インフィニット・ストラトス ファントム   作:OLAP

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ルパパト好きなんだけどなー、最近のテコ入れでマジでアンチになりそう。
お話面白いんだけどなあ。


第126話

 

 

 

──失恋したかもしれない。

 

──でも、彼を愛した事を悔いる事はないだろう。

 

 

 

 

「龍砲!!」

 

「なめるな!」

 

両肩から放たれた龍砲はデュノアの動きに簡単にかわされてしまう。

 

近接格闘ならば鈴音に部が有るが、中遠距離になるとデュノアに部が有る。

 

そのため鈴音は常に距離を詰め、デュノアは距離を取ろうとしている。

 

「この距離ならリィン・カーネーションの方が有利だよ。中距離ならね!」

 

銃を乱射しながら距離を取り続けるデュノア、その動きは彼女の意思によるものではなくプログラムによって発生している。

 

「そうね、今までならね」

 

一閃。

 

世界を貫く、超圧縮された龍砲の弾丸がデュノアの肉体に直撃し、機体を大きく弾いた。

 

デュノアにとっては予想外だった。甲龍の龍砲の射程距離も威力も十分理解しているつもりだった。

 

だが今の一撃はソレを超えていた。

 

「今のは………………」

 

戸惑うデュノア、予想外の出来事に機体の動きが止まる。

 

「第二次移行する際に手に入れた龍砲の新たな力よ。極限まで圧縮させた超遠距離、超高威力の龍砲。そしてそれとは反対に拡散させる龍砲。それが凰仙甲龍の新たな力の一つよ」

 

「そんなにベラベラと喋って大丈夫なの?手がわかるよ」

 

そんなデュノアの発言を聞いて、鈴音は笑った。言われなくてもわかっていると言いたげであった。

 

「あんた、いつもより馬鹿ね。勝てるから教えてるに決まってるじゃない…………それにね、手がコレだけなわけないでしょ」

 

鈴音は勝気な笑みを浮かべた。

 

甲龍の非固定ユニットである龍砲が不気味に漂い、鈴音の目の前にやってくる。

 

「接続」

 

龍砲の後方に穴が空き、そこめがけて鈴音が勢いよく両手を突っ込んだ。

 

繋がる。

 

「今のあたしはこの間までのあたしとはまるで違うわよ。今のあたしは………………フリキレテル」

 

丸みががった龍砲から五本の指が飛び出す。新たな手を開いたり閉じたりさせながら、鈴音は機体の状態を確認する。

 

「どうしたの、シャルロット。そのバイザー越しでもわかるわよ、あんた今酷い顔してるわね」

 

「………リィイイイン!!!!!」

 

「うるさいわね、少しは黙りなさいよ。あたしは百春と違ってあんたの悩みを聞いてあげるほど優しくないのよ」

 

鈴音が両手に接続された龍砲ごと構えを取る。いつもより長大で強力な腕は迫力も違う。

 

「あたしにできるのはね、あんたをぶん殴って止めるくらいよ!」

 

自慢の推進力を生かしてデュノアとの距離を一気に詰めた。

 

左手を硬く握りしめ、デュノアめがけて全力で振るった。

 

「なめないでよ!」

 

デュノアはその一撃をしゃがんで躱し、すぐにスラスターを使って後ろに下がった。

 

「あんたが、ね!!」

 

だがこれは鈴音の狙いであった。

 

続けざまに大きく開いた右手を前に突き出して広域衝撃砲を掌から放った。

 

衝撃波はデュノアを飲み込み、彼女の動きを止める。

 

龍砲を本体と繋げることによって、エネルギーを直接貰うことが可能になったので威力は遥かに上昇している。

 

「鈴は悔しくないのか!!!」

 

近接戦を挑まれ、振り切れなくなったデュノアは近接用の武器と盾を呼び出して鈴音の攻撃をなんとか受け止める。

 

拳に龍砲を装着することによって通常の殴打だけではなく、龍砲も放てるようになった。

 

それ故に相手は距離を詰められたら対処が困難になる。

 

「………何が」

 

「百春が………あの蘭って子に盗られちゃうかもしれないってことだよ!!」

 

