英雄達   作:人類最強の請負人

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19話冒険

 

 

僕の最初の冒険はミノタウロスではないんですよ

 

ダンジョンではなく地上で

 

劇的ではなかったけど

 

僕にとっては

 

初めての冒険でした

 

 

  ><><><><

 

 

「絶対に生きて帰ってきてください」

 

「はい」

 

僕はもらった包みを腰にしまい走り出す。

 

悲鳴がする方へ走る、決して闘いに行くわけではない。

 

あくまでも守る為に僕は走り出す。

 

武器も持たない僕が闘って勝てるほど自惚れてもいない。

 

大丈夫僕は冷静だ…

 

モンスターに中々追いつけず通った後であろう瓦礫の道を走る。

 

悲鳴とモンスターが暴れる音が聞こえて来た。

 

僕は時間を稼ぐだけ、アイズさん達や他のファミリアの方が来てくれるはず。

 

角を曲がり広場に出るとモンスターを視界にとらえる。

 

 

シルバーバック

 

 

11階層から出現する大猿のモンスター

 

僕が先日潜ったダンジョンのもっと下の階層のモンスター

 

リヴェリアさんの講座が生きてくる。

 

僕ではまだ勝てないモンスター。

 

大丈夫他の冒険者が来るまで時間を稼ぐだけ、敏捷には自信がある!

 

そこで僕は疑問に思う、シルバーバックはどこに向かっているのか?

 

なぜシルバーバックは移動しているのか?

 

シルバーバックの向かう先には女の子が逃げている。

 

あの女の子を追っているのか⁉︎

 

シルバーバックは他の人間には目もくれずにその女の子を狙っている!

 

女の子が転びシルバーバックが女の子を掴もうと手を伸ばす。

 

まずい⁉︎

 

全速力で走り出しシルバーバックの腕に体をぶつけて腕をはじく。

 

僕は体制を崩したが直ぐに立て直し女の子を抱えて走り出す。

 

なんとかギリギリの所で間に合った。

 

シルバーバックは大声で叫びながら追いかけて来る。

 

オラリオの地形が頭に入っておらず闇雲に逃げる。

 

「あっちへ!」

 

女の子が指さす方はダイダロス通りと書かれた看板が建っている。

 

もう一つの迷宮と言われる場所。

 

レフィーヤさんから「一人では絶対に入ったらいけません、あそこは迷宮です。ダンジョンよりも入り組んでいて一度入ればベルは身包み剥がされて帰れなくなります!」と言われていたので存在は知っていた。

 

もしかしたらシルバーバックを撒けるかもしれない。

 

いくら敏捷に自信があるとはいえ僕はLv.1、女の子を抱えたままではいずれ追いつかれる。

 

僕はダイダロス通りに入り直線で逃げない様狭い道や障害になりそうな物がある方へ必死で駆ける。

 

しかしシルバーバックは追いつかれないものの距離があまり離れない。

 

「っ……しつこい!」

 

このままではジリ貧だ、何か手を打たなければまずい。

 

「あっちの路地に入ってください!」

 

女の子がまた指をさす。

 

「路地をまがった先に地下へ入れる階段があります。そこならあのモンスターも入れません!」

 

言われたとうりに走り路地を曲がる。

 

「そこの階段を降りてください!」

 

階段が見える!

 

人一人が通れそうな狭い階段

 

僕は勢いそのまま階段を一気に飛び降りる。

 

「きゃ⁉︎」

 

逃げていた疲労もあってか着地に失敗してしまいそのまま転がり落ちる。

 

なんとか女の子は離さずにすんだが立とうとするが足に痛みが走る。

 

まずい足を痛めた。

 

「ガァアアアアアア!!」

 

シルバーバックの声が近づいて来る。

 

「もうちょっとですから頑張って!」

 

女の子が僕の肩を持ち前に進む。

 

だんだんと地響きが大きくなりシルバーバックが追いつく。

 

痛みに耐えてなんとか前に進むとシルバーバックが手を伸ばして掴もうとするがギリギリの所で手が止まる。

 

狭い道の為シルバーバックの腕が届かない位置までなんとか進む事ができた。

 

しかしシルバーバックの腕は暴れ出し腕を激しく壁にぶつける。

 

「ガァアアアアアア!!」

 

やばいこのままだと道が崩れてしまう!

