ストライク・ザ・ブラッド~白き焔~   作:燕尾

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お久しぶりです。 燕尾です

年が明け、2016年になりました。
皆さんの健康とご活躍を祈ります。




第十四話

彩海学園の保健室から飛び出してから劉曹たちは"洋上の墓場(オシアナス・グレイヴ)"が停泊していた港湾地区(アイランド・イースト)に来ていた。しかし、そこに船はなく、海の広がりが見えるだけ。

予想通り、と呟き目を閉じる劉曹。

 

「さて、浅葱たちを助けに行くとするか」

 

探索(サーチング)――劉曹は意識を集中させる。周りの音が消え、自分の感覚が鋭くなっていく。

広範囲だと疲れるのであまりすることはないが、その気になれば絃神市全体の人一人の行動を把握することもできるのだ。広々とした海の中、目的の船を捉える。

 

「船の位置は……あそこか。海岸に向かってきているのは好都合だな」

 

浅葱たちを連れて行ったであろうヴァトラーの船の位置を確認した劉曹は行くか、と言ってアスタルテの横に回りこみ、膝下に腕をまわし、背中を支えて抱え上げる。

 

「劉曹、いったいなにをするんですか?」

 

いわゆるお姫様抱っこの状態なのだが、恥らうこともなくただ淡々と聞いてくるアスタルテ。

 

「今から、浅葱たちのところに行く。しっかり掴まってろ」

 

「わかりました」

 

アスタルテは劉曹の首に手をまわしてしっかりと抱き着く。

 

「いくぞ……空歩!」

 

そう叫んで、人間には不可能な高度まで跳躍し、空中を駆ける。

 

「アスタルテ、気分は大丈夫か?」

 

「肯定、問題ありません。」

 

いきなりの気圧変化に普通に耐えているアスタルテに驚きつつ、空をどんどん駆け抜けていく劉曹。

 

「あの船の速度とここからの距離を考えて……この調子だと十分ぐらいで船につく。一応俺もやるが警戒よろしく、アスタルテ」

 

命令受諾(アクセプト)

 

無感情な声だがどこか機嫌がいいように指示を聞くアスタルテに劉曹はふっ、と笑いつつ、さらにスピードを上げるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

劉曹たちが動き始めた頃、浅葱は"オシアナス・グレイヴ"の一室でキーボードをはしらせていた。

クリストフ・ガルドシュの依頼――それはナラクヴェーラの制御コマンドの解析だった。

浅葱はテロリストに手を貸すのを拒絶してたが、そうも言っていられなくなった。

以前、浅葱の元に送られてきたメールの中に解読希望と謎の物が送られたときに浅葱は暇つぶしとして解いていたのだ。それがナラクヴェーラの起動コマンドとは知らずに。

そして、いま増設人工島(サブフロート)で一体のナラクヴェーラが無差別の破壊活動している。このままではいずれ絃神島を沈められかねない。それを防ぐには制御コマンドを解析しないといけなかったのだ。

人工知能(AI)のモグワイに指示を出しながら解析を続ける浅葱。

 

「仕組みがわかればどうってことはない、時代遅れのアーキテクチャだわ」

 

こんなもののために劉曹は……と呟きながらそれでも絃神島を沈めないためにキーボードを叩く。

だが、このまま解いたら命を賭けて自分たちを守ろうとした劉曹も報われないだいろう。彼の仇を討つにはどうしたらいい? 下手なことをすれば一緒に連れてこられた雪菜と凪沙も危険に晒してしまう。彼らの目を欺きながら自分になにが出来るのだろうか?

