インフィニット・ストラトス ファントム   作:OLAP

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いつの間にかお気に入りが1000をこえていましたね。
これからも頑張っていきます。


亡国機業総帥

目を覚ました。

 

隣を見た。

 

ティファが裸で寝ていた。

 

ああ……………そっかあ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「元気だしな、一夏。良かったじゃないの、これで大人の仲間入りだ」

 

シルヴィアさん、それは傷つく。

 

俺は今、亡国機業内で営まれているカフェで朝食後の珈琲をシルヴィアさんと一緒に飲んでいる。

 

あの後は直ぐにシャワーを浴びて、副隊長用の新品の制服に着替えて、グッスリといい顔で寝ているティファを叩き起こして、汚れたベッドを綺麗にするために二日目にしてクリーニングに出して、そして食欲はなかったけど朝食をとって、今に至る。

 

「苦っ」

 

副隊長になったから、つい気取ってブラック珈琲を飲んではみたがまだ苦くて好きではないな。

 

「ほれ、調子にのって。舌はまだお子ちゃまだねえ。砂糖入れな」

 

ニヤニヤと笑いながらテーブルの端に置かれてある砂糖瓶を俺の前に置いてくるシルヴィアさん。

 

少しムカつく。

 

砂糖はありがたく使わせてもらいます。

 

砂糖をいれて、スプーンで珈琲を混ぜる。一口口に含む。

 

うん、丁度良い。

 

珈琲を飲みながら、シルヴィアさんの方を見ると、俺はあるものを見つけた。

 

「あれ?シルヴィアさんって結婚は……………ああ、あれは左手の薬指か」

 

シルヴィアさんの右手の親指に指輪が嵌められてあった。シンプルな作りのそれは女性のシルヴィアさんが付けるよりか、男性が付けた方が似合いそうなデザインであった。

 

今まで見たことは無かったが、傷の入り方などを確認すると前々から身につけていたのだろうと想像がつく。俺が気づかなかっただけのようだ。

 

「ん、こいつかい?」

 

俺の目の前に右手をかざして確認させる。俺は無言で頷くとシルヴィアさんは自分の胸の前に手を持ってきて大事そうに左手で包んだ。

 

「これはな、お守りなんだよ。あたしがここに入ってから最初に配属された部隊の隊長から貰ったものなんだよ。元はその人が付けてたんだけどね。カッコいい人だったよ、惚れてたね」

 

指輪を触りながら話すシルヴィアさん。指輪の触り方から大切な人だったのだろうと想像できる。

 

「その人は今何処にいるんですか?」

 

「死んだよ、あたしのミスでね」

 

「んっ」

 

吐こうとした息が喉でつかえた。

 

至らぬ事を聞いてしまった。

 

「すいません、嫌な気にさせてしまいましたね」

 

「気にするな、事実だからな。あたしがその部隊で副隊長になってからの初めての任務でさ、失敗してしまってな。それで隊長が死んじまったんだよ。その時隊長があたしにこの指輪を渡したんだよ。これからの為にって言ってさ」

 

「それじゃあ、それは大切なものなんですね」

 

「そゆこと。ほら、珈琲飲んだんなら仕事に移るよ。あんた、スコールに呼びだされてるんだろ」

 

珈琲を飲み干して、席から立ち上がって会計を済ませる。そして店から出る。

 

「ええ、そうですよ。なんでも総帥に合わせるとか言ってましたね」

 

「ああ、あの人か」

 

シルヴィアさんが露骨に嫌な顔をした。

 

「どんな人なんですか?」

 

「あたしも何度かしか会ったことないから。言いにくいな、悪い人ではないな。寧ろ良い人だとは思う。ただ、底が見えないというか、接しやすいんだけど、接し辛い。そんな感じの人だよ」

 

シルヴィアさんにここまで言わせるとは、恐ろしい人だな、俺たちのトップは。

 

「それじゃあ、失礼します」

 

「おう、頑張れよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後スコールさんと合流して、ある部屋に向かう事となった。その部屋に向かうには副隊長以上の権限がないと不可能らしく、俺も未だその資格を正式に持っていない為、スコールさんがいないといく事ができない。

 

通路には俺たちの二人以外は誰もいない。

 

「それで、昨日はティファとお楽しみみたいだったじゃない」

 

「言わないで下さい」

 

「あら、私は嬉しいのよ。あんなに小さかった子供が何時の間にかこんなに大きく、私よりも大きくなって」

 

何時の間にか俺よりも背丈が低くなっていたスコールさんを見ながら、俺は溜息をはいた。

 

「今度、私も相手してもらおうかしら」

 

スコールさんがこちらに妖艶な笑みを浮かべてきた。

 

これは捕食者の目だ。俺にはわかる。昨日のティファがそれだったからだ。

 

「ご冗談を」

 

スコールさんと会話していくうちにある部屋の前についた。ここが総帥室のようだ。

 

「私はここまでだから、後は貴方に任せるわ」

 

「わかりました」

 

スコールさんは踵を返して、元の道を辿って行った。

 

残されたのは俺一人、息を整える。身嗜みを確認する。問題は無し。良し。

 

ノックを二度。

 

「入りなさい」

 

扉の内側から声が聞こえた。男の老人の声だった。だが不思議な事に老いている雰囲気は感じさせないものであった。

 

「失礼します」

 

部屋の扉を開けて、部屋の中に入る。そしてゆっくりと扉を閉める。

 

部屋の中には一人の老人がいた。顔つきから判断するとアジア系の顔、いや寧ろ日本人のソレだ。白髪ではあるが禿げてはおらず、どことなく若々しいオーラを放っている。服装は日本の羽織り。

 

これが総帥か、予想とは違うな。

 

「はじめまして、コードネームゼロ」

 

総帥は俺に礼をしてきたので、俺も慌てて礼で返す。

 

「君の活躍は儂の耳にも入っておる。篠ノ之束くんと繋がりもあるらしいな。リリスくんが会いたがっていたよ」

 

「ええ、こちらにくる前から交流がありましたので」

 

「そうか、それは大切にしなさい。ソファーに座りなさい、君には話す事があるのでな」

 

総帥が部屋に置かれてあるソファーに座るように手で招く。俺は。そちらまで歩いて行き、総帥と机を挟んで座る。

 

総帥は机に置かれた急須から二つの湯呑にお茶を注いで一つを俺に渡した。

 

「あ、ありがとうございます」

 

俺がそう言うと、総帥はニコリと笑った。なんだか、感覚がずらされる。

 

「では自己紹介をしようか、儂の名前は轡木十蔵。この亡国機業の総帥を務めておる」

 

轡木?確かIS学園の学園長がそんな苗字だった気がする。

 

「そして…………今は織斑一夏と言っておこう」

 

なんだ、今の言い方は。

 

「織斑一夏、君の祖父だ」

 

……………………………………

 

「…………はあ!?」

 




原作突入まで十話以内を予定。
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