アクィラの翼4 新規
『レイラワールド』
人間は動物の中で最も情報を集めることに長けた生物だ。
知性が特化した人間は情報社会の中で生きており、人間の歴史上で情報を拡散、そして情報を得る能力に特化してきた。
目に映る映像をその場にいなくても得ることが出来るのは人間だけなのではないだろうか。
「戦争もこれで終いか」
爆発轟音。
様々な犠牲の元に戦争が終結したと確信する一撃が決まったことをモニター越しで確認出来た。
「最後の最後で役に立たなかったな。おまえ」
俺は乗り込んで待機していたポンコツに対し返ってこない言葉を投げかける。
しかし、自分が出しゃばることになれば、最後の防衛線でこちらが追い詰められるていると言うことになるので困るのだが。
「………っと」
乗り込んでいた機体から飛び降りる。
未だ待機命令は解除されていないが、どうせ時間の問題だと勝手に自己判断した。
「よう、隊長さま。まだ待機命令は解除されてないはずだが?」
「お前、俺より先に降りてタバコ吸ってるじゃねーか」
部下であり後輩のレイラ・ハーネスは俺より一足先に喫煙所にて一服していた。
俺と同じくパイロットスーツを着ており、俺が指揮するチームの一員だ。
「ふぅーー…」
彼女はタバコを吹かして返事すらしない。
俺も『レイラちゃん』に習いタバコを取り出し火を付ける。
「………」
「………」
特に会話をする内容もなく黙々とお互いに古いシガレット式のタバコを消費する。
少女のあどけなさをまだ残したレイラの美人顔が物理的にケムに巻かれていき時間だけが過ぎていった。
「私はもうお払い箱だろうが、アルマはこれからも大変だな」
「は? なんだ突然」
1本吸い終えたレイラは乱れた赤い髪をかきあげながら唐突に話題を切り出してきた。
「そのままの意味だ。戦争が終わってもおまえはルイゼンハートとしての仕事があるだろ?」
「んなもん、あってないようなもんだ」
本来は自分がやるべき仕事はどうせ誰かが引き継いで勝手にやってくれるはずだ。
むしろ、俺が上の立場ならこんな不真面目な奴に仕事は任せられない。
「信用されてないんだな」
「俺ほど凄い奴になると何もしなくて良いんだよ」
「モノは言いようとはこのことか」
彼女は鼻で笑いつつタバコをもう1本取り出す。
その横顔は相変わらずの美人で肩まで伸びた赤い髪が艶めかしさを際立たせる。
彼女にしたくないがオレの中で1発ヤリたい女ランキング上位だ。
「レイラこそ、お払い箱の後はどうすんだ? キャバ嬢でもやんのか?」
「しばらくは軍にいるだろうが周りと合わせるのは苦手だからな。キャバ嬢も同じく客の会話相手は無理だ。若い内に出来ると言えば、もしかしたらAVとかに出てるかもな」
「発売したら絶対買うから教えてくれよな」
「おまえが私で虚しくシコってるのを想像したら笑えてくるな」
ひでぇ言われようだがオレがめちゃくちゃキモいこと言っているので当たり前だった。
「私はもう寝たいんだが部屋に戻って良いか?」
レイラはタバコを吸い終わると目をこすり眠そうに欠伸をわざとらしくする。
丸1日待機状態だったのだから眠いのは当たり前だが…。
ちなみに俺は丸3日待機だった。
「他の奴らも待機解除しとくから遠慮なく戻れ」
もちろん上に掛け合うこと前提だが、そろそろチーム全体が緊張の限界でもある。
警戒を見越して更に待機するのは結構だが、一時的でも解除しなければいざという時のポテンシャルはどうしても落ちる。
「ああ、そうする。NOと言われても勝手に戻るつもりだったがな」
もう用はないとレイラは立ち上がる。
その勝ち気なとこも魅力的だ。
そんな邪な心の声を知ってか知らずかレイラは振り返る。
「今日は部屋に来るなよ?」
「?……別に行くつもりねぇけど」
俺も眠いし今すぐ寝たい。
「おまえは平気で中に出すからな。今日は危ない日なんだ」
「あぁ、そゆこと。オレも寝るから気にすんな」
レイラは特別な才能があってここにいるが、軍の中の女性はだいたいが非戦闘員で医療課が主だ。
まあ、簡単に言えば医療課の女性新人とイチャコラしまくる合コンが毎年開かれているのだが、医療課ではなっかたのだがコイツも新人で見た目は良いのでついででその中に入れられており、たまたま席が前だった。
本当にそれだけで、その後はたまにその関係がズルズルと1年間も続いてしまったと言うだけだ。
「最初の時も強引だったしな。忠告しただけだ」
「警戒されてんな」
コイツまだ根に持ってんのか……
って思ったが仕方ない。
酒の勢いもあるが普通こんな性格だったら経験豊富だと思うじゃん?
