インフィニット・ストラトス ファントム   作:OLAP

22 / 137
センター模試が終わったから、一話だけ投稿します。



大晦日の日

    今日は大晦日、今年は本当に様々なことが起きた。俺は誘拐されてわけのわからない施設で戦闘を行わされ、そしてISが襲撃をしかけてきたのでそれに乗じて脱出した。そしてその後にはゴーストタウンで死にかけ、目が覚めたら亡国機業の病室にいてスコールさんと出会い、マドカと再開した。

 

    マドカと再開したことは凄く嬉しかった。長年会えなかったから、無事に出会えたことに俺は安堵した。 けれども、マドカに対して真面に接してあげることのできない俺自身の弱さに嫌悪感を抱いた。

 

    そしてその後、ISを動かせることがわかったので、スコールさんの部隊に配属されることになった。そして束さんからの誕生日プレゼントであるNo.000のコアをリリスさんによって専用機に埋め込んで貰った。

 

    本当にこの一年色々なことが起きたとしみじみと感じる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それじゃあ一夏、今年最後の訓練を始めるわよ」

 

「はい!」

 

目の前にいるスコールさんに対して頭を下げて挨拶をする。俺もスコールさんも互いに自分の専用機を身にまとっている状態でいる。

 

「それでスコールさん、今日は何をするんですか?」

 

「そうね、今日は今までの集大成ということで私と模擬戦をしてもらうわよ」

 

    その言葉を聞いた瞬間、 俺は思わず唾を飲み込んだ。マドカの話によると、スコールさんは亡国機業に複数あるIS部隊の隊員の中でも最強らしい。そんな人と模擬戦をするなんて正直いうと緊張する。けれども緊張してはいけない、今おれにできることを最大限しないといけない。

 

「わかりました。よろしくお願いします」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

    地上から約10メートル程の高さに二人は滞空している。両者は互いにヘルメットを装備している。

 

「武装、装甲ともに異常なし」

 

    ヘルメットに内蔵されている画面に流れる情報を確認しながら、一夏は手をにぎったり開いたりしながら機体の様子を確認していく。一夏が今適度な緊張状態の中にいる。筋肉はそれ程硬直しておらず、いつでも準備万端でいる。

 

    やがて機体に異常がないことを確認し終えると、一夏はガンブレード『キアストレート』をコールする。コールするまでにかかった時間は0.5秒を切っている。そしてキアストレートを構え、試合開始の合図を待つ。

 

「一夏、今回の模擬戦で私は手加減するつもりはないから覚悟してね」

 

    一夏の耳にスコールからの声が聞こえた。そして一夏はその言葉を聞くと首をゆっくりと縦に降った。

 

『3』

 

    画面に数字が表示された。一夏はキアストレートを右手で構え、ゆっくりと息を吸う。それに対してスコールは両手をフリーにしてスラスター軽く吹かせている。

 

『2』

 

    キアストレートをより一層強く握り、一夏もスコール同様に軽くスラスターを吹かせる。

 

『1』

 

    一夏は瞬時加速の準備をし始める。一夏の狙いは開始早々の奇襲、スコールとの距離をできる限り詰めて戦うしか、射撃の技能に不安を持つ一夏にとって開始早々できる策の一つ。距離を取るのも良いが、今回は一夏ができることを知るための戦い。

 

そして

 

『START』

 

    画面に文字が表示されると同時に一夏はライダの背部にある突起上のスラスターから一気に推進剤を噴出して、瞬時加速を行いスコールへと突撃し

 

 

 

スコールに蹴り飛ばされた。

 

 

 

    一夏は瞬時加速をおこない距離を詰めようとした。それはスコールも同様だった。しかし、スコールが行ったのは唯の瞬時加速では無く二連瞬時加速、それは瞬時加速を素早く二回行いスピードをあげるというもので、使うにはそれなりの技術が必要で、今の一夏ではまず不可能だ。

 

瞬時加速を行い、距離を詰める。

 

そんな単純な動作なのに操作技術の高さと戦闘経験の有無によって二人には差ができてしまい、一夏は初手で負けてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なろぅ……」

 

    一夏は左手で腹を抑えながら、右手でキアストレートの銃口の向きをスコールから離さずに吹き飛ばされる。

 

(手加減しないとは言ってたけど、まさかこれ程……!)

