インフィニット・ストラトス ファントム   作:OLAP

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第130話

「チッ!!」

 

「どうしたどうした!!道場剣術様よぉ!!さっきから、ケツが引けてるぞォ!!」

 

蟷螂──デスタンツ・マンティスクは自慢の鎌を振るいながら戦っている相手である篠ノ之箒を追い詰めていた。

 

箒の持つ武器の一つは既にデスタンツの鎌によって両断されており、残った脇差しだけで戦っている。

 

「くっ!!こんなところでは!!」

 

箒が遠距離用の武器、穿千を呼び出して右手に掴むとデスタンツの顔面に狙いを定めて迷いなく引き金を引いた。

 

「キシャァ!!」

 

だが弩から放たれたその一撃は上半身を直角に、仰向けにそらすことによって躱されてしまう。

 

躱されたところに足払いをくらい、そして体制がおかしくなったところで腹にヤクザキックを食らってしまった。

 

大きく吹き飛び、壁に激突することによってようやく停止した。

 

「くそ!!」

 

箒は自分の身にかかった瓦礫や埃を払い落としながら立ち上がり、

再度強く刀と弩を握りしめた。

 

「やるのか?まだ」

 

鎌が光によってキラリと光る。

 

「そうだ、私はまだ戦────」

 

「じゃあ殺す!!」

 

箒にトドメを刺すべく蟷螂が箒に向けて突撃した。

 

箒もそれを迎え撃とうと武器を構えた。

 

だがそんな二人の間に突如一振りの太刀が地面に突き刺さった。

 

二人は思わず動きが止まり、思わず太刀が飛んできた方向を見ると一機のISが此方に猛スピードで迫っていた。

 

「アレは………暮桜?千冬さんが乗ってるのか?でも、違う」

 

迫って来る機体は織斑千冬の愛機である暮桜に告示していたが、ソレとは違って全身装甲タイプに変わっている。

 

それが暮桜ではなく新たに束によって作り上げられた『暁桜』であることを箒は知らない。

 

千冬は地面に着地すると同時に太刀を掴み、デスタンツに向けて瞬時加速を行った。

 

「面白え。来な、出来損ないの失敗作。この鎌で貴様を─────」

 

「『零落白夜』」

 

「──ッ!?」

 

だがデスタンツの自慢の鎌よりも早く、千冬は零落白夜の白刃で機体を真っ二つに両断して見せた。

 

瞬時加速の後に二重瞬時加速を行った更なる速度でデスタンツを葬り去った。

 

それがつい最近まで実践を離れていた人間の動きだとは、箒には思えなかった。

 

「申し訳、ありま……せ………………ん」

 

体を両断されたデスタンツは膝から崩れ落ち、動かなくなってしまった。

 

本当に一瞬の攻撃であった。箒は強くなったつもりでいたが、千冬はそれ以上に強いということを再認識させられる結果になってしまった。

 

「篠ノ之──」

 

千冬は振り返ることなく、箒に声をかけた。

 

「は、はい!!」

 

その気迫溢れる後ろ姿に箒は思わず狼狽えてしまった。こんな千冬さんなんて今まで一度も見たことがない。

 

「私はメインアリーナに行く。お前は他の奴らと合流して戦え…………良いな?」

 

有無を言わさぬ気迫。

 

「……はい」

 

箒は返事するしかなかった。

 

「ならばよい」

 

千冬は何処へ飛び去って行った。

 

 

 

『一夏』はユックリと両手を広げた。その一挙手一投足を皆が注目する。

 

触手が蠢き、鋭く尖った先端が動きを停止させている無人機に向けられる。

 

触手の先端から無人機に向けて一筋の閃光が放たれ、コアを容易く貫いた。

 

「………え?」

 

地面に力なく崩れ落ちて落下していく無人機達を見ながら、誰かが思わず戸惑いの声をあげてしまった。

 

何故仲間を撃ち抜いたのか理由がわからない。

 

「………総帥?何をお考えなのですか!?」

 

それは蝙蝠にも同じだったらしい。

 

「ヘルバット……下がれ。死にたいなら下がらなくてよい。死にたくないなら、下がれ」

 

