英雄達   作:人類最強の請負人

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26話師弟

 

 

「じゃあ私からステータス更新をしますので、少し扉の前で待っててください」

 

ベルにそう言ってから私はロキの部屋に入る。

 

私は上着をはだけさせ背中が見えるようにしてロキに背を向ける。

 

「最近頑張っとるみたいやなぁ、みんながレフィーヤの事褒めとったで」

 

「そうなんですか?」

 

確かに私は最近自分が変わるキッカケがあった。

 

怪物祭の後ベルと話した時から。

 

あの日貴方は、私が貴方を助けたと言ってくれた。

 

僕を支えてくださいと言ってくれた。

 

今まで追いかけるのを諦めかけて、期待に押しつぶされそうで、守られてばかりの自分が嫌いだった私に

 

だからとても嬉しかった。

 

私は嫌ですって返したんですけどね。

 

けど貴方が迷うことなく進めるように、迷ってもちゃんと自分の道に戻ってこれるように、貴方の前を私は走り続けたいと思った。

 

貴方が英雄になりたいと思うように、憧憬に追いつきたいのと同じように。

 

私もまた自分の足で追いつきたいと思ったから。

 

「ベルがあんなに頑張っていますから私も負けてられないので頑張っているだけですよ」

 

「そっか」

 

貴方はいつか私の先に進むんだと思います。

 

それは悔しくて、情けなくて、私は傷ついて進むことが嫌になるんだと思います。

 

以前の私なら。

 

今の私ならきっと追い抜いた貴方の前をまた走れるように、頑張れるって確信しています。

 

「ベルがどうしてあんな早く成長しとるか教えたろか」

 

突然そんなことをロキ様に言われる。

 

「………」

 

「なんとなく察しはついとるみたいやな」

 

確かに私は確信はないが検討はついていた。

 

駆け出しの、それもほとんどダンジョンに潜ったことのないベルがどうしてシルバーバックに勝てたのか。

 

「レアスキルですか?」

 

うつ伏せになっていたので見えないがロキ様が笑った気がした。

 

「せや、それも超超超超レアスキルや」

 

やっぱりそうだったんだ。

 

「どうしてそれを私に教えてくれるんですか?」

 

「ん?なんでって、ベルの事が大好きなレフィーヤに教えるんは当然やないか」

 

ロキの気まぐれ?

 

「この事を知っとるんは内緒にしといてな。今はまだ誰にも、特にベルには」

 

「……わかりました」

 

おそらくベルのスキルは本人には伝えていないのだろう、知っているのは多分幹部の皆。

 

私はベルと行動を共にする事が多いから伝えられたのだろうか?

 

「ほい終わり、書き写したのがこれやから確認しといてな」

 

考えても答えは出なかった。

 

ステータス更新が終わり私は身なりを整えてからステータスを確認する。

 

耐久が他より少し多く上がっている。

 

魔導師は基本的にダメージを食らわない事が前提の為耐久は上がらないのだが、並行詠唱の訓練でダメージを沢山受けたせいだろう。

 

「さて次はベルや一緒に見るかレフィーヤ?」

 

「……そうします」

 

私は扉の前のベルを呼ぶ。

 

 

><><><><

 

 

「魔法が発現しとる」

 

「っへ?」

 

ベルが素っ頓狂な声を出す。

 

ベルのステータス更新を見ていた私も驚く。

 

「ロキ様どんな魔法ですか⁉︎」

 

ソファから立ち上がり私は側まで移動する。

 

「ちょいまち、すぐに書き写すわ」

 

ベルの背中を見ることはできるが、私は神聖文字を読む事は出来ないのでロキの書き写した物をまつ。

 

「ほいレフィーヤ、先に言っておくけど描き間違いは一切ないで」

 

ロキは二枚書き写しを作りベルと私にそれぞれ渡す。

 

渡された物を確認して私は絶句した。

 

ステータスの上がり方がおかしい、トータル二十も上がれば多いがベルは百以上も上がっている。

 

さらにスキルも二つ発現している。

 

特にこのスキル…

 

 

【憧憬一途】←ベルには内緒やで

 

・早熟する。

・懸想が続く限り効果持続。

・懸想の丈により効果向上

 

 

なるほど確かにこのスキルは凄い、成長促進のスキルなんて聞いた事がない。

 

そのまま魔法も確認すると、少し違和感を感じる。

 

 

【ファイアボルト】

 

・速攻魔法

 

 

「ロキ、描き間違いはないとおっしゃいましたが、書き忘れもないんですか?」

 

「書き忘れもないで、それが全部や」

 

だとするとこの魔法は…

 

「多分、詠唱が必要ないんやろうな」

 

ロキが満面の笑みで私の考えと同じ答えを言う。

 

「まぁ、魔法名自体が詠唱みたいなもんやろうな」

 

「詠唱がない魔法なんてあるんですか?」

 

「聞いた事ないな、うちも初めて見る」

 

レアスキルにさらに魔法まで発現するなんて、それもレア魔法。

 

……そういえば、ベルがやけに静かだがどうしたのだろう?