 

    スコールはあるものを見て、その目を疑った。

 

ロケットランチャー、それを一夏に向けて構えているスコール。

 

(いくらなんでもロケットランチャーはないだろう)

 

    いくらISに絶対防御が搭載されていようと、衝撃を完全に打ち消せるわけではないし、装甲だってそこまで丈夫ではない。だからもし直撃でもしたら肉体にダメージをくらってしまうかもしれない。 

 

    スコールの指がゆっくりとロケットランチャーの引鉄にかかる。そしてそれを勢いよく引き、ロケットランチャーが射出される。

 

「ち!」

 

    一夏はキアストレートの引鉄に指を掛け、射出されたロケットランチャー目掛けて二度引鉄を引く。

 

    一発目、放たれたビームはロケットランチャーのみぎを通りすぎた。二発目、ロケットランチャーと真正面からぶつかりロケットランチャーが爆散する。

 

「よし……!」

 

    ロケットランチャーを撃ち落としてわずかに安堵していた一夏は突然首を横に動かした。そしてその横を爆煙を突き破ったビームが通り過ぎて行った。

 

(来る!)

 

    一夏は左前腕にシールド_____大きさは左腕が収まってしまうほど____を展開する。

 

    そして数秒後、爆煙は切り裂かれその背後からスコールがキアストレートをもって接近してきた。一夏はわずかに下降して、地面に着地して攻撃に備える。

 

「はあ!」

 

    片手でキアストレートを振るうスコール、一夏はその一撃一撃をシールドで防いでいく。

 

「どうしたの、防いでるだけじゃ勝てないわよ!」

 

「わかってますッ!」

 

スコールがブレードを大きく挙げた。一夏はその僅かな攻撃と攻撃の間の空白を見逃さなかった。折りたたんでいたランドスピナーを伸ばして地面へと接地する。そしてキュルキュルと音を立てながら回転し出す。

 

    そして背部のスラスターを利用しながらスコールにむけてシールドを前面に押し出しながら突撃する。

 

「甘いわよ、一夏」

 

    スコールが突然振り上げていたキアストレートを収縮し、突撃して来る一夏の両肩を軸にしながら鉄棒を回るように一夏の上を通り過ぎていく。

 

「なにッ!」

 

    一夏はランドスピナーを利用しながら後ろを振り向く。そして再びスコールに向けて突撃する。

 

(流石はスコールさん、強い)

 

    スコールへと接近しながら一夏は

 

(もっと!もっと強く!)

 

    キアストレートを握る手により一層力が入る。一夏はスピードを保ったまま、スコールに向けてキアストレートを振り下ろす。スコールは再びキアストレートを展開し、その刃で一撃を受け止める。スコールはキアストレートの衝撃で僅かに後方に下がる。

 

「そうよ!一夏、もっと本気を出しなさい。あの日のように、私が貴方と初めて戦ったあの日のように!」

 

(あの日?どういうことだよ、あの日は確かにスコールさんと戦ったけど今とそんなに違ったのか)

 

    スコールからの言葉に一夏は首をかしげた。それ程迄にスコールからの言葉の意味がわからなかった。一夏の技術は施設にいた時よりも向上している。そして今は本気でスコールに立ち向かっている。それなのに、施設にいた時の方が今よりも本気を出していると言っている。

 

(もっと本気を出せって言われても…………あの時は確か時間を稼ぐために必死だった。その時のことを思い出せ!)

 

    鍔迫り合いをやめ、一旦スコールから距離を取る。そして両手で剣を構える。

 

(集中しろ。目の前にいるのは仲間ではなく敵。落ち着け、心は静かな湖畔をイメージしろ)

 

ゆっくりと目をつむり息を整える。内側から何かがあふれるような感覚が第六感を通して伝わってくる。そして目を開ける。

 

「行きます……」

 

    ブレードを片手で構えて、シールドを収縮し瞬時加速をする。スコールもブレードを構えて、一夏を待ち構える。

 

    一夏はブレードを振りおろしてスコールの頭部を狙う。しかし、スコールの持つキアストレートによって防がれる。そして一夏のブレードが弾き飛ばされて空中を舞う。

 

