「うちのルールはロキからもう聞いているかい?」
尋ねるとベルは首を何度も縦に振る
「そうかい、ならかたい話はここまでだ。お詫びの件は改めて後日落ち着いてからでもいいかい?」
「はい大丈夫です」
「ありがとう。それじゃあ今日は新たな家族が増えた歓迎会だ、ベル楽しんでくれ」
そう言うとベルは少し緊張が和らいだのか少し笑みが浮かんだ。
ロキとリヴェリアやガレス、そしてベルとたわいもない話をしながら食事を取る。
途中ロキとの出会について聞いてみるとベルは言いづらそうにしていたが、ロキから入団する前ロキ・ファミリアで足蹴にされた事を教えてくれた。
あらためて僕は謝罪し、ベルが気にしてないと言う、先ほどと同じようなやりとりが行われた。
そしてベルがロキに拾われた時の話を聞きふと興味がわいたのでベルに聞いてみる。
「これは僕の興味なんだが、君はどうして遠いところからオラリオまで来て冒険者になりたかったんだい?」
僕たち冒険者は死と隣り合わせだ。
個人の差はあれど、皆目標や野望などを持っている。僕にも一族の復興の為【勇者】であり続けている。少しベルと話しただけだが、ベルはいい意味でも悪い意味でも純粋すぎると感じた、そんなベルが何を思い、オラリオ来て冒険者になったのか。
ベルは僕の目を見て答える。
「僕は英雄になりたいです」
ベルは答えた。
「僕は守りたいと思う全てのものを守りたい、絶対に失いたくないから。だから僕は全てを守って、みんなが笑っていられるようなそんな英雄になりたいです。」
はたしてこの少年は本当に半日前ミノタウロスに殺されかけた少年なのか。
駆け出し冒険者が、いや駆け出しでなくとも、あそこまで瀕死の状態になったものが、ダンジョンに恐怖し潜れなくなる事、武器を握れなくなる事など少なくない。
しかしこの少年の目に恐怖などは一切感じられない。
むしろ自分のなりたい者をしっかりと見据えている。
「英雄に、なりたいか……」
「はい」
つい先程自分の名前を言うのに緊張していた少年が、どうしてこうもあっさりと英雄になりたいと言えるのか。
「くく、ふっ………あっはっはっは!」
久しぶりに大きな声を上げて笑う、それに驚いたリヴェリアやガレスがどうしたのかと怪訝そうな表情でこちらを見ている。
ベルも自分の言葉に僕が笑ったと思ったのか少し照れた様子だった。
「いや失礼ベル、決して君の事を笑ったわけではないんだ」
僕は酒を一気に飲み干す。
「まったく今回は本当に君を連れてきたロキに感謝しなきゃな、君に期待しているよベル」
こんなに気分が良い日は久しぶりだ。