蝙蝠──ヘルバットに向けて『一夏』は追い払う様な動作を行った。仲間ではあるが興味がなさそうだ。いてもいなくてももうでもよい、死んでも死ななくてもどうでもよいのかもしれない。

 

「……総帥……」

 

「ヘルバット、二度…………か?」

 

重い、余りにも重いプレッシャーが『一夏』からヘルバットに向けて放たれる。

 

ソレはまさに王と呼ばれるモノに相応しい風格であった。有無を言わさぬ絶対的な力の象徴。

 

直接向けられているわけではないのに、思わずIS学園側の人間達はその迫力に一歩引いてしまった。

 

「………はい」

 

ヘルバットは頭を一度深く下げたのち、ここから素早く立ち去る様に飛び去った。

 

「待て!!」

 

シャルロットが親の仇であるヘルバットを追いかけようとしたが、理想郷が触手の先端から放ったエネルギーがその行く手を阻んだ。

 

「何処へいく……貴様らの相手は儂だ。感謝しろ、儂自らが直々に貴様らを殺してやる」

 

『一夏』が周りにいる人間に向けて手招きをして挑発を行う。

 

余りにも余裕、此れだけの数の差があるというのに『一夏』には余裕がありすぎる。

 

「さぁ、試してみるか………No.1000(ラストナンバー)の力を」

 

『一夏』は腕組みをしてみせた。まるで自分からは攻撃を仕掛けないと言わんばかりだ。

 

「……舐められた、モノね!」

 

鈴音や簪、そして新たに配備された第三世代機である『打鉄・参ノ型』に乗った教員二人が『一夏』を取り囲みながら、ほぼ同時に突撃した。

 

「遅い遅い遅い遅い!!!!どうした、一人の人間を四方八方から十人で取り囲んでおいて一つも傷をつけることができんのか?温い、滾らせろ!!」

 

四方八方から襲いかかるISの攻撃を4本の触手で巧みに捌き続けながら、『一夏』は戦えば戦うほど己の欲求に渇望し続ける。

 

四本の触手は『一夏』の意思によって自由自在に動き回り、迫ってきたISに対して凶刃を突きつける。

 

しかし、攻撃を凌ぐだけで『一夏』から攻撃を仕掛けることは未だない。IS学園の人間たちはいつ攻撃に移るのかと肝を冷やしながら、今できる全力の攻撃を続ける。

 

「化け物がっ!」

 

「攻撃の手を止めるな!」

 

教員たちも必死に攻撃を仕掛けるが一向にダメージを与えられない。だがこのまま相手が防御に徹していてくれたならもしかしたら勝機があるのかもしれない。

 

そんな期待が彼女たちの中に流れていく。

 

休みなく降り続く弾丸の雨。

 

「…………この程度ではなぁ」

 

『一夏』の乗り込む漆黒のISが怪しい光を放つ。

 

そして次の瞬間には世界を拒絶した。

 

理想郷を中心に透明な膜がドーム状に展開されて降り続く弾丸の雨を優しく受け止めた。

 

「性能テストにもならんぞ!」

 

理想郷が世界から消え去った。

 

IS学園の人間は何が起きたのか理解ができずに動きが止まってしまった。目の前にいたのに完全に姿を消してしまった。ステルスといったものではない。存在自体が消失している。

 

「…………ッ!!」

 

真っ先に相手のした行動を理解できたのは凰鈴音であった。

 

「瞬間移動!!」

 

彼女は何度か百春と模擬戦をしたことがあったので事態をすんなりと簡単に飲み込むことができた。

 

なんども見たことがある瞬間移動だから、それがどれだけ厄介なものであるのか彼女はよく理解している。

 

取り囲んでいたのが簡単に無駄になってしまった。

 

敵はどこだ。

 

周囲を索敵する。

 

「ほう、やるではないか」

 

その音に全員が反応して一斉に銃口を向けた。

 

『一夏』は瞬間移動を使ってアリーナの観客席に飛んでベンチにドッシリと座っていた。いつからそこにいたのかわからない。もしかしたら自分たちが戦っていたのは幻術で本物は最初からあの場所にいたのかもしれない。