    だが一夏はそれをあらかじめ予測していたように次の行動に移る。飛ばされたガンブレードには目もくれない。一夏は右足を軸に左脚でスコールの右手首を狙う。狙いはキアストレートを落とさせること。スコールは咄嗟に腕で蹴りを防ぐ。しかし、その衝撃でキアストレートを握っていた手が弱まり、キアストレートを落としてしまった。

 

「しまっ!」

 

    スコールは一瞬だけ落としたキアストレートに目がいってしまった。しかし、その一瞬は一夏にとって重大なチャンスだった。

 

(二回目はない、この一撃でッ!)

 

一夏は両脚を素早く振り上げて、スコールの肩に乗せる。そして膝の裏が鎖骨に当たるように飛びかかる。一夏はスコールと密着した状態のまま、体重を後ろに勢いよく傾ける。するとスコールの体制が前方へ僅かに傾く、いくら一夏とスコールの間に体重差があろうとISを装着し、尚且つ勢いをつけられたのであれば体制も崩れるだろう。一夏は両手を地面へと伸ばして倒立するような形になる。

 

「フランケン……」

 

    一夏は背部スラスターから勢いよく推進剤を撒き散らす。するとスコールの身体がスラスターの勢いに耐えられなくなったのか浮き上がった。一夏はそれ逃さず、瞬時加速を行いより一層スピードをつける。スコールの体は半円状に移動していく。

 

「シュタイナアァァァーッ!」

 

    勢いそのままにスコールの体を地面へと叩きつける。一夏はフランケンシュタイナーを決めた直後、両脚をスコールから離して距離をとった。

 

    いくらISに防御用のシールドがあっても衝撃までは完全に打ち消すことができない。一夏はその事をかつて、篠ノ之束から聞かされていた。だからこそ一夏はこの一撃を狙った。相手の体重を武器へと変化させる技を。

 

(正直こんなにうまくいくとは思わなかった。テレビで見たプロレス技をこん何もうまく再現できるなんて思わなかった)

 

    一夏はテレビでよく放送されている格闘技の番組が好きだった。プロレスを見ていた。ボクシングも見ていた。異種格闘技戦も見ていた。

 

    一夏がそれを見るようになったのは今は亡き父、数児の影響だろう。まだ一夏が小学校に上がる前、まだ三歳かそれ以前の事だ。数児は胡座をかいてテレビで格闘技の番組を見ていた。そして、よく一夏を胡座の上に座らせてテレビを見せていた。一夏はその時の父の顔が凄く楽しそうだったのを僅かながら覚えている。

 

    だから一夏は父が死んだ後も一人でそれを見ていた。

 

 

 

 

「まさかISの戦闘でフランケンシュタイナーを食らうなんて思っても見なかったわ……けれど二度目はないわよ」

 

    フランケンシュタイナーをくらったスコールはゆっくりと立ち上がった。マスクで表情はわからないがきっと怒っているのだろう。体から漏れている気配でわかる。

 

「もう……容赦はしないわよ」

 

「……は、はい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もう……無理」

 

    結論から言おう、俺はあの後スコールさんに一方的にやられた。ブレードを拾おうにもスコールさんにそれを阻まれ、最終手段として格闘戦に持ち込もうとしたが力及ばずスコールさんに倒されてしまった。

 

    今はアリーナのピットでライダの破損状況を確認している。

 

頭部……ヘルメットは左半分が砕けてしまい、被ったら相手と目が合ってしまいそうだ。ヘルメットの中にある画面も罅が入ってしまい使えない。

 

胴体……胸の部分の装甲が所々剥がれてしまっている。さらに背中のスラスターも壊れてしまった。

 

両手両脚……こちらも胴体と同じで所々装甲が壊れてしまっている。

 

    数分もしないうちに破損状況を確認し終えた。そしてライダの待機状態であるブレスレットを外す。スコールさんの話によるとこいつは修理に出すらしい。

 

「一夏、確認は終わったの?」

 

「はい、終わりました」

 

    部屋にスコールさんが入ってきたので立ち上がり、返答する。

 

「そう、それじゃあブレスレットを渡して頂戴。私から整備部に出しておくから」

 