この話題を口にしたら機嫌がしばらくは直らないので触らぬ神になんとやらだが。
「何を勘違いしてるか知らないが、困るのは私じゃなくおまえだ。ルイゼンハートの結婚相手より先に出来てみろ。相手方の面目丸つぶれだぞ」
「分かった分かった。俺もマジで眠いから説教は後にしてくれ」
俺は勘弁してくれとかぶりを振りアピールする。
後輩のクセにマジで生意気だ。
人のこと言えないが。
「分かってるならいい。代わりが利かない貴様が1番長く起きてたんだ。大人しく寝るんだな」
もしかして心配してくれた? と思ったがコイツに限ってそんなことはない。と心の中で否定した。
そうして喫煙所から出て行くレイラのスタイルの良いケツを眺めながらタバコを思いっきり吸って吐き出した。
「はぁぁーー〜〜……」
肺から出た白い息は空気に溶け込み同化していく。
英雄などと言われたオレもいずれは存在が薄くなり10年もすればそんな奴いたな。ぐらいになるんだろうか。
※
後日、無事に終戦協定が結ばれることになったそうだ。
式典などがあるそうだが俺には全く関係のないことに感じる。
「アルマ。酒を持ってきたぞ」
軍の自室で特にすることもなく昼間からダラダラ寝ていると軍服のレイラが突然訪ねてきた。
「どこで盗ってきたんだ?」
「食堂だ」
「嘘つけ。軍の食堂にこんな高い酒置いてあるか」
明らかに料理酒に使うような酒じゃない。
「明日はこの東屯駐の隊だけで祝勝パーティをやるのを知らないのか?」
「いや全く」
「どんだけハブかれてるんだ…」
いや、なんかやるんだなー。ってのは知ってたけど。
うん、悲しい。
だが、それなら酒が置いてあっても不思議じゃない。
「まあ、上がれよ」
「相変わらず汚い部屋だな。アルマらしいが」
「ほっとけ」
中身のない酒瓶と中身のないタバコの箱があちこちに散らばっている。
どうあがいてもダメ人間の生活だ。
「いや、褒めてるんだ。私はこのゴミの山を掻き分けて泳ぐのが楽しみなんだ」
レイラは躊躇することなくゴミの山にダイブしてプライベート空間を次々に破壊していく。
「ほらっ。これで綺麗になった」
「それは片付けじゃなくて無理やり端に寄せただけだな」
レイラはシリーズごとに綺麗にまとめてあった本の山すら破壊しやがった。
清々しすぎて怒る気力すらない。
「レイラ。とりあえず酒開けようぜ」
「言われるまでもない。ハンバーガーも買ってきた。どうせ昼も食ってないんだろ?」
レイラは酒の蓋をこじ開けつつハンバーガーとポテトが入った紙袋を床に置く。
「ああ、食堂行くの面倒だったからな…」
軍の食堂は無駄に栄養バランスの取れたものを出すので、たまには身体に悪いものを摂取したくなる。そんな気持ちを察してか知らないが、わざわざ外に買いに行ってくれたのはありがたい。
「まあ、こっちの2つのバーガーでも良いけどな」
そう言って俺はレイラの2つあるバーガーの1つを鷲掴みする。
うん、柔らかい。
「おい、アルマ。氷はあるのか?」
「……うん。まあ、あったと思う」
レイラは気にする様子もなくオレをシカトして冷蔵庫を漁って氷を取り出した。
レイラは自身と俺のグラスに氷を入れて酒を汲みその1つを渡してきた。
あまりの淡々と作業で反応されてないことに悲しんだ。
「よし、乾杯だな」
レイラはグラスを軽く掲げる。
「ああ、とりあえず生き残れたことに乾杯」
オレも手渡されたグラスを掲げて虚しく2人で乾杯する。
うわっ。この酒つよ…
「ぐび……ぐび……。ふぅ」
レイラは難なく1杯目を一気に飲み干した。
こいつはオレよりも吸ってるタバコの度数が高い上に酒も強い。
本当に女か?って思うことがたまにある。
「昼間から飲む酒はうまいな」
「ああ、その通りだな」
1つ文句があるとするならベランダか喫煙所でなければタバコを吸えないことだ。
無駄に警報装置に力入れやがって。
ベランダで酒を飲みながら吸うにも狭いしまだ季節的に寒い。
「腹へったな…」
俺も1杯目を一気に飲み干してハンバーガーにかぶりつく。
「ふぅ。最高だ」
そして、空になったグラスにレイラが酌をしてくれる。
後輩とは便利なものだ。ガハハハ!
「知ってるかアルマ。彼女に嫌われる男3選を」
気持ちよく飲んでいる俺にレイラは何かあまりよろしくなさそうな話題を切り出してきた。
「どうせ、ネットで言われてる下らないことだろ?」
「まあ、聞け。金にだらしない男。部屋が汚い男。考えなしに中出しする男。だそうだ」
つまり俺か。
「お前は彼女じゃないからノーカンだな」
よりアウトのような気がしたが酒が入っているせいかどうでもよく感じた。
「誰もアルマのことだと言ってないんだがな。3アウトの自覚はあったのか」
「いやいや、俺は欠点を補って余りある良い男だろ」
「なら、アルマのアピールポイントはなんだ?」
「それは、ほらっ……アレだ。アレ……えーと。顔」
「そのサ○ヤ人みたいな寝癖でよく言えたな。鏡貸してやろうか?」
「うっす。やめてくれ」
精一杯の抵抗は儚く散った。
「アルマはパワハラやセクハラもお構いなしだからな。モテる要素がない」
「俺の隊は各種ハラスメント会社だからセーフだ」
「ちょっとありそうな株式会社で腹が立つな」
そんな何でもない下らない話をしていく。
…………
……
…
「……」
「……」
話すこともなくなり互いに黙々と飲むだけで無言になるが決して気まずくなることはない。
飲み疲れた俺は少し横になる。
「なんだよ。膝枕とかしてくれないのか?」
俺はレイラに無意味な要求をする。
「殺すぞ」
と反抗されたがちょっとゴネたらやってくれた。
やっぱゴリ押しは大切だな。
「これの何が良いんだ? 男は分からん」
男みたいな性格のクセによく言う。
「ロマンだ。ロマン」
「くだらんロマンだ」
そう吐き捨てたレイラは珍しく笑っていた。
レイラちゃんは自分の性癖に精液ぶっかけて誕生しました。