 

「そうだ――」

 

何かをひらめいた浅葱は鮮やかな手つきでキーボードを打ち続ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、雪菜は作業する浅葱とその傍で眠っている凪沙を残して部屋から抜け出し、船内を偵察していたのだが、

 

「……おかしい」

 

雪菜はそう感じた。自分たちがいた部屋の外に監視する見張りの兵はいなく、そのほか諸々あまりにも無警戒過ぎるからだ。

そしていま現在、有利な状況にいる黒死皇派たちがわざわざ船を手放す必要がないのに船の乗員や黒死皇派の非戦闘員たちが次々と連絡艇に乗り移っている。なにか理由があるとしか思えない。

 

「この船にまだなにかあるとしたら……?」

 

そこで雪菜は思い出す。"オシアナス・グレイヴ"はクルーズ船と同時に輸送艦のようなスターンゲートを持っていたことを――

 

「もしかして……!?」

 

気づいたように走り出す雪菜。その行き先は貨物室のほうだった。

そして、雪菜の考えどおり貨物室の前には見張り兵として武装した黒死皇派の獣人が二人立っていた。

雪菜は不意をついて見張りの獣人を倒し、貨物室の中へと入り込む。

 

「これは……!?」

 

雪菜の視線の先には所狭しと詰め込まれた五体の兵器だった。分厚い装甲に覆われた、六本足と二本の副腕。真紅に輝くレーザー砲の瞳。彼女の勘が正しければ、

 

「まさか……これら全部ナラクヴェーラ!?」

 

「そのとおりだ」

 

驚愕している雪菜の背後から猛々しくも穏やかな声が聞こえてくる

 

「まさか素手で訓練された獣人を倒すとは見事なものだ。噂以上だな、獅子王機関の剣巫よ」

 

賞賛の言葉を送ってくるガルドシュに対し、雪菜は睨んで返す。

 

「クリストフ・ガルドシュ、これがあなたの目的だったんですか。このナラクヴェーラの軍団を手に入れることが!?」

 

そう問う雪菜にガルドシュは重々しく頷いた。

 

「戦争というものは総合的な戦力で決まるものが多い。いくら個々の能力が高がろうが個人で"戦争"に勝つのはほぼ不可能だ。たとえ第一真祖を倒せなくとも"夜の帝国(ドミニオン)"が崩壊すれば、どのみち聖域条約を維持することはできなくなる。つまり、その"戦争"はわれわれの勝利になるのだよ」

 

「絃神島だけでなく、自分の故郷まで犠牲にするというのですか」

 

憤怒の眼差しでガルドシュを睨み臨戦態勢をとる雪菜。ガルドシュは表情を変えずうなずき、

 

「もちろんだ、だからこそ我々はテロリストと呼ばれているのだよ!」

 

獣人化をしてガルドシュはナイフを抜き、凄まじい勢いで次々とナイフを突き出す。

雪菜は紙一重に暴風のような攻撃をかいくぐり彼のわき腹に手のひらを当て、

 

「――(ゆらぎ)よ」

 

零距離からの掌打を打ち放つ。相手の内臓へと直接衝撃を送り込む雪菜の近接戦闘での切り札。

しかし、異様な手ごたえに雪菜は顔をしかめて距離をとる。

 

「――生態障壁!?」

 

「きみたちが気孔術と呼んでいるものだな。獣人だからといって使えないとでも?」

 

「くっ――鳴雷(なるいかずち)!」

 

今度は彼の頭部目掛けて飛び膝蹴りを放つ。

ガルドシュはヘッドバットのように迎え撃ち雪菜の身体を吹き飛ばす。

猫のように着地する雪菜。

その瞬間を狙ったように猛然と肩から突っ込んでくるガルドシュを雪菜はギリギリまで引きつけてかわす。

ガルドシュの自爆を狙ったのだが、彼はそのまま外壁を破って外へと出た。

雪菜もガルドシュを追って甲板へ出る。

 

「(戦闘技術はほぼ互角。それでもやはり力に差がありすぎる……一体どうすれば……)」

 

どう考えても雪菜は目の前の老将校に勝てるビジョンが思いつかない。

軽く絶望し始めたそのとき、凄まじい突風が発生した。そして、その風に乗ってなにかが飛んでくる。

 

「あれは――雪霞狼!?」

 

飛来してきた銀色の槍を空中でつかみ取る。

 

「誰が……どうやって……」

 

不思議そうに自分の槍を見つめる雪菜。

 

