貴方に追いつきたい
いつから僕はそう思うようになっただろう
いつから貴方と共に戦いたいと思うようになっただろう
いつから貴方を守りたいと思うようになったのだろう
わからないけど一つ確かなことは
あの日、貴方に助けられた時に見た、貴方の綺麗な姿に、僕は虜になってしまったのだろう
それこそ神にも劣らない程に魅了されて
近づきたくて、追いつきたくて
あの日貴方に助けられたから
あの日から貴方に憧れたから
これまで貴方に追いつこうとしたから
今日まで貴方を守りたいと思ったから
今僕は貴方を守れる
〜目覚め〜
目を開くと知らない天井だった
「………アイズ…さん」
最期の記憶は意識を失う前に聞いた声と金色の髪の精霊
いや精霊ではなく冒険者だろう
アイズ…アイズ………ぁあ!思い出した、ロキ様が言ってた人だ
じゃあ彼女がアイズ・ヴァレンシュタイン、わずか一年でLv.2にランクアップしついた二つ名は「剣姫」、また今ではLv.5までランクアップしておりオラリオでも屈指の冒険者で
僕と同じロキ・ファミリアの一人………
そんな事を思い出している中気づいたが、いったいここは何処なのか、体を起こし周りを見るとノックの音がなり部屋のドアが開く
「おや、気づいてましたか、ベルさん」
入ってきた女性は子柄で治療医を思わせるような白い衣服を着ていて、彼女はベッドの横に置いてある椅子に座る
「お久しぶりです、アミッドさん」
彼女の名はアミッド・テアサナーレ、ロキ様と挨拶回りをした時に知り合った一人である
「ふふ、まだ七日しか経っていませんよ」
言われて見ると確かに日にちはそんなにたっていない、しかし僕にとってオラリオでの出来事は全てが初めてで新鮮で一日一日が、とても充実したものであって、オラリオに来てから長い時間が過ぎたような気がする
「それにしても、死にかけたと聞いておりましたがその様子からして問題はなさそうですね、痛みや違和感などはありますか?」
「いえ、特には何も………、むしろ何もないのが怖いぐらいです」
僕は腕を伸ばしたり、首をうごしたりして体に異常がないか確認する
「そうですね、どの程度の怪我だったかは聞いていないのですが、怪我を癒す為エリクサーを使ったそうです、エリクサーは生きてさえいれば大抵の傷は治りますよ」
天使のような笑顔でアミッドさんは言うが、オラリオの回復薬は死んでさえなければ治せるのかと驚愕する
「…あはは、………そういえばここはどこなんですか?」
僕は回復薬の凄さに変な笑いが出たが、先程から気になっていた事を聞く
「はい、ここはギルド運営の治療室です、ダンジョンから帰ったロキ・ファミリアの方が貴方が目を覚まさない為、連れて帰るわけにもいかず、ここに預けたと伺っています」
やっぱり僕を助けてくれたのはロキ・ファミリアのアイズさんだったのか
「恐らく、ロキ・ファミリアの方もその場にいたギルドの職員も貴方の所属しているファミリアがわからなかったんでしょうね」
「まぁそうですよね、僕はロキ・ファミリアの眷属ですけど、ロキ・ファミリアのほとんどの人が遠征に行ってて、顔を知らないですし、まさかその帰りに死にかけている新人冒険者がまさか同じファミリアの眷属だとは思わないでしょうしね」
自称気味に僕は言う
「ふふっ、思ったより落ち込んで無く安心しました、ダンジョンで死にかけてそのような事が言えるのなら内面も大丈夫そうですね」
そう言うとアミッドさんは立ち上がりドアの方へ向かって行く
「ベルさん、貴方は自分で思っているよりずっと強い人ですよ、駆け出しの頃に死にかけてダンジョンに潜れなくなった冒険者は少なくないです」
アミッドさんはこちらを見ずに続ける
「初めてあったときに言った言葉をもう一度伝えますね、『必ず生きて帰ってきてください、生きていれば必ず治療してみせます』ですからダンジョンで生きる事を諦めないでくださいね」
そう言い残しアミッドさんは、部屋から出て行った
あれから少ししたあとギルドの職員の方が来て帰っても大丈夫と告げられた、ギルドを出ると日もだいぶ落ちていて、ホームである黄昏の館まで帰ってきた頃には夜も遅くなっていた
「おぉ!ベルお帰り今日は遅かったな!」
「はい!ただいま帰りました!」
僕は帰ってきたら門兵さんに挨拶するのが当たり前になっていた
ロキ・ファミリアに入りたいと言った時、門兵さんに追い返されたが、門兵さんは僕の入団を聞いて真っ先に謝罪に来てくれた。僕は気にしていないと伝えたのだが、門兵さんは僕の世話をよく焼いてくれる、今ではだいぶ仲良くなれたと思う
「そうだ、ベル!」
門をくぐろうとすると門兵さんに呼び止められた
「ロキ様から伝言があったんだ、『帰ってきたら豊饒の女主人にくるんやで〜』と言っていたぞ」
あぁそういえば、ロキ様が遠征に行ってたメンバーが帰って来たら宴会を開くとかなんとか言ってたような覚えがあるな
「わかりました、ありがとうございます!」
僕はあまり疲れてなかった為、そのまま館に入らず豊饒の女主人に向かった
僕にとってこの日は沢山のきっかけがあって、この日がなければ僕はずっと貴方の背中を追っていたんだと思います