とあるクソゲーに取り憑かれた者、その後に何を手にする 作:蛇ヤミー
短いですけどね。
流石にもう続きは書けないですけど……。
エインヴルス王国首都・ニーネスヒル。
シャングリラ・フロンティア内、旧大陸では後半にある街。
その街のはずれにある家。
そこに数人のプレイヤーが集っていた。
私は集まった人をざっと見渡す。
…………二十数人といったところ、か。
一通り人数を確認した後、みんなを集めたものとして声を発する。
「みんな、よく集まってくれた」
「ああ」「当たり前だ」「あんな張り紙を見たらね」
思い思いに話し出すプレイヤー。
でも実際に口を開いたのは円卓を囲むように座ってる数人。
彼らは他のメンバーを率いるリーダー的存在だ。
ある程度人数が増えた段階で、早めにまとめる人を作っておいてよかった。
落ち着いて話が出来そう。
「言うまでもないと思うけど、ここにいるのは私のやろうとしていることを理解して私に付いて来てくれた人、張り紙を見て何をしようとしているのか察した人、存在こそ知らなかったけれどここにきて執念を燃やした人、みんな一様に
『…………………………』
「これから私たちがやろうとしていることは、私自身がずっと続けてきたことであり……今まで一度も成功していない、とても困難で無謀なこと……それはみんな分かっていると思う。……でも……それでも、私は成し遂げたいと思っている……! フェアカスの生まれ変わり……アーフィリアの打倒を!!」
『応ッ!!』
「もちろん、アーフィリア姫があのカスと似ても似つかない、王家の鏡と言ってもおかしくない性格なのは既に知っている! しかしあの顔は私たちにとって忘れることのできない顔! みんなだって何度も思ったはず! 報酬の三分間……三分間では足りないと! 攻撃しても反応しないままだと物足りないと! 私は思った! 私は自分のうっ憤を晴らすために何度もフェアクソを周回し、何度も三分間を経験してきた! そのたび満たされないまま終わってしまうからまた新しくフェアクソを起動する……その理由がシャンフロを始めて、アーフィリア姫を見た瞬間に分かったの! 私が欲しかったのは反応だと! あの顔を歪ませたいのだと!! その為なら私は修羅に落ちる! みんなもそうでしょ!?」
『おおおおおおおっ!!』
私の演説にみんなもヒートアップしていく。
「私がシャンフロを始めたのも、ここまでレベルを上げてきたのも、全てこの為!! 何度も失敗してはいるけれど、諦めるわけにはいかない!!」
私がそういうと、一番最初に私の行動を察し、追従してくれたシャラハール命さんが大きく頷く。
「その通りだ、ジャスミン! 俺は嬢ちゃんの行動を見てすぐに分かった! こいつは同志だと! 俺と同じ想いを宿してるやつだと!」
「うん、シャラハール命さん。あなたは名前で全てを物語ってる」
シャラハールちゃんは私も大好きだったから、あなたの気持ちはよくわかる。
「ぼかぁ、ジャスミンさんを尊敬してる。……なにせぼかぁ結局フェアクソをクリアできなかった……報酬の三分間にたどり着けなかった軟弱ものですけどね……だからこそ、フェアカスに対する恨みつらみはそのまま残ってるんですよぉ!!」
「カライヤ・カリーさん……
後ろの中にも苦しげにうつむく人が何人かいた。
多分その人たちも、クリアに至らなかったのだろう。
彼らの気持ちに同情していると、円卓の一人が強く私を呼ぶ。
「“ジャァスミィン”……!!」
!?
「オレは、あの三分間で満足したつもりだったんだ……けどよぉ、あの張り紙を見て……オメーと出会って、あの“ムカつき”が止まんなくなっちまったんだ……! オメーどう落とし前つける気だ……!!」
「わかってるよ“
「!? ふっ、やっぱオメーはドエレーー“
「……うん……!!」
道王さんは、私がこの復讐劇に巻き込んだようなもの……必ず。フェアカスを……!!
