「束さん、黒零の調子はどうですか?」
亡国機業本部、開発局のとある整備室、ここには今ISに関して世界最高の技術力を持つ篠ノ之束がいる。
ゼロを通じて束はちょくちょく亡国機業に遊びにくる機会が増えてきた。遊びに来てはマドカにちょっかいをしかけ、同じような才能を持つリリスと会話に花を咲かせたりする。
「うーん、殆ど回復してるよ。でも今回は凄い操縦したね、だから結構な量の調整が必要だったよ」
「まあ、相手がNo.001となると此方本気を出さずにいられないさ。珍しくムキになってしまったよ…………それよりも貴女の所にいるクロエ・クロニクル、彼女達には気をつけた方が良い」
「わかってるよ」
「…………そうですか」
そして時は過ぎて十一月、あれから学園に対して大きな動きは亡国機業内部ではなかった。IS学園内部では大きな動きがあったのかもしれないが、ソレは知らぬ話である。
「オータム、昇進おめでとう」
「ありがとう。アンタも総帥直属の部下になったじゃない」
昼、ゼロは珍しくオータムと二人だけで食事をとっていた。
二人ともついさっき急に昇進や転属の指令が出された。
オータムはモノクローム・アバターの副隊長に昇進。
ゼロは総帥轡木十蔵の直属の部隊、とは言ってもゼロ一人だけなのだが、に配属されることになった。
「それにしても、急な転属になったな。アタシは副隊長に、アンタは総帥直属の部隊に」
「仕方がないさ、総帥の考えたことなのだからな」
「その総帥に今日初めてあったが、普通の爺さんっぽかったな」
「まあな、普段はIS学園で用務員をしてるみたいだしな」
「普通の用務員が実は裏組織のボスだなんて、フィクションすぎるな……それよりもだ、どうしてアタシが副隊長に選ばれたんだ?」
オータムにはどうして自分が副隊長に選ばれたのかよく理解していなかった。実力ではティファニアの方が高く、彼女は覚醒コアの専用機も持っている。
それなのに何故自分なのか、オータムは不思議でならなかった。
「俺が推薦したからだ。実力は申し分ないし、何よりも…………彼奴らを纏められるのはお前くらいしかいないだろ?」
「だよなあ」
二人は揃ってテーブルに両肘をついて頭を抱えた。
モノクローム・アバターは亡国機業のIS部隊の中でも最強の戦力の誇る部隊であるが、隊員は中々にクセのある人間が多すぎる。その中でもオータムは唯一と言っていいほどマトモなのだ。
「スコールさんはああ見えてお茶目爆発させる時があるし、ティファも平時はふざける時がある。マドカもマドカで難はある。新しく入った奴らは先輩をからかいすぎる……………スコールさんを除いた面々で、お前以外にふさわしい奴がいるか?」
「いないな……消去法かあ。お前がいてくれれば楽なんだけど、転属だもんな〜」
「無理だな。総帥の勅命を受ける事が多くなるからな」
ゼロの転属先は総帥の直属の部隊に配属されることになる。とは言っても今回急遽作り上げられた部隊であり、隊員はゼロ一人しかいない。
「アタシにできるかな」
「できるさ、俺はお前を信じてる。俺だって最初はそうだったさ。環境は人を変えると言う、だから頑張れ」
「……まあ、アンタがそう言うならそう言うことなんだろう」
オータムはゼロに乗せられることにした。もはやどうにでもなれだ。
「そうだ、昇進祝いに何か欲しいモノはあるか?」
ゼロも副隊長に昇進する際にスコールやシルヴィアから様々なモノをもらっていた。だからこそ彼は自身もオータムに何かプレゼントする義務があると考えた。
「欲しいモノ……ねえ、特にはないな。あまりそう言うのは気にしなくていい、欲しいモノなら自分で買えるし」
「まあ、そう言うな。俺もシルヴィアさんから貰ったんだからさ」
「…………そうか、なら、そうだな、チョーカーが欲しい……かな。最近雑誌見てたら良いデザインの奴があったんだ。だから、それをプレゼントしてくれないか?アンタの手で、直接」
「チョーカーだな、わかった…………そろそろ時間だ。これからお互いに別の部隊になる、頑張ろうぜ」
「応」
拳を付き合わせて、二人はそれぞれの職場に向かっていった。
そしてゼロは総帥より新たな指令が下された。
「本日より用務員としてIS学園で働かせて頂きます、