「荷物の準備は終わった」
僕はいま自分の部屋で荷造りをしていた。理由は簡単だ、来週から行われるモンドグロッソに出場する千冬姉の応援に東京に向かうのだ。そのための荷造り。
始業式に起きた暴力事件はその後何もなく、収束した。あれから鹿狩瀬は僕に怯えているようだし、男子は男子で「あの野郎を殴ってくれてありがとう」みたいな視線で見てくる。だが、相変わらず友達と呼べるのはアリサだけだ。まあ、僕はそれで全然構わない。
「兄さん、準備はできたの?」
百春が部屋の中に入ってきた。
「ああ、できてる。明日は早いからお前も早く寝ろ」
僕の言葉を聞いて、百春はそのまま部屋を後にした。
そして翌日、駅へと向かい電車を待っている。僕たちはこれから電車で会場へと向かい、そのままそこの近くのホテルで大会が終わるまで過ごす。なんでも過ごすホテルは日本でもかなりの高級ホテルらしい。
僕と百春は切符を買って、改札を通ろうとする。すると
「一夏くん!」
呼ばれた声がしたので振り返ってみるとそこにはアリサと皇さん夫婦がいた。アリサは僕の前で立ち止まる。
「どうしんだ、アリサ?」
「一夏くんの見送りにきたの」
ニッコリと笑いながら答えるアリサ。
「ありがとうアリサ」
「ううん、私がしたかったから良いんだよ……あれ?一夏くん、ネックレスはどうしたの?」
僕はアリサの言葉にハッとなる。首元を確かめると、たしかにネックレスは無かった。アリサには悪いことしてしまったな。
「ゴメン、着けるの忘れてきてしまった」
「そう……」
目に見えて落ち込んでいるアリサ、ここはなんとかしないと。
「アリサ、ゴメン?帰ってきたらちゃんと着けるからね、だから落ち込まないで」
僕がそう言うと、アリサは「わかった」と言ってもとに戻った。
時間をふと確認してみるともう、電車が到着する時間だ。百春はもうホームに行ったのだろう、ここにはいない。
「アリサ、もうそろそろいかなけゃいけないから。それじゃあ」
アリサに別れを済ませて、振り返り、僕はキャリーバッグをもって改札に向かう。
「待って」
いきなりアリサに肩を掴まれるとそのまま、ふりむかされる。そしてそのままアリサは両手で僕の肩を掴むと僕の顔に自分の顔を近づけて
唇と唇がふれあった
すこしばかりの沈黙が続いた。
「そ……その、いってらっしゃい」
「い……いってきます」
俯きながらそして顔を真っ赤にしながら恥ずかしそうに喋るアリサ。僕もキスされた恥ずかしさからかアリサから目を離して返事をした。そんな様子を皇さんは血涙を流しながら、レインさんは微笑みながら見守っていた。
「じゃあアリサ、いってくるね」
「またね、一夏くん」
僕はアリサとの挨拶を済ませて改札をくぐった。アリサは僕に手をふっていたので、僕も彼女が見えなくなるまで手をふった。
こうして僕は東京のモンドグロッソが開かれる会場まで向かった。
そして
織斑一夏は死んだ