楽園、それは数十年前に海底火山の噴火によって作り上げらた島の中に世界中の国が一つの意思の元に作り上げた都市。何処の国にも属しておらず、やがてはこの場所に国際連合の本部を置く事になっていた。
誰の国でもないからこそ、
ゼロ達は楽園まで残り数分というところに来ていた。到着まで距離にしておよそ十数キロメートル、ISならばあっという間についてしまえるほどの距離。
「全員、出撃準備は済ませてあるか?」
黒鷹を操りながら、ゼロはコンテナの中にいる面々に声をかけた。それぞれの返事が返って来て、出撃準備が完了してあることがわかる。
「これより先は敵の本拠地だ。何が起きるかわからん、気合をいれておけよ」
今回の任務を簡単に説明すると、敵に突撃してぶっ殺す。非常にわかりやすくて助かる。
潜入は不可能。
だからこそ、最高戦力を叩き込む。
「…………全員、出撃準備に移れ」
出撃地点にはまだ距離があるというのに、ゼロはいきなりそんなことを言い出した。
出撃地点はもう少し内陸、楽園の都市部分での予定だったはずだが今はまだ海岸にも到着していない。
『兄さん、何かあったのか?』
異変を察知した百春が聞いてくる。
「ああ、コッチに向けて無人機が迫って来ている。この前の面倒くさい奴、それも数機」
それはタッグマッチの時に襲来した無人機、あの時は専用機持ち達を大いに苦しめた。
しかも今回は数が多そうだ。
コンテナにいる面々に緊張感が走る。
「アレは俺が引き受ける。できる限り内陸部で下ろすから、任務を優先してくれ」
皆、指示に従うことにした。
無人機からのエネルギー弾の砲撃が始まる。
ゼロは水面スレスレを飛行してこれらを躱し、無人機の群れを突き抜ける。
「都市部についたら可能な限りツーマンセルで行動しろ。敵の数は七人プラス無人機、二人一組で敵を一人撃破する気でいろ」
数が合わないが、それは仕方が無い。こちらの駒の数が足りないのだから。しかもゼロの目標はクロエ一人、あとの奴らを他が可能な限り引き受けてくれればいい。
「開始!」
その言葉の直後、付けられたコンテナが前方に射出されて中から専用機持ち達が飛び出した。それぞれツーマンセルを組んで飛んで行くが、百春だけは人数の都合で一人で行動している。
これは勿論百春の独断行動ではなく、ゼロからの指示である。
ゼロ曰く、「そろそろ飛べ」だそうだ。
専用機持ち達を射出し終えると、ゼロは急上昇を行って無人機の視線を惹きつける。
ゼロは早速射撃で一機撃破してみせた。
「こっちだぜ」
大翼を羽ばたかせたながら、ゼロは空中を舞う。
黒鷹を長距離移動形態から戦闘用モードに切り替える。鳥の足が飛び出し、背中にはエネルギー砲が取り付けられる。
手始めに後部のミサイルポッドから大量のミサイルが無人機に向けて発射される。それらはマルチロックオンシステムによってそれぞれ別の無人機に向かって飛んでいる。
無人機はこれを何事もなく撃ち落とすが、ミサイルからは爆発ではなく、大量の煙のようなモノが飛び出した。
煙を浴びると無人機の動きが僅かにおかしくなった。コレはほんの僅かな時間だがISのセンサーを狂わせる事ができる煙、有人機にはあまり効果がないが、センサー頼りの無人機にとっては有効な武器である。
大翼にエネルギーが纏う。加えて先頭部にはチャクラの膜が覆われる。
超高速の突撃、動きのおかしくなった無人機に向けて最高の衝撃が迫る。
動きのおかしくなった無人機が元に戻るよりも早く、ゼロが無人機を大翼で切り裂いた。
更に空中で急旋回、今度は爪を広げて無人機を掴み、握りつぶす。握りつぶした無人機を手放して残った奴らを睨みつける。
散開していく無人機に向けて黒鷹は大口を開けてエネルギー砲で薙ぎ払う。
加えて全身のエネルギー砲を放って逃げ場をなくす。
エネルギーに飲み込まれて爆散していく無人機。
「コッチは一段落、さてと少し休んで突撃しますか」
「来ましたか……では、我々も迎え入れましょう」
一つの影の指示に従い、六つの影は楽園を守るために飛び出した。