ダンジョン上層へと繋がる階段を金色の髪の精霊と白毛の狼が駆け上がる
「っあぁクッソ!どこまで逃げたんだよあの牛野郎はよ!!」
私達は白毛の狼の鼻を頼りに逃げたミノタウロスを追いかけ気づけば五階層まで登っていた
「こっちだ!」
遠征の帰りに遭遇したミノタウロスの群れを数匹逃してしまい最期の一匹になかなか追いつけずにいる
「ミノタウルスが逃げるなんざ聞いた事ねぇぞ」
彼は追いかけている間常に悪態をついていた
気づけば一本道になり先にミノタウロスが見えてきた
「ヴヴォオオオオオオオオオオオッ!!」
ミノタウロスに近づくと、白毛の狼の位置からでは見えにくい位置に白髪の少年が壁に寄りかかって倒れているのに気づく
彼が殺されてしまわぬよう私は一瞬でも早く目の前のミノタウロスを撃破する為加速する
「………おい…アイズ!」
私は彼を抜き去り愛用の剣のデスペレートを抜きミノタウロスを胴から上を真っ二つにする
「………ふぅ」
デスペレートを鞘にしまい少年に声をかける
「大丈夫………ですか?」
すると後ろから白毛の狼は追いつき私に怒鳴る
「馬鹿野郎、どう見ても死にかけじゃねぇかよ!頭から血ぃ出て壁に叩きつけられた跡があんだろ!」
私は言われて少年の顔の血はミノタウロスの返り血だと思っていた血が、少年の頭から流れている血であると気づく
「おい!エリクサー余ってねぇか!」
言われて腰のホルダーを、確認するが現在回復アイテムは一切持っていなかった
「っくそ!急いで戻るぞ、エリクサーの一つぐらいまだあんだろ!」
彼はそう言うと少年を担ぎ走り出す
私と白毛の狼は少年を助けるため、急いで仲間の元へと戻る
「成る程、少しまずい事になったね」
少年を担ぎ急いで仲間達の元へ戻り上層での経緯を団長へ話す
少年にはエリクサーを頭から被せたため一命はとりとめたが、目を覚ます様子はない
「うん、とりあえずご苦労様、彼の事については僕たちで考えるとするよ、二人ともありがとう」
団長への報告が終わり私は帰還の準備をする
「アイズーおつかれー!」
「おつかれアイズ」
帰還の準備をしていると双子のアマゾネスの姉妹が声をかけてきた
「いや〜びっくりしたよ!アイズ達が走って帰ってきたと思ったら血だらけの男の子をおぶってたんだもん!」
私達が戻ったときには他の仲間達は全員戻っていて、最後に戻った私達は皆から注目を浴びていた
「でも一命はとりとめたみたいで良かったわ、もしあのまま助からなかったらだいぶまずい事になっていたわよ」
確かに私達ロキ・ファミリアが逃したミノタウルスが他のファミリアの冒険者に被害があれば問題になりかねない、況してや新人冒険者が殺されたとなればファミリア同士での問題になり、最悪ギルドからのそれなりのペナルティが出てしまう場合もある
「それでもあの子に怪我を負わせてしまったから、なんらかの責任は取らなくちゃいけないんでしょうけどね」
責任と言う言葉が私に突き刺さる
「でもさーダンジョンで何が起こってもおかしくないんだからさ、私達の責任になるのっておかしくない?」
「そのイレギュラーの原因が私達にあるのが問題なのよ」
「でもミノタウロスが逃げるなんて誰も思わないじゃん」
「うん、でも彼に怪我をさせてしまったのは事実だから………」
確かに今回ミノタウロスが上層まで逃がしてしまったのは本来逃げないミノタウロスが逃げ、すぐに対応できなかった私達の落ち度であり、そのミノタウロスが原因で彼に怪我を負わせてしまったのも確かである
そんな会話をしながら準備を終わらせ私達はダンジョンから帰還する