英雄達   作:人類最強の請負人

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34話前日

 

 

ホームに帰った僕とレフィは食堂にすぐに向かった。

 

門番さんに主神命令で、食堂に集まるようにと言われたからだ。

 

少し急ぎながら食堂に入ると既に多くの眷属が席に座っていた。

 

空いている席がないか探していると。

 

「あっ!レフィーヤ、ベル、こっち空いているよ!」

 

手を振って空いている席を教えてくれた彼女の元へ向かう。

 

「また二人で出かけていたの?」

 

「違います、帰りにたまたま会ったんです。エルフィが思っているような事はありません」

 

揶揄う彼女はエルフィ・コレットさん、レフィのルームメイト。

 

本人曰く「誰とでも仲良くなれる美少女かつムードメーカーで火炎魔法が得意な才媛」だそうです。

 

実際に僕ともすぐに仲良くしてくれています。

 

「あの…、これは何の集まりなんですか?」

 

「あっ、そっか。ベルはまだ入って間もないもんね、遠征の前はこうして集まって話をするんだよ」

 

「ベルはまだ、遠征に参加は出来ませんので実感はないと思いますが、私達からすればやっとかって感じますね」

 

「そーだよねー、今回は準備が忙しかったからもう疲れたよー」

 

帰り道、レフィが言ってた忙しいってほんとだったんだ……

 

「ベル、今、本当に忙しかったんだって思いませんでした?」

 

「いや、えーと、あはは……」

 

「おー、みんな集まっとるな!」

 

レフィに詰められそうになったが、ちょうど良いタイミングでロキ様が食堂の奥から出てきた。

 

ロキ様に続いてフィンさん、リヴェリアさん、ガレスさんも揃い椅子に座る。

 

「何人かいないようだけど始めようか」

 

「おっしゃー。みんなもわかっとると思うけど、遠征の出発日が決まったで!」

 

「十日後の正午に出発する。本日で準備はほとんど終わった、後は各自で己の調整をしてくれ」

 

「他のファミリアにも伝えておるからの、よほど不測の事態が無い限りは確定じゃ」

 

リヴェリアさんとガレスさんが話し終えると、フィンさんが椅子から立ち上がる。

 

「前回が前回だからね、今回はヘファイストス・ファミリアと協力していかなくてはならない、けれど君達なら問題ないと信じているよ」

 

静かに、…けれど力強く『信じているよ』と言ったフィンさんは僕達全員を見渡す。

 

その言葉はここに居る全員の心に直接届くような、そんな気がした……

 

 

 

そのまま解散となり食事を取る者、部屋に戻る者、ダンジョンに行くもで各々が分かれる。

 

僕はレフィとエルフィさんと三人で食事を取る事にした。

 

「相変わらずベルは沢山食べるねぇ」

 

「そうですよね、一緒に食事をする事が多いので当たり前になっていました」

 

午後はダンジョンで沢山動いたのでお腹が空いていた。

 

そういえばさっき気になった事があったので聞いてみた。

 

「フィンさんが言ってた、前回が前回ってなにかあったんですか」

 

「あっ、そっか。そういえばベルは前の遠征に行ってる間にファミリアに入ったんだっけ?」

 

「そういえば、そうでしたね」

 

「ベルを初めて見た時は驚いたよ、あのベートさんが慌てて戻ってくるなんて何事‼︎って思ったんだから」

 

「それって、僕が死にかけた話ですよね」

 

「エルフィ!」

 

レフィがエルフィさんに少し怒った。

 

正直死にかけた時の記憶はほとんどなく、そこまで気にしていないがレフィの優しさが伝わって少し嬉しくなった。

 

「あぁ、ごめんごめん。前回の遠征で何があったかだよね」

 

「前回は、新種のモンスターが安全階層に攻めて来て撤退せざるを得なかったんです。そのモンスターは武器や皮膚を溶かす体液で、武器もなくなり怪我人も多く出ました」

 

「だから今回はみんな気合が入ってるのさ!」

 

エルフィさんは拳を大袈裟に上げる。

 

「ベルは留守番ですからね」

 

「わかってるよ……」

 

遠征か……

 

僕も早く、アイズさんやレフィと一緒にダンジョンで戦ってみたいな。

 

……十日後の正午に出発?

 

「そういえば、ベルは今日一人でダンジョンに潜ってたんですか?」

 

レフィの質問でリリの事を思い出す。

 

『十日後までです』

 

「レフィ、僕って遠征の前に何かしなきゃいけないことってある?」

 

「えっ…、ベルがですか?いえ、アイズさんの訓練やリヴェリア様の講座もお休みなので特には無いと思いますが……」

 

それなら大丈夫かな?