 

ベルの方を見てみると嬉しいのだろうか物凄く目を輝かせて写しを見ていた。

 

「まったく……、おめでとうございます」

 

ベルに聞こえない小さな声で伝えた。

 

そのまま五分ほどベルが満足するまで待ち、やっとベルが私たちに声をかける。

 

「この【ファイアボ、グハァ⁉︎」

 

私は咄嗟にベルに突進する。

 

手加減はできませんでした。

 

「ナイスレフィーヤ」

 

ロキは楽しそうにしていて少しイラッとしました。

 

「どうして、…レフィ?」

 

倒れたベルは訳がわからないと言った表情で私を見る。

 

「ごめんなさいベル、ちゃんと説明しますから怯えないでください。ロキは笑うのをやめてください、じゃないとロキにも突進したくなりますので」

 

ベルを立たせながら、ロキを少し脅す。

 

「とりあえず座りましょうかベル」

 

そう言ってソファに座らせて私も横に座る。

 

「レフィーヤ、さっき渡した写しは捨てとくで」

 

そう言って、私が読んでいたベルのステータスの写しを持って、ロキは部屋から出ていった。

 

「まず最初に魔法の発現おめでとうございます」

 

「はい!ありがとうございます⁉︎」

 

まだ少し怯えている。

 

「もう、謝りますから怯えないでください!」

 

「ごめんなさい」

 

「なんでベルが謝るんですか」

 

「レフィに粗相をしてしまい、そのせいで突進されたので」

 

「別に粗相をしたぐらいで突進なんてしません!というか私が粗相をしたぐらいで突進をするようなエルフだと思ってたんですか?」

 

「決してそんな訳では!ごめんなさい!」

 

だめだ悪いパターンに入っている。

 

ベルが私をどう見ているかは後で問い詰めるが先に誤解を解かなければ。

 

「ベルに突進した理由ですが、魔法名を言うと危なかったんですよ」

 

「そうなんですか?」

 

「はい。ただ本来であれば問題はなかったんです、ベルは例外になります」

 

そう、本来であれば魔法名を言うなんてなんでもない事なのだ。

 

「ベルの魔法に詠唱がないのが問題なんです」

 

「そういえば、書かれているのは魔法名と・超速攻魔法 とだけしか書かれてなかったです」

 

「そうなんです、ロキ様に確認しましたが書き忘れではなくそれが全部だそうです。なのでおそらくベルの魔法は詠唱が必要ないんだと思います」

 

「詠唱が必要ない魔法なんてあるんですか?」

 

「私もロキ様も初めて見ました、文字通り超速攻魔法」

 

「だとするとさっき僕は」

 

「そうです、詠唱がないので魔法名をベルが言えば魔法が発動してしまう可能性があったのでやむを得ずあのような方法で阻止しました」

 

ここでやっと誤解が解ける。

 

「申し訳ございませんでした」

 

ベルがまた謝る。

 

「いいですよ未然に防げましたので」

 

誤解が解けた事で一安心する。

 

「まったく、とうとう魔法も発現してしまいましたね」

 

「うん!本当に凄く嬉しい」

 

「いつかは発現すると思っていましたがこんなに早く発現するとは思いませんでした」

 

「うん。今日リューさんから貰った魔法の本を読んだのでそれのおかげかも」

 

「そうなんですか、気になるので今度私にも読ませてください」

 

「もちろん」

 

「はぁ、そんなに早く成長しないでくださいよ。そんなんじゃあっという間に私の前に行きそうじゃないですか」

 

「まだ全然だよ。レフィにも沢山教えてほしい事もあるから」

 

「嬉しい事言ってくれるじゃないですか」

 

「だからレフィ僕に魔法を教えてくれませんか」

 

「もちろんです!むしろ私以外に頼んでいたらもう一回突進していたところですよ」

 

私は笑いながら言う。

 

 

 

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