 

「このままでも面白いがそろそろ──」

 

「全員集中砲撃、発射!」

 

言葉を言い終えるよりも早く、十機のISによる一斉砲撃が『一夏』を襲った。

 

一機のISに向ける火力ではない。周囲の被害を一切考えずにもてる火力を全力で使用している。

 

爆炎で『一夏』の姿が消える。IS学園の人間はこれで終わってくれと願うばかりだった。

 

「──全く。少しは楽しませてくれると思ったのだがな」

 

爆炎がチャクラによって吹き飛ばされる。

 

「期待外れも甚だしい………いや、コイツが強すぎるだけか」

 

爆炎を吹き飛ばし、無傷の漆黒のISがそこにはいた。そして彼の周囲もある程度の距離まで一切の傷がなかった。そのエリアを越えれば爆炎によって無残になっているのだが。

 

ユックリと『一夏』が立ち上がり、一歩また一歩と観客席を降りていく。ただ階段を降りているだけだというのに、言い表せぬ威圧感が彼女たちを攻め立てる。

 

「ココからは……儂の番だ」

 

『一夏』が腕組みを解除した。

 

また世界から消える。

 

そして

 

「………え?」

 

言葉と同時に衝撃が彼女たちに一方的な暴力の恐怖を知らせてくる。

 

一人の教師がいつのまにか吹き飛ばされ、彼女が元いた場所にはいつのまにか『一夏』がいた。

 

「流石に手加減をすれば、死なぬか。頑丈な鎧で助かったな」

 

吹き飛ばされた教師は壁にめり込み、今にも息絶え絶えだ。

 

破壊、破壊、破壊!

 

攻撃力が桁違いすぎる。

 

「怯むな、怯えるな、怯れるな」

 

漆黒のISが両手を大きく広げ、触手が不気味に動く。次の獲物を決めるように触手の先端が動き続け、やがて一人を指し示した。

 

「少しは儂を本気にさせてみろ。誉ある専用機持ちとIS学園の教員なのであろう。それともなにか、たかだか一人相手をするのに……恐怖しているのか?」

 

瞬時加速、ただでさえ通常の速度が速いのに急加速による最高速度の到達は反応させるのを許さなかった。

 

イカレタ速度だ。通常の人間ならば急加速による衝撃によって一瞬で意識が飛んでいってしまいそうになるのに、この男は平然と乗りこなしている。

 

一人の教員との距離を詰める。不幸なことにその教員の乗るISはラファール・リヴァイブ、現在の装備は遠距離を中心としており近距離戦闘に対応しづらくなっている。

 

だがそれでもパイロットの実力でカバーするしか…………できなかった。

 

そもそも機体の性能に差がありすぎた。第二世代と世代不明の超最新機体、どちらが性能が高いかなど言わずもがなである。

 

教員の首に触手が巻きつけられ、振り上げられ、叩きつけられる。何度も何度も何度も何度も、スクラップになるくらいの威力で叩きつけられていく。

 

「……あ……ああ」

 

弱々しく声が漏れる。吊るされながら、手足はダラリと力なく身体からぶら下がっている。

 

「この程度なのか」

 

触手を解いて教員を地面に落とした。

 

「次──」

 

振り返ると目の前から荷電粒子砲とセシリアのライフルから放たれた閃光が目の前まで迫っていた。

 

「となると」

 

『一夏』が両手を前にかざすと迫って来た二つの閃光はそれぞれ理想郷の掌の中に虚しく吸い込まれていった。

 

まるで渦の中に飲み込まれていく様な、穴の中に落ちて行くようだった。

 

「ほう、これは良いな」

 

手を握ったり開いたりしながら、『一夏』はフルフェイスの装甲の中で笑った。

 

「もっと、来い」

 

性能差はIS学園側が思っていた以上に酷いようだ。

 

「ちょっと厄介ね…………エネルギーは吸収される。かといって実弾はわけのわからないモノに防がれる。近接格闘を挑めば触手に阻まれる……………本当に……厄介」

 

ギリリと奥歯を噛み締めながら、鈴音は冷静に相手の実力を見極める。

 