 

 

 

「あれ……さっき、アイズさんいませんでしたよね?」

 

レフィが僕達に質問する、確かにアイズさんを見ていない。

 

「アイズさんだけじゃなくて、ベートさんもいなかったよね」

 

「いなくても大丈夫なんですか?」

 

「アイズさんは珍しいけど、ベートさんがいないのはよくある事だよ」

 

「多分、ベートさんはダンジョンにでも潜っているんだと思います」

 

「アイズさんどうしたのかな?」

 

考えてもわからず、食事を食べ終わり、二人と別れてから寝る準備を済ませて自室に戻る。

 

サポーターか……

 

本当なら同じファミリアの人に頼むのがいいんだろうけどな。

 

綺麗な満月が見える。

 

鐘の音が響く。

 

明日も頑張ろう。

 

鐘の音が止むころに僕は眠りについた。

 

 

 

-------

 

 

 

〜九日後〜

 

 

 

「今日もお疲れ様でした、アル様」

 

リリはそう言いながら今日の探索で稼いだ報酬の半分を手渡してくれる。

 

「ありがとう、リリ」

 

結局初日から変わらず、リリの口調は丁寧なままだった。

 

「明日で最後だねリリ」

 

「はい。十日間も付き合って頂き本当にありがとうございました」

 

「そんな、お礼を言うのはこっちだよ。サポーターがどれだけ大切なのか、リリのおかげでわかった気がする」

 

「本当ですか?それならリリも頑張ってよかったです」

 

本当にこの九日間は勉強になった。

 

リヴェリアさんの講座のおかげでダンジョンの知識はあったけど、実際にモンスターと対峙した時の対処方などは

 

ダンジョンの空気などは実践で体験して初めて自分の力になった。

 

そこには確かにリリのサポートもあった。

 

「それでアル様、明日なんですが」

 

「明日?」

 

「どうやら明日の正午に、ロキ・ファミリアの遠征があるそうです」

 

当然ロキ・ファミリアの僕は知っていたが、お互いに所属ファミリアを伝えないと約束している為何も言わなかった。

 

「なので明日は早朝から正午までの探索にしましょう」

 

「正午まででいいの?」

 

「はい!アル様が凄く頑張ってくれましたので、予定以上のヴァリスを集める事が出来ましたので問題ありません!」

 

「それなら良かった。じゃあ明日は早朝にまたギルドの前で集合しようか」

 

「はい!」

 

正午に終わるなら、明日はレフィやみんなの見送りが出来そうだな……

 

「ではまた明日。さようなら!」

 

リリと別れてその足で、リューさんに明日は行けないと伝えに行こう。

 

 

 

-------

 

 

 

〜豊饒の女主人〜

 

「それをわざわざ伝えに来たのですか、ベル?」

 

「はい。後ご飯もついでに食べようと思って」

 

「そうですか、訓練は貴方が来れる時に来たらいい」

 

そのままカウンターの奥の席に案内されて座る。

 

普段お昼に賄いを食べさせてもらっているが、カウンターに座る事は無いので新鮮だ。

 

「そういえば、最初に来たあの時から夜に来るのは初めてなんだよなぁ」

 

初めて夜にこの豊饒の女主人に来たのはロキ・ファミリアの歓迎会の時。

 

思えば懐かしく感じてしまう。

 

「ニャーっ!ベル何サボっているにゃ。お前も働くにゃ」

 

「アーニャさん⁉︎違うんです、今はご飯を食べに来たんです」

 

「そんなのしるかにゃ!ここにいるんなら働くにゃ‼︎」

 

「やかましい‼︎サボってないで働きな!」

 

アーニャさんはミアお母さんに拳骨を落とされ、ふらふらになって仕事に戻って行った。

 

「ほら食いな。今日は財布を空にしてくれるんだろう」

 

「ありがとうございます、ミアお母さん」

 

この九日はずっとリューさんの訓練の後、午前の営業は働いていたので、ここの従業員の方々と仲良くなれた。

 

アーニャさんは白髪頭からベルと名前を言ってくれるようになった。

 

ミアお母さんはミアさんと呼んだら拳骨をされて『母親と呼びな!』って言われてとても嬉しかった。

 

「……いただきます」

 

酒場の雰囲気を楽しみながら、一人の食事を楽しんだ。

 

 

 

言われた通り僕は財布を空にするまで注文した。

 

ミアお母さんは笑い、アーニャさん達は目まぐるしく働くのだった。

 

「どんだけ食べるにゃ‼︎」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

><><><><

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「首尾はどうですか?」

 

「問題ない」

 

「そうですか」

 

「しくじるなよ」

 

「わかっています、死なせないでくださいよ」

 

「奴、次第だ」

 

「ーーーーーウオオオオオオオオオオオオオオオオッ!」

 

 

 

 

 

 

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