 

痛む足を無視して女の子を抱えて全力で前に進む。

 

「うおぉぉぉぉーーー!」

 

通路が崩れ瓦礫が降って来る中避けながらなんとか走り抜ける。

 

「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…」

 

息切れしながらもなんとか逃げ切る事ができぼくは座り込み、女の子も向き合うように正面に座る。

 

お互い疲れているの為数分間沈黙が続いた。

 

先に口を開いたのは彼女からだった。

 

「助けていただいて本当にありがとうございます」

 

女の子が頭を下げてお礼を言う。

 

「よろしければお名前を教えてくれませんか?」

 

「僕は…

 

「ガァアアアアアア!!」

 

答えようとした瞬間再びシルバーバックの怒号が鳴り響く。

 

「探しているのか…僕たちを」

 

いや恐らく彼女を探しているのだろう。

 

彼女を見ると恐怖で顔が青ざめている。

 

地上で暴れているのだろうか激しく揺れる、このままこの場所にいたら天井が崩れてしまうかもしれない。

 

どうする⁉︎考えろ!

 

彼女が狙いなら僕が囮になる事もできない、そもそも痛む足で逃げられる相手じゃない。

 

………アイズさん

 

貴方に憧れた僕は何も出来ない。

 

「モンスターの狙いは私です」

 

いつのまにか崩れた通路の逆側に移動していた彼女は僕に向かって言う。

 

「この先に進むと少し開けた場所にでます」

 

怖いはずなのに震えた足で精一杯の笑顔浮かべ。

 

「貴方が助けに来てくれて本当に嬉しかった!」

 

そう言うと彼女は走って出口の方へ向かった。

 

………

 

……

 

 

僕は何をしている?

 

英雄になりたいと言った。

 

失いたくないと全てを守りたいと。

 

実際僕は何をしている?

 

無力に絶望し痛みに恐怖している。

 

僕は何もできないのか。

 

 

……

 

………

 

………レフィーヤさん

 

彼女からに生きて帰って来ると約束した。

 

僕はただ逃げて生き延びるのか。

 

たった一人の女の子も助けれず。

 

そこで僕はレフィーヤさんから貰った物がある事を思い出した。

 

レフィーヤさんはいったいこんな僕に何を渡したのか包みを開く。

 

そこに入っていたものに僕は驚く。

 

一通の手紙とポーションと短剣

 

ポーションを飲み干す

 

短剣を手にする

 

手紙は必ず読む為にポケットにしまう。

 

泣きそうだ…

 

走れ!

 

僕はまた助けられた…

 

走れ!!

 

レフィーヤさん貴方のおかげで

 

また僕はまだ走れる!!!

 

僕は一人じゃない

 

………地上への階段が見えた

 

僕は一人じゃ何もできない

 

間に合え!!!

 

地下道を抜けるとシルバーバックを視界に捉える。

 

彼女は⁉︎

 

シルバーバックが暴れている向こうに彼女が逃げてるいるのが見えた。

 

間に合った!

 

「うぉぉぉーーーーーー!!!!」

 

シルバーバックに向かって全力で駆け出す。

 

シルバーバックがこちらに気づく。

 

足を止めずに足を切りつけてからシルバーバックの正面に立つ。

 

彼女の前に立つ。

 

「僕は

 

短剣を構え前を見る

 

「ベル・クラネル

 

倒すべきモンスターを

 

「英雄に憧れ

 

助けたい人を

 

「神ロキと契りを交わした

 

勇気を振り絞れ!

 

「このオラリオで最も強く、誇り高い偉大なファミリアの一員!

 

憧れに追いつきたい!

 

『逃げ出すわけにはいかない!』

 

わかってる僕がまだまだ全然弱い事も、追いかけても追いつけない事も。

 

それでも………

 

憧れたんだ!

 

英雄譚に出てくる英雄に!

 

目の前で助けられたあの人に!

 

追いかけることしかできないなら追いかけ続けるしかない!

 

「絶対に貴方を守ります!」

 

 

 

  ><><><><

 

 

 

これが僕の最初の冒険

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