「気流使いか。さすがは極東の魔族特区といったところか。奇妙な技を使うものが多い。だが――」

 

槍を構える雪菜を見て、彼は愉快そうに唇を吊り上げた。

 

「これで君の本当の力が見れるというわけか、やはり戦闘はこうでなければな!」

 

「……獅子の神子たる高神の剣巫が願い奉る」

 

静かに祝詞を口にしてガルドシュへ駆ける雪菜。同時にガルドシュもナイフを構え雪菜へと突進していた。

 

「破魔の曙光、雪霞の神狼、鋼の神威をもちて我に悪人百鬼を討たせ給え!」

 

そして、銀光が交差する。その直後勝敗が決した。

 

「……見事だ、剣巫よ」

 

ガルドシュの右手が鮮血を噴きながら落ちる。だが、ガルドシュは斬り落とされた右手を拾い余裕の表情で、

 

「だが、この戦争は私の勝ちだ」

 

そういって、上部甲板(アッパーデッキ)のほうに跳躍する。そこには浅葱と凪沙を抱えているガルドシュの部下が二人いた。

そして、海面を突き破るようにして浮上して来る五体の古代兵器。

 

「ナラクヴェーラ! 制御に成功している!?」

 

「そういうことだ。投降したまえ、もう君の相手をしている暇はないのだ」

 

雪菜は無言で唇を噛む。たとえ雪霞狼があってもガルドシュら三人の獣人を相手取るのは難しい。なにより、彼らは浅葱と凪沙を人質にとっているのだ。下手に手を出すわけにはいかない。

完全に手詰まり、そう思った瞬間、

 

「いや、まだ相手してもらおうか」

 

突如、聞き覚えのある声が雪菜たちの耳を掠った。

 

「だれだ!?」

 

辺りを見回しながら叫ぶガルドシュ。だが、どこを見渡しても姿が見えない。

すると船の真上からガルドシュたちに向かって暴風が襲う。雪菜が雪霞狼を受け取ったときよりも強い。

 

「ぐっ――」

 

「なんだこの風は――!?」

 

あまりの激しさに獣人二人の手から浅葱と凪沙が空に放り出される。

 

「藍羽先輩! 凪沙ちゃん!」

 

飛ばされた二人を見て叫ぶ雪菜。このままだと二人は海に落ちてしまう。

そう思った雪菜だが、彼女らは空中で虹色の腕に捕まえられていた。

 

「あれは――」

 

雪菜の視線は空中に止まっている二人に向いていた。そこには見覚えのある少年、少女の姿があった。

 

「楠先輩!」

 

濁りのない真っ白な髪に、真紅の瞳。女の子と間違えそうな中世的な顔。そして彼に背負われた、藍色の髪をした人工生命体(ホムンクルズ)の少女。

 

「くそ、思ったより時間がかかったか」

 

「否定、それは仕方のないことだと思います。あなたもまだ本調子ではありません」

 

こんな状態なのにどこか余裕のある声で着地する。雪菜は駆け寄り、はっきりと二人の名を口にする。

 

「楠先輩! アスタルテさん!」

 

「無事だったか、姫柊。二人も大した怪我はないみたいだな」

 

「はい、先輩もご無事でよかった。……状況はかなりまずいです」

 

雪菜は視線を後方へ向ける。そこには船体に張り付きながらも誰も攻撃しようとしない五体の古代兵器。

 

「奴らに制御されてるか。浅葱も相当頑張っちゃったみたいだな」

 

眠っている浅葱を見て軽く苦笑いした後、劉曹はガルドシュたちを睨む。

 

「さて、あんたには二つの選択肢をやる。まず一つ、おとなしく投降するか。二つ、抵抗して捕縛されるか。さあ、どっちがいい? おすすめは一つ目だぞ」

 

「どちらもお断りしよう、楠劉曹。いや、"白炎の神魔"よ。君の相手は私たちではなく……」

 

すると、今まで止まっていた古代生物兵器が一斉に動き出す。

 

「ナラクヴェーラだ」

 