「ありがとうございます」

 

「今日の模擬戦なかなかだったわよ。これなら来月から私の部隊で頑張れるわね。今年一年お疲れ様」

 

「ご指導頂きありがとうございました。来年もよろしくお願いします」

 

    俺が頭を下げてお礼を言うと、スコールさんは微笑みながら出て行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お兄ちゃん、訓練どうだったの?」

 

「ん?どうだったって言われても、今日は何時ものメニューと最後に模擬戦をしたよ」

 

「それで結果はどうだったの?」

 

「惨敗だよ、惨敗。けどスコールさんのエネルギーを四分の一は削ったよ」

 

「それでも凄いと思うよ。だってスコールさんはここの操縦者の中だったら一番だってはなしだよ」

 

    スコールさんとの模擬線の後、マドカと会った俺は食堂にきている。今日は大晦日という事もあって食堂ではどこもかしこも宴が行われている。そんななかで俺とマドカは二人、隅の方でひっそりと年越し蕎麦を食べている。厨房にいるシェフが海老の天ぷらをサービスしてくれたので嬉しい。

 

    亡国機業には様々な国の出身がいるので、それに合わせて様々な国の料理がメニューとして用意されている。

 

「そうか、ならもっと頑張らないとな…………それよりマドカ、友達と一緒に食べなくて良かったのか?」

 

    こう言うのもあれだが、マドカは友達が多い……いや、俺が少なかっただけだろう。なんせ小学校に行ってた時に出来た友達はアリサだけで、学校以外で言うとティファニアもか。施設に居た時は自由時間は僅かながらあった。けれども日本語が話せないやつがほとんどだったから、まともに話したのは一人か二人だけだ。

 

「大丈夫。友達にお兄ちゃんと食べる事話したら、私たちの事は気にしなくていいよって言われた」

 

「そうか、そいつはよかった」

 

    マドカはいい友達をもったな。

 

    そして、暫く黙々と蕎麦を食べているとマドカが食べている箸を止めてこちらを見てきた。

 

「……ねえ、お兄ちゃん。前から気になってたんだけどさ、そのネックレスどうしたの?」

 

    マドカは俺の胸にあるネックレスを指差して言った。俺は普段からこのネックレスをつけている。流石に訓練なんかのときには外すけど。

 

    アリサから貰ったこれはモンドグロッソにいく時に家においてきてしまったが、 コアを取りに行ったときに持ってきた。

 

「ん、これか?これは友達から誕生日プレゼントでもらったんだよ」

 

「え!お兄ちゃん友達いたの!?」

 

    マドカ、お前酷くね?お兄ちゃん泣くよ、マジで。

 

「いるよ、一人だけだけどな」

 

「へー。お兄ちゃんってさ、なんか他の人とは違うって言うかなんと言うか、浮いてる?幼稚園の時も他の子と雰囲気が違ったから誰も近寄らなくて、友達いなかったでしょ。だから小学校でもいないと思ったんだ」

 

「小3迄は確かに友達いなかったけど、小4から友達が出来た。そいつも友達がいなかったから、誘拐される迄はそいつと一緒に遊んだり、旅行に連れて行ってもらったりしたんだ」

 

「その旅行って姉さん達も?」

 

「いや、俺一人だけだ」

 

「ふーん。それでその友達がそれをくれたんだ」

 

「そう、その友達……名前はアリサって言うんだけど」

 

「え、女の子?」

 

    俺の言葉にマドカは驚いて箸を落とした。大丈夫か?

 

「え……その友達って女の子だったの」

 

    恐る恐る尋ねるマドカ。なんだ、そんなに俺に女の子の友達がいるのが驚きか。

 

「そうだ。それでこのネックレスはその子のとペアになってるんだよ」

 

「へー。そうなんだ。お兄ちゃんに友達がいてよかったよかった」

 

    マドカは落ちた箸を拾い、テーブルに置いてあるティッシュで拭くと、再び食べ始めた。

 

 

 

 

 

「ねえ、ちょっといい?」

 

「んあ?」

 

    飯を食べ終え、一段落いれていた時、誰かきら声をかけられた。その声は少女の物だった。

 

