ベルとの訓練が無くなったが私の日課が無くなるわけでもなく、早朝誰も待っていない中庭で素振りを始める。
ベルと訓練を始めてから私は自分の中の焦りがなくなっている事に気づいていた。
それをいい事だとみんなは言ってくれたが私にはわからない。
強くなりたくなくなった訳ではないが、以前よりがむしゃらに強くなろうとしていない。
それが私にはまだいいことなのか判断ができない。
けど決してベルとの訓練が私にとって無駄なんて事は絶対にない。
それにレフィーヤも変わった。
レフィーヤは私達に対して一歩下がっている印象が強かった、けど怪物祭以降いい方向に変わったと感じた。
レフィーヤも成長している。
私も成長しなくちゃ。
決意を固めた頃には食堂に向かう人も増え始めていた。
私も訓練用の木刀をしまって朝食の前に用事を済ませよう。
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「預かっていた物を返す」
向かった先はゴブニュファミリア。
私の武器、デスペレートの整備が終わったと聞き取りに来た。
そして借りた剣を返すが、怪物祭の時に無茶に使ってしまった為刀身が粉々に砕けてしまったので物凄く返しづらい。
少しの小言を言われ告げられた金額は四千万ヴァリス……
「はぁ〜〜〜………」
余りの金額に口が開く
お金を稼がなくちゃ
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ファミリアに戻りレフィーヤとティオネとティオナと朝食を食べる、ベルは既に出掛けているとレフィーヤが言っていた。
「ねぇアイズ今日は何か予定ある?」
「ダンジョンに篭ろうと思って」
「お一人でですか?」
「お金を用意しないといけなくて」
「あーだったら私も行くよ作り直してもらったウルガのお金稼がなくちゃ」
「…っで、でしたら私もご一緒させてください」
「あれ?レフィーヤもなんか壊したっけ?」
「いえ、その今平行詠唱の訓練をしていて実戦での訓練をしたいので……、それにアイズさんのお手伝いもしたいです」
「私の手伝い、良いの?」
「はい‼︎」
「じゃあみんなで行こ。ティオネも行くよね」
「辞めとくわ〜」
「えぇ〜」
「団長のお側を離れるなんて嫌だもの」
そこにちょうどフィンとリヴェリアが横を通る。
「あっ…フィン、リヴェリア今からダンジョンに行くんだけど一緒にどう?」
「……うん、気ままに散策って所か、いいよ付き合おう」
「私も〜そう思っていた所なんです〜団長〜」
そんな調子でダンジョンへ潜るパーティが決まった。
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何事もなくダンジョンを進み三十七階層に着く。
お金もこの調子だとそれなりに稼げたと思う。
「レフィーヤ、足を止めるな!敵を常に視界に入れて攻撃を避けろ!」
「…っく!」
レフィーヤが平行詠唱の訓練をリヴェリアに教わるのを見ていると感じるこの気持ちはなんだろう。
ベルの訓練でも同じ気持ちを感じた。
わからない…
レフィーヤもベルも強くなっていく。
どうしてそんなに早く強くなれるの?
知りたい。
私ももっと強く……
「さてそろそろ戻るか」
レフィーヤが敵を倒しきるのを待っていたのかフィンが口に出す。
「ティオネ撤収の準備だ」
「かしこまりました、団長!ティオナ手伝って」
「は〜い」
二人が撤収の準備を始める。
………私もこのまま一緒に
いや私もベルやレフィーヤを見習おう
「フィンお願いがあるの」
「ん?どうしたんだいアイズ」
「私一人でもう少しだけダンジョンにいさせて」
「どうして?」
「………」
聞かれて少し言葉が詰まる。
けど今私が感じてることをそのまま言葉にしよう。
「強くなりたい。……レフィーヤやベルを見ていて成長していく二人を見ていたら、私も強くなりたくなったから……?」
「……っふ」
フィンが笑う。
「少し前のアイズだったら拒否したけど、今だったら許可できるよ」
「本当⁉︎」
「あぁ、ただし一人はだめだ。リヴェリアと二人なら許可しよう」
「わかった、ありがとう」
「少し変わったねアイズ」
「……私が?」
「うん。前の君は強くなることに焦りを感じてた印象があったけど、今は落ち着いているふうに見える」
「うん」
「自覚はあるようだね」
「レフィーヤもいい方向に変わっている。アイズ、君も変わった。ベル・クラネル彼はいったい……」
フィンの最後の言葉は小さく聞き取れなかった。
私も強くなる
強くならなきゃ
この階層には階層主がいる
まず乗り越える壁はここから