英雄達   作:人類最強の請負人

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32話サポーター

 

 

ダンジョンに潜り、モンスターを狩る。

 

一体、二体、三体と目につくモンスターをひたすらに。

 

階層は以前ティオネさんとレフィの三人で探索した五階層より深い八階層で、魔石を集める為に狩場にしている。

 

一応十階層までは潜っても良いと言われているが、まだ念の為に八階層に留めている。

 

「アル様お強い〜!」

 

僕が倒したモンスターの、魔石を回収しながら、近づく小人族の少女。

 

先に、誤解をしない様、言っておきたい事が一つある。

 

僕はベル・クラネルだ。

 

では先程の小人族の少女僕の事を何と呼んだか?

 

 アル様

 

小人族の少女がなぜ僕の事を、アル様と呼ぶのかそれはこんな会話があったからだ。

 

 

 

><><><><

 

 

 

〜ギルド前 広間〜

 

 

「それでは、一緒にダンジョンに潜る前に、私から一つお願いがあります」

 

小人族の少女と僕は、近くの腰掛けれる場所に移動し向かい合って話している。

 

「お願いとは、お互いが何処のファミリアなのか、そして名前を教えない事です」

 

僕は疑問に思う、少女が言っている意味はわかるが、意図がわからない。

 

「わからない?と言う顔をしてますね」

 

顔に出ていた。

 

「あまり詮索はしないでください、少し隠したい事なので。怪しいのは承知しています。ですからサポーターとして、貴方様の期待以上の働きをしますから、私のお願いを聞いてください」

 

そう言うと少女は頭を下げた。

 

「うん、わかったよ」

 

少女にも都合があるのだろう、頭を下げさせる事にも気が引け僕はすぐに了承した。

 

「ありがとうございます!」

 

頭上げた少女の笑顔は可愛く見え、つい顔を横にそらす。

 

「……相変わらず、お人好しですね」

 

少女の最後の言葉は小さく聞き取れなかった。

 

 

 

><><><><

 

 

 

そんな事があって、小人族の少女から僕は「アル」と呼ばれている。

 

「アル」は二本歩行の赤目白い兎のアルミラージから取っているそうで、見た目がそっくりだからと言われ決まった。(僕は見た事がない)

 

「ありがとうリリさん」

 

僕が倒したモンスターの魔石を回収している、少女は自分をリリと呼ぶように言ってきた。

 

「はい、魔石の回収はリリがしますのでアル様は休んでいてください」

 

こうして、リリさんとダンジョンに潜っていると実感する。パーティのメリットを。

 

ソロだと戦闘から魔石の回収など全て一人で行わなければならないが、作業を分担するだけでもこれだけ楽になるとは思わなかった。

 

何より荷物が増えない為、身軽に移動できるのが嬉しい。

 

リリさんに、少し荷物を持つと提案したが、スキルの効果で沢山荷物を運べるから、僕には戦闘に集中してほしいと言われた。

 

実際にリリさんは自分の体より大きいバックパックを背負い、さらに道中のモンスターもいつもより多く倒し、魔石も沢山拾って来た。

 

しかし、リリさんは重さを感じさせる事なく、軽快についてきている。

 

「どうしましたかアル様?お疲れでしたら、少し休みましょうか、今のモンスターであらかた周辺のモンスターは片付け終わりましたので」

 

「ううん、大丈夫だよ」

 

「そうですか、しかしアル様は本当に駆け出し冒険者なのですか?とてもLv.1とは思えない動きでしたけど?」

 

「アイっ……、あー僕のファミリアの強い人と沢山訓練しているからかな?」

 

危うく名前を言いかけた。

 

アイズさんの名前を出してしまえば、ファミリアなんてすぐにバレてしまう。

 

「あとリリさん、少し気になったんだけど、そのアル様、っていうのは流石に止めてほしいんだけど……」

 

「どうしてですか?リリは特に気にしませんが?」

 

「いやぁ、なんか気恥ずかしくて、できれば普通に呼んでほしいなって」

 

リリさんは手を顎に当てて考える素振りをする。

 

「……アル様も、リリの事をさん付けで呼びますよね?リリの事はさん付けではなく、リリと呼んでください。そうすれば考えます」

 

まさか、リリさんから呼び方を変えてくるように要求があるとは思わなかった。

 

けど、この要求を僕はすんなりと受け入れる事にした。

 

「わかったよ、リリ」

 

不思議とリリと呼ぶ事に僕はなんの抵抗もなかった。

 

初対面のはずなのに。

 

まるで、昔からずっと少女の事を呼び捨てで、リリと呼んでいた気がする。

 

何度も何度も……

 

「はい!その方がリリは嬉しいです、アル様!」

 

……様がなくなっていない。

 

「……リリ、様はやめてくれるっていう話だよね?」

 

リリは首を傾げる。

 

「リリが、こうやって呼ぶのは前々前世のずーっと前から決まっていますので、これからもアル様と呼ばせていただきます!」

 

そう言った彼女の笑顔を見ると、僕は何も言い返せなくなった。

 

 

 

-------

 

 

 

あれから、もう少しだけモンスターを狩ってから僕たちは地上に戻った。

 

リリが換金に行ってくれて、「こんなに大量に魔石とドロップアイテムがあるので時間がかかりそうなのです」と言っていた。

 

待っている間に挨拶に行こう。

 

もしかしたら会えないかもしれないが、彼女の部屋へ向かう。

 

扉の前まで着き、ノックをする。

 

「こんにちは、アミッドさん」

 

「次はベルさんですか。今日はどうしましたか?」

 

「少し時間があったので挨拶に来ました。僕の前に誰か来たんですか?」

 

「はい、貴方の飼い主さんが来ましたよ」

 

アミッドさんは優しく笑いながら話す。

 

飼い主?もしかしてレフィ?

 

「僕はペットじゃないですよ」

 

「いえ、側からみれば微笑ましいですよ」

 

そんな会話をいくつかして楽しみ、仕事の邪魔にならないようあまり長居せず僕は引き上げた。

 

「また元気な姿で来てください」

 

 

 

-------

 

 

 

待ち合わせ場所に行くと先にリリが待っていた。

 

 

「お待たせ、リリ」

 

「はい、では今回の収穫がこちらですね」

 

リリは、バックパックからパンパンの小包を出して言う。

 

「Lv.1のの五人組のパーティが一日かけて稼げる金額ぐらいですね。本当凄いですねアル様、ドロップアイテムが多少あったとはいえ、僅か半日でこの成果とは」

 

「リリがいてくれたからだよ」

 

サポーターがいる事で戦闘に集中出来て、ひたすら目につくモンスターを狩っていたからなぁ。

 

それにリリは自分で言った通り、僕の期待以上の働きをしてくれていた。

 

「では今回の報酬ですが……」

 

「うん、山分けでいいかな?」

 

「山分けですか⁉︎いいんですか、そんなに貰っちゃって?」

 

「っえ?だってリリがいたから、この量だよ」

 

「ありがとうございます、頑張った甲斐がありました」

 

実際にリリがいなかったらすぐに荷物がいっぱいになり、もっと少ない量になっていだろう。

 

そうして今回の報酬を二人で山分けする。

 

「ではアル様、今日の働きを見て考えてほしいのですが、十日間の間リリと一緒にダンジョンに潜ってくれませんか?」

 

「十日間?」

 

 

 

 

 

「はい、十日後まで」

 

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