    声をかけられた方を見てみるとそこには俺が施設を脱出する時に最初に助けた橙色の髪の少女がいた。

 

「あれ?どうしたの」

 

    マドカが彼女に親しそうに話しかける。二人は友達なのか?そういえば、あのゴーストタウンで彼女を見たような、見てないような。

 

「ちょっとね」

 

    彼女はそう言うと俺の方を見てきた。

 

「その……助けてくれてありがとな」

 

    少し俯きながら喋る彼女。

 

「いいよ、気にしなくて。それに感謝するなら俺じゃなくてスコールさん達にしてくれ。俺がいなくても君は助かったはずだ。それに、俺が混乱を引き起こしたんだ。俺がいなかったらもう少しスムーズに進んでいたよ」

 

    少し苦笑いしながら答える。彼女が俺に感謝するのはおかしい。あの脱出に関しては俺は明らかに邪魔だったはずだ。救出しているスコールさんに攻撃をしかけたり、脱出したのは無意味だったし。

 

 

でも

 

 

    俺が答えた後、彼女は小さな声ではあるが力強く呟き、そして

 

「あたしを助けたのはあなた。だからあたしはあなたに感謝してる」

 

    強い思いが込められた言葉が俺のなかを通って行った。

 

「……ふ」

 

    思わず少し笑ってしまった。決して彼女の言葉がおかしかったからではない。なんといえばいいのだろうか、嬉しさ……多分そう表現するのが一番適している感情が俺の中を占めていった。他人に感謝されるのなんて滅多にあることじゃない。だから誰かに感謝されたのが嬉しくて笑ったんだと思う。

 

「ありがとう、そういってもらえると嬉しいよ」

 

「うん。そう言えばあなたの名前は?マドカのお兄ちゃんだってことはわかるんだけど、名前がわからないんだ」

 

「一夏。君は?」

 

「オータム」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……なかなかね」

 

    他に誰もいない部屋でスコールは椅子に座り、パソコンに表示されているデータを眺めながらつぶやいた。

 

    今、スコールが確認しているのは一夏に関するデータ。画面の中には様々なグラフが表示されている。グラフに殆ど変化がない物もあれば、ドンドン上昇して行っているものもある。

 

「それをみてどう思う?」

 

    突如、スコールとは別の人間の声が部屋に広がった。扉が開いたというわけでも、最初からスコール以外の人間がいたというわけではなかった。だが新たに女性の声がした。

 

「そうね……まだよくわからないわ」

 

    新たな声に何も反応することなく、平然と返答するスコール。

 

    すると、スコールが覗いているパソコンの画面に一人のデフォルメされた女性が現れる。彼女の名前はリリス、亡国機業の開発部の最高責任者である。

 

    リリスはその手にもっていたフリップを投げると、画面に表示される。

 

「それは?」

 

「一夏のIS適性」

 

    リリスから渡されたそれを眺める。

 

        IS適性    S

 

「確か……一夏ってつい最近迄はAマイナスかBプラスぐらいだったわよね、それがなんでこんなに早く上がっているのかしら」

 

「正確に言うとNo.000のコアを手に入れてから急激に上がったな。もともとサイバーエルフと会話できるのだ、このぐらいの数値が出ても可笑しくはないだろう」

 

「これが彼の限界?」

 

    スコールが尋ねるとリリスは少しだけ鼻で笑った後 

 

「これが限界?そんなわけないだろ、スコール。彼はまだ卵から孵った……いや、もしかしたらまだ孵ってすらいないかもしれない。もっと伸びるよ、一夏は」

 

    リリスは答えた。

 

「それよりもだ。身体面の方ではどうなのだスコール。セルゲイに一夏の体作りのことは任せてあるんだろ?」

 

「セルゲイの話だと、一夏自身柔道や剣道をしていたから同年代とくらべたら身体ができているらしいわ。これから数年間掛けてじっくりと鍛えていくそうね」

 

「そうか、それはよかった」

 

    リリスは頷きながら話を聞き終えるとどこかへ消え去り、スコールはキーボードを使いドンドン文字を打ち込み、部屋には静寂が訪れた。

 




この話のサブタイトルのボツ案「炸裂!フランケンシュタイナー」

この作品のあらすじって変えた方がいいですかね?



  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。