夢見る骸骨と溺れる女神   作:桃春

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新世界

 

 

 

 

 

 

 

3.2.1・・・0.1.2.3

 

 

 

 

日付が変わると同時に強制ログアウトされる筈が未だに王座の間に居ることにモモンガは呆れてしまう。

 

(最後の最後にやってくれたな、糞運営)

 

サーバーダウンが延期でもしたのだろうが最期くらいは綺麗に締め括って欲しいものだと悪態をつくも、まだこの場に居れる事を嬉しくも思う。覚悟をしていても、皆との思い出が詰まっているこの場所は離れ難いものだから。

 

「運営には困ったものですね。ここでサーバーダウンが延期なんて」

 

"まだ、此処に居れるのは嬉しいですけどね"と、少し楽しげなアメリアの言葉を聞きモモンガは言い様のない幸福感に包まれる。最後まで共に居てくれた彼女が自分と同じ気持ちでいる。その事が何よりも嬉しかった。

 

「でも、延期するにしても通知が無いのは可笑しいですよね。確認しようにもコンソールも何も出ないし・・・」

 

「・・・えっ?コンソール出ないんですか?・・・あれ?俺のも出ないみたいです」

 

言いようのない幸福にトリップしかけていたモモンガだがアメリアの言葉に我に返る。慌ててコンソールやチャット機能・GMコール等試すがどれも反応しない。今までこんな事は起こらなかった為に2人で首をかしげていると聞き覚えの無い綺麗な声がかけられる。

 

 

「アメリア様?モモンガ様?何かございましたか?」

 

此方へそう微笑む美女は守護者統括のアルベド。紛うことなきNPCであり、ただのデータの塊。そんな存在が此方へ微笑み、ましてや話しかけてきている。

突然の出来事に呆然としていると、もう一度どうされましたか?、と問いかけてくる。

 

「·····GMコールがきかないのだが」

 

「お許しをっ!。無知な私ではモモンガ様の問いに関してお答えすることが出来ません。ご期待にお応えできない私に、この失態を払拭する機会をいただけるのであれば、これに勝る喜びはございません。何とぞなんなりとご命令をっ!!」

 

 

モモンガからの問いに穏やかな表情は一変し、顔は青ざめ身体を可哀想になる程震えさせ跪くアルベドは今にも死んでしまいそうだ。

 

ログアウトしない状況に加え、NPCがまるで生きているかのように動き出す。

 

(·····一体、どうなっているんだ)

 

「モモンガさん·····。これってどういう状況ですかね」

 

いつも微笑んでいたアメリアの顔は、今や不安げな表情を浮かべ、腕に添えられた手からは柔らかな感触が伝わってくる。

 

「·····今は状況を把握しましょう」

 

セバスとプレアデス達へ大墳墓を出て地上を捜索するように命じ、未だ震えるアルベドには階層守護者達へ1時間後に闘技場へ来る様に連絡させた。

 

(何が起きているか分からないが、何としてでもアメリアさんだけは守らないと)

 

 

不安げに表情を曇らせる彼女にそう心に誓った。

 

 

 

sideアメリア

 

 

 

NPC達を王座の間から退出させただけなのに、とても疲れた気がして思わず座り込んでしまう。

 

「アッアメリアさん?!」

 

大丈夫ですか?!っと慌てた様に駆け寄るモモンガに、すいません。気が抜けちゃってと力なく答える。

 

「·····新しい機能ですかね?アルベドが急に話しかけてくるから凄い驚きましたよ」

 

ユグドラシル2ですかね?それともアップデートされただけかなぁ、なんて態とらしく明るく口にしたものの、人気の落ちた終わりが見えているゲームがそんな手間をかけることはしないだろう事は分かっていた。

 

だけど、そうじゃなければ今起きている現実はどう説明したら良いのだろう?

サイバーテロでも起きたのだろうか、なんて物騒な事が頭に浮かぶが、それこそ終わりが決まってるゲームにテロを仕掛けた所で何になるのか。

 

「ひとまず、闘技場へ向かいませんか?何が起きているかは分かりませんがスキルや魔法が問題無く使えるかは知っておいた方が良いと思いますし」

 

グルグル考え込んでいると、モモンガさんから声が掛る。

 

「そう、ですね。ここに居ても何も分かりませんし。少しでも何が出来るのか知っておいた方が良いですよね」

 

自分たちの身に、何が起きたのかは分からない。言い様のない不安を胸に闘技場へ向かうのだった。

 

 

 




前作から、大分更新が遅くなり申し訳ございません。これからは頑張って更新していきます。
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