英雄達   作:人類最強の請負人

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33話護る魔法

 

 

ギルドのとある病室で彼女は仕事をしている。

 

ギルドから依頼されているわけではなく、あくまでも彼女の意思で働いているらしい。

 

しかし、慈善活動と言うわけでなくしっかりと治療費を要求している。

 

当然、要求する金額は治療に見合った良心的な金額である。

 

ベルが死にかけた時の治療費はそこそこの金額だったらしい。

 

エリクサーで大半の傷は癒えてはいたが、頭を割られていて、内臓にもダメージがあったそうです。

 

……怪我をさせてしまったのは、私のせいですが。

 

ファミリアの責任ということで、もちろんヴァリスはロキ・ファミリアが全額支払いました。

 

ちなみに私の傷の治療はそこまでの金額じゃなかったとか。

 

都市最高の治療師の名は伊達ではなく、生きていれば必ず治療できると言われるほどで、治癒能力に関してはリヴェリア様ですら太刀打ちできないそうです。(リヴェリア様本人から聞きました)

 

そんな彼女に、私はなぜギルドで仕事をしているか尋ねた事があります。

 

『助けれる命を助ける為です』

 

アミッドさんはそう答えた。

 

ダンジョンで傷つき倒れる冒険者は数多くいる。

 

その全ての人を助ける事は叶わないと、彼女はわかっている。

 

それでも、命からがら一分一秒の生死を争いながら、地上に戻れた冒険者を助ける為彼女はギルドにいるのだろう。

 

彼と手段は違いますが、同じ事をしていると私は思う。

 

そして先日、怪物祭の時に怪我を負い私はギルドに運び込まれた。

 

起きた時にはお腹の傷は無くなっていたが、念の為一日だけ様子を見る事になりギルドに入院した。

 

翌日には完治してすぐに退院できました。

 

なので、ダンジョンに潜る前に一言お礼を言うためアミッドさんのいる場所に向かっている。

 

「こんにちは、アミッドさん」

 

彼女は部屋でお茶を飲んでいた。

 

「こんにちは、レフィーヤさん、フィルヴィスさん。今日はどうなさいましたか?」

 

「今日はこの間のお礼を言いに来ました。先日はどうも、ありがとうございました」

 

「どういたしまして。傷は大丈夫ですか?」

 

「はい、問題ありません。痛みも跡も残っていません」

 

「それは上々、命に別状は無かったとはいえ、重症でしたので良かったです」

 

エリクサーは大半の傷を治す事はできるが、しかし傷跡が残ったり、変に治る場合がある。

 

大きな怪我だと傷跡が残りやすく、治した所が歪になる事もあるそうで、無理矢理治しているからと教えられた。

 

実際に跡が残っている冒険者を私は見ている。

 

ベルには運良く傷跡が残る事はなかった。

 

もちろん、ダンジョン内で命の危険がある程の怪我を負ったのなら迷わずに使うべきであるが、高級品でもある為エリクサーは最終手段として使用する。

 

アミッドさんの治療は、エリクサーと違い怪我を綺麗に治療する事が出来る。

 

リヴェリア様や治癒魔法を持っている冒険者であれば治療は出来るが、治療の質や速さはアミッドさんが飛び抜けている。

 

その為、オラリオのほとんどの冒険者はアミッドさんのお世話になる、特に女性とエルフの冒険者が。

 

そんなアミッドさんにお礼も無事に言えて、お茶を飲むぐらいに暇そうではあるがあまり長居はできない。

 

「これからダンジョンに潜りますので、また何かあればよろしくお願いします」

 

「ええ、何もない事を願っています」

 

頭を下げ部屋から出て行く。

 

「すみませんフィルヴィスさん付き合わせてしまって」

 

「問題ないよ、レフィーヤさん。それじゃあ行こうか」

 

「はい!」

 

 

 

-------

 

 

 

〜ダンジョン五階層〜

 

「この辺でいいか」

 

フィルヴィスさんの後をついて行きながらダンジョンを進んで行く。

 

「そっちは下の階層への道ではないですよ」

 

フィルヴィスさんは正規ルートから外れた道を進もうとしていたので止める。

 

「大丈夫、もう少しついて来てくれ」

 

そう言うと、また歩き始める。

 

そういえば、フィルヴィスさんは私と一緒にダンジョンに潜りたいと言ったが、なぜ一緒にダンジョンに潜りたいかを聞いていなかったと気づく。

 

ナァーザさんと親しく話していたので安心していたが、私は無防備すぎたのではないか?

 

少しの不安が私によぎる。

 

「ついたぞ、レフィーヤさん」

 

突然声をかけられて少しだけ驚く。

 

「そんなに警戒しなくても大丈夫だ、貴方に危害を加えるつもりはない」

 

そんなにわかりやすく表情に出てしまっていたのかと苦笑いを浮かべる。

 

「無理もない、貴方からすれば今日初めて会った同胞だ、警戒しないのがおかしい」

 

フィルヴィスさんは優しく微笑んでくれた。

 

「安心してくれ、私の目的は貴方護る事だ」

 

「私を護る?」

 

「そうだ。レフィーヤさんの魔法で私の魔法を使う事が出来るだろう?」

 

私の魔法【エルフ・リング】

 

エルフの魔法に限り、詠唱と効果を完全把握していれば他者の魔法を使用できる。

 

怪物祭の時に謳った魔法はリヴェリア様の魔法。

 

【エルフ・リング】の詠唱を謳った後、さらに詠唱を謳わなければならず、魔力も二つ謳った分消費する。

 

私が【千の妖精】と呼ばれる理由。

 

「貴方に私の魔法を預けよう」

 

フィルヴィスさんは背中を向け前に短杖を突き出す。

 

【盾となれ、破邪の聖杖】

 

「ディオ・グレイル」

 

「……綺麗」

 

「障壁魔法だ、物理、魔法あらゆる攻撃から術者と仲間を護る」

 

フィルヴィスさんはこちらに振り向く。

 

「この魔法を貴方に託したい、もう貴方が傷つかないように」

 

 

 

-------

 

 

 

フィルヴィスさんと地上に戻り、今日のお礼を沢山伝えた。

 

用事があるからと、帰って行くフィルヴィスさんに見えなくなるまで手を振った。

 

「……さて、私も帰りますか」

 

踵を返しホームに向かって歩き始めると、一人の冒険者を見つけた。

 

「「あっ…!」」

 

目が合う。

 

私たちは何も言わずに肩を並べて同じ方向に進む。

 

「今日は何をしてたんですか?」

 

「午前は豊饒の女主人で手伝いをして、午後はダンジョンにさっきまで潜ってたよ」

 

「勤労ですね、偉い偉い」

 

「レフィは何をしてたの?」

 

「乙女のプライベートを聞くなんて紳士としてあるまじき質問ですね」

 

「そっちから聞いてきたのに……」

 

「まぁ色々ですよ。私は忙しいんです」

 

他愛もない会話が心地よく、いつものようについからかってしまう。

 

本気で嫌がらないから私は甘えてしまう。

 

「私たちの家に帰りますよ、ベル!」

 

 

 

 

 

 

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