インフィニット・ストラトス ファントム   作:OLAP

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唐突ですが時間が飛びます。
夏休みはカット、時間があれば番外部ということで。そうでもしないと終わる気配がない。


学園祭準備編

 

「ふっ!」

 

一学期が終わり、夏休みも終わり、二学期が始まり後一月で学園祭が始まろうとしていた日。

 

IS学園の武道場で、世界で唯一の男性IS操縦者となっている織斑百春はIS学園の生徒会長でロシアの国家代表である更識楯無に特訓をつけて貰っている。

 

この特訓は学年別のタッグマッチが終わった次の日から始まったものだ。

 

ゼロに一方的な負け方をして自分の弱さを再度認識した百春が、学園最強の人物である楯無を頼り、楯無もゼロの存在の危険さを感じていた。

 

両者の考えが合致して、特訓をつけてもらえるようになった。

 

ほぼ毎日、ISの基本的な動きから格闘技まで幅広く戦闘の技術を、倒すための技術を教えてもらっている。

 

百春は楯無に鍛えてもらう前は同級生の代表候補生たちに鍛えてもらっていたのだが、正直なことを言うと彼女たちは楯無に比べて弱い。

 

代表候補生と国家代表の間には明確な実力差が存在していた。これが代表候補生の中でも国家代表に最も近いものならば実力の差はあまりないのだろう。しかし、彼女たちは代表候補生でも成り立てなのだ、国家代表との実力差は大きい。

 

楯無に鍛えられてからの数ヶ月間でメキメキと実力をあげて行った。

 

特に臨海学校が終わってからの一ヶ月間は百春もより一層真剣に特訓に励んでいた。その様子は楯無から見ても異常だった。

 

何故かと楯無が問いかけたら、「負けたくない人がいる。皆を守るために僕は強くなる」と答えた。

 

その負けたくない人が誰なのかは楯無でも想像がついた。

 

楯無がクラス代表戦の裏で闘ったゼロというIS操縦者に負けたくないのだろう。

 

報告によれば彼らは臨海学校でゼロという人物に一方的にやられている。

 

「はい、そこまで」

 

楯無の槍のように鋭い指先が百春の喉に突きつけられる。

 

百春は突きつけられる指を見ながら、肩で息をしながら両手を挙げて降参の意を示した。

 

「だいぶ強くなったわね、代表候補生の中でも上位にいるくらいかしら」

 

楯無から見ても百春の成長速度は速かった。つい数ヶ月前まではISに一度も乗ったことのない初心者だったにもかかわらず、今は代表候補生の中でも上位に食い込めるほどの実力を手に入れた。

 

無論、それによって彼と仲良くしている代表候補生達よりも強くなってしまった。

 

「お世辞は辞めてください。いくら強くなっても、どれだけ頭の中でシミュレーションしてもあいつに勝つことができない」

 

百春は悔しそうに粒やいた。

 

その悔しさは自分以上のものなのだと楯無は思った。

 

「そんなに落ち込まない、今日の特訓はお終いよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

織斑百春との特訓を終えた楯無は生徒会室へと戻る途中である人物と出会った。

 

服装から一年生であることがわかり、美しい藍色の髪が特徴的な少女。

 

彼女の名前は誘宵アリサ、IS学園の生徒の中で確実に三本の指に入る実力者だ。

 

楯無は彼女と話をしたのは入学式の一度きりだが、もう少し話して見たいと思っていた。

 

彼女には聞きたいことがあるのだが、何故か毎回彼女と楯無はすれ違いになってしまう。

 

「久しぶりね、誘宵さん」

 

警戒させないように気軽に明るく話しかけた。

 

「お久しぶりです。確か入学式以来でしたね」

 

アリサも表面上は友好的な態度を取ってあるが、その本心は楯無でも知ることはできない。

 

「幾つか聞きたいことがあるの、時間はあるかしら」

 

「……少しだけなら、大丈夫ですよ」

 

僅かだが楯無を見るアリサの視線が鋭くなった。

 

「貴方は、タッグマッチの時と臨海学校で遭遇した黒いISについて何か知っているかしら?」

 

それは楯無がアリサに対して何度も尋ねようとしたことだ。

 

楯無はあのタッグマッチでの黒いISの動きを何度か映像で確認し直したが、アリサと戦う時だけ他の人間と戦うのと比べて僅かに手を抜いているようだった。

 

それどころか一度も攻撃をしていなかった。

 

「ええ、知っていますよ」

 

楯無はその言葉に驚いた。知っていても知らないと言われると思っていたのだが、まさか正直に知っていると言われるとは思ってもいなかった。

 

「更識会長は最初に作り上げらたコアが何かご存知ですか?」

 

「え?」

 

質問していたのに、まさか質問されるとは思ってなかった。

 

「それは、確か最初のIS──白騎士に使われたNo.001のコアでしょ?」

 

それを聞いてニヒルにアリサは笑った。

 

「残念ながら、違います。正しくはNo.000のコア、それこそが真の始まりのコアです」

 

「No.000?」

 

そんな番号のコア、楯無は聞いたことがなかった。

 

何年間もISという存在に関わってきた楯無だが、No.000のコアなんて存在があるなんて知らなかった。

 

そもそもそのようなコアの存在なんて世界中のISを研究する人間全員が知らないだろう。

 

生み出した束を除いて。

 

しかしならば気になることがある。なぜ彼女がそのようなコアについて知っているのかと。

 

楯無はそのことについて尋ねようとしたが、寸前で口を止めた。

 

違う。

 

彼女……いや、彼女たちならその存在を知っていてもおかしくはない。

 

誘宵グループは白騎士事件が起こるよりも前に篠ノ之束と接触していた。それならば、篠ノ之束からその存在について知らされていてもおかしくはない。

 

「そのコアの存在は織斑先生は知っているのかしら?」

 

「知らないでしょう。あのコアについて知っているのは、私や父さんを除けば、束さんやあのコアの持ち主、そして持ち主の所属する組織の人だけでしょうね」

 

サラリとアリサは言ってのけた。

 

「待って。今までの話の流れから察すると、No.000のコアはあの黒いISに使われているの?」

 

唐突に始まった質問と思ったが、先ほどのアリサの言葉を聞いて楯無は全てを悟った。

 

あの黒いISにはNo.000のコアが使用されている。

 

ISの性能はコアに依存する部分が存在する。もしあれが最初に手がけられたモノなのだとしたら、あの狂気的な強さも理由がつく。

 

「ええ、そうですよ。あのコアは私のと同じ始まりの五つのコアの一つ。最強のISコア。あのパイロットはコアとの適合性が余程高いみたいですね」

 

「何故篠ノ之博士はそんな大切なコアを……彼にあげたのかしら」

 

「知りませんよ、多分あのコアに認められたからじゃないですか?あのコアたちは自分が認めた人間しか乗せませんから。逆を言えば認めた人ならば誰でも乗せますよ、それが男性でもね」

 

「貴方はあの乗り手が男性であると知ってるの?」

 

少しだけボロが出た。

 

「ええ、コアに教えてもらいましたから」

 

「コアに?どういうことかしら?」

 

「そのままの意味ですよ。それ以外の意味はない……それでは私はこれで」

 

アリサは踵を返して何処かに立ち去った。楯無はそれを止めようとしたが、アリサの背から放たれる力のようなものに気圧されてできなかった。

 

「いい情報が手に入った。これで正体に近づける」

 

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