「そんなの、物量差で押し切るのみですわ!!」

 

セシリアは周囲にBT兵器『ブルー・ティアーズ』を展開させて、『一夏』一人に向けて一斉射撃を行った。

 

「吸収できると言っても、今の様子だと掌のみ。でしたら、キャパシティを超える量のエネルギーを浴びせればいいだけですわ!!」

 

なんとも言えない脳筋すぎる思考回路だったが、今のセシリアの策はある意味有効なのかもしれない。

 

エネルギーの雨を降らせる。

 

「……つまらん」

 

『一夏』が瞬間移動で世界から消え、セシリアの背後に出現した。

 

「……え?」

 

「この程度の事も予測できないほど、弱いのか?」

 

理想郷は体を弓なりに大きくしならせながら、ダブルスレッジハンマーでセシリアを殴り地面に叩きつけた。

 

(………チョット、性能の差がありすぎるわね)

 

鈴音は今の一連の戦闘で、自分達と相手の戦力差を客観的に比較した。

 

数の上では自分達が有利なのだが、相手はその数の有利を簡単に覆してしまうほどの力を持っている。

 

「もっと………まだ性能テストは終わってないぞ!!」

 

理想郷の両方の掌から、薄くて小さなは丸鋸の形をしたエネルギーが発生して掌の近くで超高速回転を始めた。

 

「……アレは」

 

鈴音はその武装がなんなのかすぐにわかった。黒零や白式の腕に備え付けられてある『多機能式攻撃腕』、一つでさえ厄介な武装が二つもつけられてる。

 

「どれだけ厄介なのよ!」

 

理想郷が一度腕を振るえば無数の丸鋸が掌から放たれて曲線軌道を描きながらIS学園の人間に迫っていく。

 

何度も何度も腕を振るうたびに丸鋸が射出され、気づけばその数は五十を超えるほどになっていた。

 

軌道も速度もバラバラな丸鋸の攻撃はIS学園の人間の軌道を阻害し、動けなくなったところを無数の刃が傷つける。

 

「だったら、コッチモ!!」

 

鈴音は浮遊する二つの龍砲を回転させながら、周囲に向けて乱れ打つ。狙いなど定めることなく、ただ当たれば良いという感情だけで衝撃砲をうち続ける。

 

「……ほぅ」

 

空中に浮遊し、両腕を組んだ状態の『一夏』が感嘆の声を上げた。

 

丸鋸が龍砲の弾丸によって砕かれていく。数十あった丸鋸は既にその数が片手で数えられるほどになっている。

 

「流石にこの程度では……なぁ」

 

理想郷は観客席から地面に降り立ち、ユックリと余裕を感じられるくらいの歩きを始めた。

 

「その余裕が!!!」

 

地面に落ちていたセシリアが腰部につけられてある自身の切り札の一つであるミサイルのBT兵器を理想郷の側面から放った。

 

「そうか」

 

理想郷が迫り来るミサイルに手を向けると、ミサイルは空中で静かに静止した。

 

「は!?」

 

その意味不明な光景にセシリアは声を出してしまった。

 

「そら、可愛い生徒からのプレゼントだ」

 

理想郷はミサイルに向けていた手を横薙ぎに振るうと、ミサイルはその軌跡にそうように動きながら、逆側面に放たれた。

 

その先にいたのは一人の教員、彼女は交わすこともできずにミサイルの直撃を食らってしまった。

 

「………これでは、碌な性能テストになりそうもない。儂はまだ碌な武装を試していないのだぞ」

 

ゴキリゴキリと首を動かしながら音を鳴らす『一夏』、退屈と言わんばかりに腕を横に大きく広げながらあくびをしてみせた。

 

「シャルロット!いくわよ!!」

 

「うん!!」

 

鈴音とシャルロットが時間稼ぎの為に『一夏』に勝負を挑む。

 

鈴音は龍砲を両手に装着させて接近戦を挑み、シャルロットも中近距離から鈴音の援護を行う。

 

甲龍の掌から放たれる龍砲を容易く交わしながら、『一夏』は常に周囲に対して意識を向けている。

 