このところ百春はIS学園に進学して来た五反田蘭と仲良くしている事が多くなった。

 

それがデュノアにとってはどうしようもなく、嫌だった。

 

自分の前から百春が、好きな人がいなくなるのではないのかという不安でいっぱいだった。

 

彼女からみれば蘭はいきなりやって来た泥棒猫のような存在、だが鈴音から見れば蘭は昔からの恋のライバルであり、むしろデュノアがいきなりやって来た泥棒猫のような存在なのだ。

 

「そうね………確かに嫌かもね」

 

「そうでしょ!だったら──」

 

「でもねえ、蘭は真正面から戦って勝ち取ろうとしている。例え少し猫をかぶっていたとしてもあんたよりは可愛いものよ………それにね、あたし思ったのよ。百春が幸せならそれでもいいかもって」

 

鈴音が左手でデュノアの右腕を掴んだ。

 

「でもあんたの考えは百春を幸せにしない!!」

 

空いた右手の龍砲が元の形に戻る。

 

「まだ勝負は決まったわけじゃない。今からでも百春を振り向かせる事ができるかもしれない…………だからあたしは、正々堂々と胸を張って百春にアタックする」

 

鈴音の右手にエネルギーが蓄えられる。

 

「これからは躊躇わない。蘭とだって戦ってみせる。自分を磨いてもっと良い女になってみせる……たとえ負けても構わない。未来のあたしは過去のあたしに自信を持って言える」

 

究極まで圧縮された龍砲の一撃、今現在の甲龍が使う事のできる最強の攻撃。

 

「『あいつに恋をして良かった』ってね」

 

渾身の右ストレートと同時に極限まで圧縮された空気の弾丸が龍砲から放たれた。

 

龍砲の弾丸はリィン・カーネーションの胸部に直撃。一瞬で機体は大地に引き寄せられ、叩きつけられた。

 

「それにね、あたしが恋した人には幸せになって欲しいじゃない……たとえそれが、あたし以外の誰かが隣にいても」

 

鈴音は既に決めている。

 

もう後悔はしないと。

 

そして今までの自分の浅ましさを悔やんでいる。

 

「だから、あんたも少しは目を覚ましなさいよ…………この一撃で」

 

鈴音はデュノアが倒れている地面に向けて龍砲が接続されてある両手を前に突き出した。

 

「カタをつける!」

 

両腕の龍砲に力がたまる。

 

発射口は口を狭め、エネルギーを圧縮させて力を高める。

 

「龍砲!!」

 

両手の砲門から放たれた弾丸は地面に倒れ行動不能になっているデュノア目掛けて落ちて行った。

 

反動も凄まじいモノで、鈴音もスラスターを使ってなんとか態勢を維持させてみせた。

 

撃ちだされた弾丸はデュノアの乗る機体に直撃し、クレーターを作り上げながらデュノアを地面にめり込ませる。

 

リィン・カーネーションの色が黒色から元の鮮やかな色に変色する。

 

動きが止まり、活動停止を示す。

 

鈴音はそれを確認するとユックリと高度を下げてデュノアに近づく。

 

その際に両手につけていた龍砲が腕から分離して元に戻る。

 

「気分は晴れた?」

 

地面に降り立った鈴音は未だ地面に仰向けに倒れているデュノア向けて、少しだけ突き放すように話しかけた。

 

「…………鈴、僕は……僕はどうしたらいいの?」

 

「知らないわよ。それを答えて上げられるほど、アタシはあんたの事を知っているわけじゃない…………」

 

せいぜい一年の付き合い。その時間で相手の全てを知れるとはとうてい思えない。ましてや相手は恋のライバルなのだから。

 

「僕は……幸せになりたい。みんなと一緒に……みんなと」

 

目を腕で覆い隠しながら、デュノアは泣いた。それは何が原因で流れた涙なのか、彼女にはよくわからない。

 

「だったら、自分で考えなさい。あたしは百春の援護に向かう…………ちょっと嫌な予感がするからね」

 

鈴音はデュノアを残して、無人機と戦う百春の元に向かって行った。

 

「僕は……どうすれば」

 

愛する人間と両親を天秤にかけながら、一人残されたデュノアは涙を流した。

 

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