最初は謝らなきゃと思っていました。
私がすぐ魔法を打っていればミノタウロスを逃してしまうことなんてなかったから。
血だらけのあなたが担ぎ込まれた時は本当に驚きました。
逃したミノタウロスにやられたと聞いた時は罪悪感でいっぱいで胸が苦しかったです。
ティオナさんやティオナさんは私のせいじゃないと言ってくれましたが、気にしないなんて全然出来ませんでした。
次にあなたを見たのは豊饒の女主人でした。
入口から入って来た時すぐに気付きました。
なぜ?とか、どうしよう。謝らなきゃとか、頭の中はごちゃごちゃして動けなくって。
気づいたらあなたロキ様の横にいて私たちの新しい家族になっていて。
すごくびっくりしました。
けど私の胸は苦しいままでした。
団長が謝っていましたけど、本当は私が謝らなきゃいけなかったんです。
けど私は怖かったんです。
私のせいで死にかけた貴方に謝る事が。
けど貴方は団長を責めるどころかお礼を言うなんて。
少しだけ胸の苦しみが取れた気がしました。
けどまだ胸は苦しいままです。
アイズさんも私と同じよう気にしていたのか貴方に謝っていましたが、そこでもやっぱり貴方はアイズさんにお礼を言ってました。
貴方に謝れないまま隅の方で時間が過ぎるのを待っていました。
ティオナさんとティオネさんは一緒に食べようと誘ってくれていましたが、私にはどうしても無理でした。
その日は謝れず、次の日も次の日も謝らなきゃと思っていました。
思っているだけで私は貴方に謝る事が出来ませんでした。
日が経っても私の胸は苦しいままです。
そんな中貴方の噂を耳にしました。
アイズさんと訓練をすると。
どうしてアイズさんが?疑問に思いました。
リヴェリア様に直接話を聞きにに行き、早朝に訓練を行なっていると教えてもらいました。
アイズさんはきっと貴方の力になりたかったんじゃないか…
アイズさんは訓練という形で貴方の力になろうとしたんですね。
私も貴方に何か力になれる事はないか?
けどまずは謝らなきゃ…
貴方に会いに行こうと決断して早朝中庭に向かいました。
何を言えばいいかわからないまま。
私はアイズさんが貴方と訓練をすると聞いていました。
しかしそこで行われていたのは訓練とはとても思えない光景でした。
立ち向かう貴方を容赦なく鞘で叩き、蹴り、吹き飛ばして、また立ち上がる貴方を何度も攻撃するアイズさんがいました。
訓練には絶対に見えないですよあれは。
少し様子を見ていると貴方が気絶して、それを見た私はつい怒ってしまいました。
アイズさんに怒るなんて初めてでしたよ。
アイズさんに詰め寄り、何をやっているんですか⁉︎と、
あんなにおろおろしたアイズさんを私は初めて見ました。
たまたまリヴェリア様が通りがかり、何事かと尋ねられる。
事情を説明すると、リヴェリア様も一度私と同じようにアイズさんを怒ったらしい。
けど貴方がこの方法がいいと頑なに譲らなかったそうですね。
そして貴方が目を覚ましました。
目を覚ますとアイズさんだけでなくリヴェリア様や私までいたので状況が飲み込めないでオロオロしている貴方を見ていると肩の力が抜けました。
貴方に向かい目を合わせてから
「ごめんなさい」
貴方はなんのことか全然わかってなかったですよね。
事情を話してからもう一度貴方に謝罪する。
貴方は笑って許してくれましたね。
まったく、そんなにすんなり許してもらえるなんて…
あれだけ悩んでいた私が馬鹿みたいじゃないですか。
……………ありがとうございます
お詫びというわけではないですが私も貴方の訓練を手伝いたいと思いました。
貴方の力になりたいと。
アイズさんは訓練という形で力になったように。
私はまだどんな形で力になれるかわからないけど。
アイズさんにできない事や教えれない事を私は教えます。
貴方が憧れに追いつける様に
貴方が英雄に近づける様に
これからよろしくおねがいしますね。
ベル