ソレはまるで複数の脳を並列に繋ぎ合わせているような圧倒的な情報処理能力であった。

 

真正面で鈴音と戦い、背後に来たシャルロットには触手で攻撃を行う。

 

「本当に、本当に厄介!!」

 

鈴音が撃ち込む龍砲は『一夏』がかざした手から発生するチャクラの壁によって簡単に受け止められてしまう。

 

(あの壁…………どうにかしてブチ破らないと……そしたら最大威力の龍砲を叩き込む)

 

一瞬でも隙が生まれれば……鈴音にとっての勝ち筋が生まれる。だがどうやればその隙が生まれるか……………

 

「フルバースト!!」

 

『一夏』の背後からシャルロットが持てる火器を全てつぎ込んだ一斉射撃を行う。

 

『一夏』もコレを躱さずに掌を後ろに向けてチャクラの壁で受け止める。

 

「今、この瞬間!!」

 

『一夏』が背後に気を向けた瞬間に鈴音は両腕を前に突き出した。

 

龍砲の発射口を絞って威力を強引に高める。シャルロット仕留めた甲龍の最高火力の一撃を『一夏』に叩き込む。

 

極小まで圧縮された龍砲の一撃を間近で放たれた『一夏』は理想郷の方に備え付けられた触手を全て前方に突き出し、四つの頂点を一点に集めて砲撃を受け止める。

 

「ハハッ!!良いではないか、ソレくらいの破壊力がないと何も楽しめぬからなァ!!」

 

だが鈴音の放った全力の砲撃は、触手の先端によって四つに引き裂かれ後方にあった観客席を無残に破壊した。

 

「え?」

 

「驚いている暇はないぞ!!」

 

チャクラの壁でデュノアを弾いて大きく仰け反らせ、四本の触手を鈴音の腕に絡め合わせて振り回す。

 

振り向きながらデュノアのいる方向に向けて手を振り上げると、不可視の衝撃波が波打ちながら彼女に襲いかかり重い機体ごと彼女の肉体を宙に浮かした。

 

そして触手を使って数度鈴音の体を地面に叩きつけると、触手を解いて真上に投げる。

 

そして自身も飛び上がり、鈴音の肉体をオーバーヘッドキックで蹴り飛ばす。

 

鈴音が飛ばされた先にいたのは同じく空中に飛ばされていたデュノアがいた。

 

デュノアは鈴音に巻き込まれ、二人とも壁に受け身を取ることが出来ずに激突してしまった。

 

「さぁ、次だ!!」

 

大きく手と触手を広げ、次の攻撃を待つ。完全にハイになっていると言えるだろう。

 

「クアッド・ファランクス!!」

 

「山嵐!!!!」

 

それは最早一機のISに向けて放って良い量の火薬や弾丸、ビームではなかった。

 

総数だけでいえば千を軽く越す破壊力が圧倒的な力を持った一に向けられている。

 

「火薬の光か、ここまで多いとまるで満点の星空だな…………」

 

『一夏』はチャクラの壁で全ての攻撃を受け止める。この壁の前では全ての攻撃が無意味に終わってしまうのかもしれない。

 

「ならば全てを黒く塗りつぶしたくなるではないか!!!!」

 

理想郷の体の各所に搭載されてあるスラスターから漆黒のエネルギーが溢れ出す。

 

『一夏』が身体を一回転させると、スラスターから飛び出していふエネルギーが彼に向けて飛んでいた全ての弾丸を消滅させた。

 

それどころか長大に伸びたエネルギーは周囲にいたISを薙ぎ払った。

 

理想郷の背中には溢れ出すエネルギーによって禍々しい姿の蝶の羽が発生しており、機体の異質さをより一層際立たせている。

 

「これで、終わりにしよう………………ほぅ」

 

一機のISが此方に迫って来ている。そのISのコアの反応に『一夏』は覚えがあった。

 

周りにいる奴らにトドメを指すのを止めて、空を見上げた。

 

その直後一機のISがアリーナに着地した。

 

「これは………少しは楽しめそうだな」

 

「黙れ、貴様は今ここで私が殺す」

 

かつての世界最強、織斑千冬は『一夏』の前に立ちはだかった。




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