。その目的は、何だろう?
メルの話は続く。
「聞けば、聖人様は、明日城下街へ向かうとのこと。どうかそこまで、ご一緒させていただけませんか?」
メルは懸命に頼む。
「身勝手なお願いだというのは分かっています。でも、どうしても戻らなくちゃいけないんです。お願いします。」
尚文君は思案している。フィーロが言う。
「ごしゅじんさまー。メルちゃんのお願い、聞いてあげて。」
ラフタリアも言う。
「ナオフミ様、困っている人を、見過ごすわけにはいきません。私からもお願いします。」
リファナはと見ると、なんだか微妙な表情だ。さては、将来の尚文君のハーレム候補だというのを見抜いたか。勘の鋭い子だ。
「尚文、いいんじゃないか。」
俺も言う。王女にいい印象を持ってもらうのは、悪くない。
尚文君が言う。
「礼金は、きっちりもらうからな。」
メルが答える。
「はい、父上に、頼んでみます。」
こうして、城下街までの同行者が、一人増えた。
勝彦君の、メルの護衛に対する危惧は、杞憂です。
前書きに書いた、ネタの名残だったりします。