そして円卓にいる最後の一人もゆっくり口を開いた。
「私は皆と違って、そこまでの志は持ってないです。正直フェアクソというのも噂でしか聞いたことのないゲームと言ってもいいでしょう。ですが、あなた達の強い執念は、私が持っている何かと通じるものを感じました。……おそらく大変な戦いになるのはわかってます。だからこそ、この私を……使いつぶしの傭兵として利用してください……! 本陣に到達するための布石として! その執念をぶつける踏み台になれるなら、本望です!」
「
321さんは張り紙を見て、来た人の中でも異質だった。
とにかく大暴れ出来るならと、傭兵として自分を売り込みに来たの。
最初は悩んだけど、どこか私とは違う、けれど似ている魂みたいなのを感じて、受け入れることにした。
他のみんなも、思うところがあってここにいる……。
私は円卓に集ったメンバー、そして後ろに控えている多くのメンバーの目を見て、宣言する。
「作戦開始は3日後! アーフィリアが騎士を連れて他の町に移動する日!! 各自それまで準備を怠らないように!!」
「応ッ!!」
そして各々準備のために一時的に借りたこの家から去っていく。
私は一度ログアウトして精神を統一しようと思う。
シャンフロのレベル上げで、苦戦していたころ、当時見たテレビで、あるゲーマーが言っていた「ライオットブラッドを飲めばプロゲーマーにも善戦できる」……この言葉を信じて飲んでみたところ、とても集中できた。
「今回もしっかり仕入れておかないと……いつものバックドラフト……いや、それより……確か、リボルブランタンだったっけ……」
少し前に見たチャンネル
「確か短期決戦用と聞いた……今回はそっちも買っておくべきね…………見てなさいフェアカス……! 絶対すり潰す!!」
そのままログアウト。
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テンションが上がりすぎてたせいなのか、私のことを忘れたままログアウトしちゃった
「……………………はぁ……
私より圧倒的に遅く始めたのに、気が付けば私と同じレベルまで上げてたし。
「とりあえず決着までは一緒についてくつもりだけど……もうちょっとのんびり楽しみたかったんだけどなぁ」
そんなことを思いつつ、
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緊急募集
【妖精姫に苦しめられた者よ、今こそ手を取り合い復讐の時である】
最初の言葉を理解できる者、そしてそれを実行に移したいと願う者、すべからず私のもとに集まるべし。
私たちは苦しめられた。
――モンスターに。
――フィールドに。
――モブに。
――システムに。
しかし私たちを最も苦しめたのはそのどれでもない。
妖精姫そのものである!
数多の仲間を奪われ、大事な存在を孤島に置き去りにし、全ての悪を邪神に押し付けたあのカスを、許すべからず。
奴はこの世界で生まれ変わっている。
生まれ変わりに罪はない。
だがそんなものは関係ない!!
――奴に百八十の時を超える鉄槌を!!
同じ想いを抱える同志たちよ、もしもその気があるなら、サーティード外れを拠点としている『ジャスミン』へ声がけを。
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「………………本気が過ぎるよぉ……」
下はあとがきおまけ
【旅狼】
サンラク:……なあ、今日たまたまサーティードで見たんだけどさ
鉛筆騎士王:ん? あーもしかしてあの張り紙?
鉛筆騎士王:うーん、確かに私と関係ない所でなんか怪しげな集会が開かれてるって話は耳に入ってはいるんだよね
鉛筆騎士王:で、なんかその張り紙と関係あるって話も聞いたけど……サンラク君なんか知ってるの?
サンラク:あー……いや……
オイカッツォ:それ、こっちも確認した
オイカッツォ:……サンラク、やっぱあれって
サンラク:……だろうな……
鉛筆騎士王:えー!? カッツォ君もなんか知ってる感じ!?
鉛筆騎士王:情報を秘匿するなー吐けー!
サンラク:……大したことじゃねーよ
オイカッツォ:……サンラク
サンラク:わかってるって、さすがに参加はしねぇよ
オイカッツォ:まあ……気持ちは痛いほどわかるけど
鉛筆騎士王:吐けー!
後かるく人物紹介
ジャスミン――前話からの主人公、茉莉花。名前そのまま。積もり積もって恨みの戦騎とかした。頭がいてぇ。
シャラハール命――まさしく最後まで推しに愛をささげた人。
カライヤ・カリー――名前は思い付きだったけど、その後に続くセリフがつらいで、からいとも読めちゃうからあわててルビふった。
セブンリーフ――前話から登場、茉莉花の友達の奈々ちゃん。実はずっと一緒に行動してるけど、さすがに気持ちまではついてけてない。
5/14 諸事情により、首都の名前変更しました。サーティードなわけないですよね。