ナラクヴェーラ一体から劉曹たちに向けて大口径レーザーが放たれる。

 

反射(リフレクト)

 

劉曹は自分を中心とした半球の結界を展開する。結界に衝突した真紅のレーザーはナラクヴェーラへと跳ね返り、分厚い装甲を貫く。

 

「姫柊! アスタルテ! 浅葱と凪沙ちゃんを頼む!」

 

「わかりました!」

 

命令受諾(アクセプト)。執行せよ"薔薇の指先"」

 

雪菜は銀色の槍を構え、アスタルテは虹色の眷獣を纏い、防御体制にはいる。

その直後、絶叫にも似た獣の遠吠えが空に鳴り響き、発生源の中心の増設人工島(サブフロート)が、海までもがその咆哮に震えている。

海岸から大分離れている海の上からでもその姿は見えた。緋色にきらめく鬣と、双角を持つ巨大な獣の姿。

 

「あの緋色の双角獣(バイコーン)は"九番目"か。古城の新しい眷獣だな。ということは……」

 

冷や汗をたらしながらチラッと自分の後ろを見る劉曹。そこには明らかに不機嫌そうにしている雪菜の姿があった。

ご愁傷様、と心の中で合掌する劉曹。

一方、眷獣の姿を捉えたガルドシュの行動は早かった。

 

「第四真祖の眷獣か! グリゴーレ! 私が女王(マレカ)で出る。それまでやつの相手をしろ」

 

『――了解です、少佐』

 

無線越しに言い残してガルドシュは部下二人を連れて、船倉のほうへと走り出す。そして、四体のナラクヴェーラは双角の眷獣のほうへと向かう。

 

「待て……――っ!」

 

ガルドシュの後を追おうとした劉曹だったがさっき壊したはずの一体が立ちふさがる。

 

「こいつ自己修復しているのか。ならまずはこいつをどうにかしないとだめだな」

 

分析している間にも古代兵器は先ほどの真紅のレーザーを放ってくる。

 

「何度やっても無駄だ、もう一度壊れておけ――反射(リフレクト)!」

 

劉曹はもう一度結界を展開し、光線を跳ね返す。

このまま先ほどと同じようにナラクヴェーラを貫くと思われたレーザー砲は、ナラクヴェーラに当たった瞬間掻き消えた。

 

「なるほどな、"学習"するのか。神々が造った古代兵器っていうのは伊達じゃないな。まあ、ほんとに造ったのかはあいつに(・・・・)問い詰めたいところだが」

 

劉曹はナラクヴェーラを閉じ込めるようにして結界を展開する。

なにが起きているのか理解できていないナラクヴェーラは光線を放つも結界が全てナラクヴェーラに跳ね返す。しかし、学習済みのナラクヴェーラは当たると同時に光線を掻き消す。

そんな堂々巡りをしばらく見ていた劉曹は雪菜たちのほうを向く。

 

「壊せないまでもしばらく足止めにはなるだろう……なあ、姫柊、アスタルテ」

 

「なんですか」

 

「なんでしょう」

 

微塵の焦りもなく雪菜とアスタルテにに声をかける劉曹。雪菜はなぜこんな状況なのにそんなに落ち着けているのか不思議に思いつつも応答する。

 

「この船って沈めていいと思う?」

 

「……は?」

 

「………」

 

思いもしない一言に雪菜は素っ頓狂な声を出して、アスタルテは黙ったままだった。

 

「いや、だって、この船ってヴァトラーのだろ? どうせあいつ、知っててガルドシュに船を明け渡したんだから別に沈めてもよくないか? そうすれば簡単にナラクヴェーラも海の底に沈められ――」

 

最後まで劉曹が言う前に雪菜は一喝する

 

「だめに決まっているじゃないですか! そんなことすれば国際問題に発展します!! それに浅葱先輩や凪沙ちゃんがいるんですよ!?」

 

「ナラクヴェーラを止めるために沈めたといえば大丈夫だろ。それにその二人に関しては問題ない――そうだよな、那月ちゃん」

 

