僕が優れているもの
両親が死んで、義妹が誘拐されてからどれくらい経っただろう。
その二つの事が原因で僕たち兄弟は変わってしまった。お互いの性格は歪んでしまい、両親がいた頃は兄弟の仲は良好だったはずだ。しかし、今となってはそんなことは過ぎてしまったこと。いつ喧嘩が勃発してもおかしくない状況。
弟はとても頭が良い、小学生ながら高校生が解くような問題を解いている。そして義姉さんは運動神経がとても良い、剣道を習っておりその実力は全国大会を連覇できるほどだ。
では、僕の優れているものは何だろう?
僕は同学年の小学生と比べれば勉強はできるし、運動神経だってそこまで悪くはない。だが周りの人々は二人と比べて劣る僕を貶す。同級生は僕を苛めてくる。
でも
「俺が悪かった、許してくれ、頼む!」
放課後の小学校の校舎裏、ここに1人の児童の叫び声がこだまする。少年の近くには二人の児童が気絶して倒れている。そして、彼の目線の先にもう1人の少年。
「……」
少年は無言で児童へと近づいていく。少年の右手は血で汚れている。おそらく、気絶している少年を殴った時に付着したのだろう。それに対して児童は尻餅をつきながら後ずさりしていく。少年が児童に近づくに連れて、児童の震えがましていく。
「君たちが僕をここに呼び出していきなり殴ってきた。だから僕は殴り返しているだけだよ、だって、殴らないと倒されちゃうから」
淡々と喋る少年。その様子に児童はさらに恐怖心が増していく。
「悪かった、お前を苛めて悪かったと思っている。だから許してくれよ!」
しかし、児童の叫びは少年には通じない。少年は小学生とは思えないような鋭い蹴りを児童の顎にぶつけた。すると児童は痛みによってきぜつしてしまった。
気絶している3人の児童を見る少年。少年の頬には一回だけ殴られた跡があるが他には一切傷がない。たった一回殴られただけ、後は少年による一方的な暴力だった。
「そろそろ帰って、ご飯作らないと」
少年はバッグをからって、児童達をほったらかしたまま、帰って行った。
「ただいま」
玄関の戸を閉め、靴を脱ぐ。帰宅の挨拶をしたが返事はない。いつもの事だ、もしかしたら家に弟がいるかもしれないが、返事なんかは決してしない。
自分の部屋にバッグを置いた後、台所に向かう。台所につくと冷蔵庫の中身を先ず第一に確認する。
(キャベツ、豚肉に焼きそばの麺があるから……焼きそばでいっか)
冷蔵庫の中身を確認し、今日の献立を決めた少年は具材を取り出し、料理を始める。慣れた手つきで料理をする少年。焼きそばが完成するとフライパンのなかで焼きそばを三つに分け、そのうち一箇所を皿に盛り付ける。
「いただきます」
孤食。子どもが成長する際にこの行為はあまり好ましくはないと言われている。しかし、僕にとってはこんなこと日常茶飯事である。両親がいた頃や義妹がいたころはまだみんな揃って食卓を囲み、仲良く食べていた。でも今は
、義姉さんは部活動で毎晩遅くに帰ってくるし、弟は何処にいるのかわからない。それが今の僕の家族。
ご飯を食べ終わり、皿を片付けると自分の部屋に戻る。そして直ぐにバッグから宿題を取り出して取り掛かる。
一時間もすれば出された宿題は全て終わる。そうすれば次はおふろの準備に取り掛かる。風呂を洗い、沸かし始める。風呂が沸く迄の間、僕は今日干していた洗濯物を畳む。いつもの事だ、いつも僕が家事をする。義姉や弟には任せてはられない。なぜかと言うと、より悲惨になってしまうからだ。義姉の部屋は足の踏み場もないと言っていいほどだ。あの人には家事の能力が皆無らしい。だから僕が家事をする。
洗濯物を畳み終わると同時に風呂が沸いた音声が聞こえる。そして風呂場へと向かい僕は一日の疲れを癒す。
風呂から上がり自分の部屋に戻ろうとする。ふと、リビングの方を見てみれば二人分の声が聞こえる。楽しそうな会話。すごく虚しくなってくる。自分だけが仲間外れ……
今日は小学校の修了式、午前中で学校は終わり今は放課後である。
僕は図書館でいつもの様に時間を潰していた。ここはいい場所だ。
何処迄も続く様な沈黙が空間を支配し、まるで時が止まっている様にも感じられる。僕は普段、授業が退屈な時は何時もここでさぼっている。
時計をみると時間は既に午後2時を回っていた。正午に放課されたから、かれこれ二時間本を読んでいた事になる。そろそろ帰ろうと思い荷物に手をかける。そこで僕は忘れ物があることに気づき、教室に戻る。
教室で忘れ物を取り、帰ろうとすると僕は隣の教室であるものを発見する。2人の少年が1人の少女を教室の隅で蹴ったり殴ったりしていた。すると2人のうち1人が僕の存在に気づいて近づいてくる。
「お前何見てんだよ!」
近づくと同時に殴りかかってくる少年、僕はそれをわざと食らう。倒れはしなかったが、やはり少し痛い。すると、少年は何を思ったのかニヤニヤと笑い始める。
「これ以上痛い目に会いたくなかったら帰りな」
少年がそんな事を言ってきた。だから僕は持っていた荷物をおろして。
ドスッ!
少年の鳩尾に一撃、お返しとばかりに拳をぶち込む。少年が弱いのかそれとも油断していたのかわからないが簡単に攻撃できた。身体くの字に曲げて痛みを抑えている彼の頭を両手で抑え、膝蹴りを三発おみまいする。少年から手を離すと彼は口から血を出し、床にうつ伏せになる様に倒れた。
「さて、次」
僕はそのまま残りの1人に近づいていく。残りの1人は僕に近づいてきて殴ってくる。僕はそれをかするように躱し、ガラ空きの顎に右アッパーをたたき込む。アッパーの衝撃で膝から倒れこむ少年、僕はそれを見逃さず少年が倒れるタイミングに合わせて、少年の顔に蹴りを入れる。
「……」
スローモーションの様に仰向けに倒れる少年を見る。少年の
頬をペチペチと叩き気絶しているのを確認すると、少女の方に歩み寄る。
「大丈夫?」
目の前で一方的な暴力を振るったやつがこんなことを言うのはおかしいとおもいながら、彼女に声をかける。
「えっ……えっと……いじめないで」
教室の隅で座り込み、震えながら細い声で呟く少女。やはり驚いているのかビクビクしながら僕を見ている。
「大丈夫、僕は君をいじめないから。それよりも怪我とかは……あるか。保健室1人で行ける?」
彼女に手を差し伸べる。すると彼女は僕の手を掴んだので僕はそれを引っ張り彼女を立たせる。彼女は立った時にバランスを崩してしまい、倒れそうになってしまったので僕はそれを受け止める。
「大丈夫か?」
「うん、うん……その、助けてくれてありがとう……1人で保健室にはいけるから」
彼女はそう言うと僕から離れ、荷物を持つと急ぎ足で教室から出て行った。僕も荷物を持つと気絶した2人をほったらかして帰った。
今回、この作品を書こうと思ったきっかけはIS学園側にもヒロインが欲しく、IS学園側の話を書きやすくなるからですし、市街地戦闘や室内戦闘を書いて見たかったからです。
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