劉曹は上部甲板(アッパーデッキ)にいる黒いフリルの日傘をさした豪奢(ごうしゃ)なドレスを着た女性に声をかける。

 

「ちゃんをつけるなといっているだろう!」

 

「南宮先生!?」

 

「……どうやら無事だったようだな」

 

虚空から音もなく出現した那月を、雪菜は驚きに打たれて見上げる。

最高難易度の魔術の一つである空間転移を気楽に使いこなす術者はそういない。改めて雪菜は那月のすごさを認識する。

 

「私はこいつらを安全な場所まで連れて行く。おまえたちはどうする?」

 

「わたしは……」

 

そういって、雪菜はチラッと劉曹を見る。

彼女は迷っているのだ。彼女は古城の監視役だ。浅葱と凪沙の安全が確保されたいま、いち早く合流したい。だが、目の前にあるナラクヴェーラを劉曹に押し付けるわけにはいかない。

 

「姫柊。おまえは古城のところにいってやれ」

 

板ばさみのような葛藤(かっとう)をしている雪菜に優しく声をかける。

 

「いくら新しい眷獣を手に入れたとしても古城と煌坂二人じゃ勝てない。それに戦力は多いに越したことはない。こっちは俺とアスタルテだけで事足りる」

 

「でも……」

 

いまだ迷っている雪菜。そこに携帯の着信音が鳴る。着信音の源はなぜか雪菜の懐に入っていた浅葱のスマートフォンだった。

 

『よお、嬢ちゃん。例の作業、終わったぜ』

 

「(この声……モグワイか?)」

 

「え……と、モグワイさん?」

 

電話回線から聞こえてきたのは、浅葱の相棒の人工知能(AI)の声だった。恐る恐る呼びかける雪菜。モグワイはすぐにそれを解析して、声の主を割り出したようだった。

 

『ありゃ。あんた、嬢ちゃんの恋敵(ライバル)の転校生ちゃんか』

 

「ら、ライバル?」

 

すると、劉曹がかわれ、と合図してくる。劉曹は雪菜から携帯を受け取る。

 

「モグワイ、俺だ」

 

『その声は劉坊か。なら話は早い、浅葱嬢ちゃんはいるか?』

 

「浅葱はいま安全なところに避難した」

 

『そうか、実はテロリストに気づかれないように携帯に送れといわれていたものがあってな』

 

「もしかして、制御コマンドか?」

 

『ああ、ナラクヴェーラの制御コマンドだ――五十五番目のな』

 

話を聞いた劉曹は大きく目を見開く。

 

「五十五番目だと? いつの間にそんなもの作った……いや、いまの問題はそこじゃないな。どういうものなんだ?」

 

『ナラクヴェーラの自己修復機能を悪用して、連中を自滅させる一種のコンピューターウィルスだ』

 

ナラクヴェーラは音声認識で制御されているのを知っている劉曹はモグワイの話を聞いてどうすればいいのかすぐに答えを出す。

 

「つまりナラクヴェーラにこの音声を認識させればいいんだな?」

 

『そういうことだ』

 

わかった、といって、電話を切る劉曹。そして雪菜に携帯を渡し、

 

「姫柊、聞いてただろ。モグワイが音声流してくれるから、姫柊は携帯をナラクヴェーラの操縦室に投げ込んでくれ。さっきも言ったとおりこいつは俺たちで十分だ」

 

携帯を受け取る雪菜にただし、と付け足す。

 

「認識させれるのはおそらくガルドシュが乗り込んでる女王(マレカ)という機体だから気をつけろ。アスタルテは俺の支援、頼めるか」

 

「わかりました」

 

命令受諾(アクセプト)

 

雪菜は那月とともに空間転移で増設人工島(サブフロート)へ転移する。それと同時にナラクヴェーラを捕らえていた結界が破られる。

 

「さて、できるだけフルボッコにして、古城たちの援護に向かうとするか」

 

そして、再びナラクヴェーラと対峙するのだった。

 





今年もどうぞよろしくお願いします。
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