復讐者が豊饒の女主人でこき使われるのは間違っているだろう! 作:ああああああ
「ここの店・・・おかしくね?」
「ぼさっとしてないで働きな!!!」
物思いにふけっていると、
周りで働いてるのは、戦車の片割れ、何かよくわからないがフレイヤにすごく似てる少女。極めつけは・・・
「で?何してんの?『疾風』」
「・・・私にもなにがなんだかわかりません。ただ・・・」
「ただ?」
『疾風』からの返答よりも先に、木製のジョッキが俺の後頭部をかすめていった。後ろも振り向くと、そこには怒気を振りまきこちらをにらみつけている、鬼がいた。
「とっとと、働かんか!」
「は、はい!」
反射的に返事をしてしまう。何というか・・・苦手だ。
「彼女は怒らせないほうが賢明です・・・」
「ああ、知ってる・・・」
あの後、俺は西地区の路地裏に倒れていたらしい。それを、アーニャが見つけここまで担ぎ込んだらしい。・・・かなり不可解な話だ。俺は、バベルで意識を失っていたはず。どう考えても、このあたりで倒れていたのはおかしい。つまり、フレイヤは俺を見逃したわけだ・・・。あれだけ、暴走したのにもかかわらず恩恵を与えたまま、放り出すにとどめている。何より不可解なのは・・・フレイヤファミリアを襲った襲撃者が、不明になっていることだ。かなり、反発する者もいた筈だ。なんで俺を見逃したのか、あの女神なりの慈悲なのか・・・はたまた、これもあの女神の描いた未来か・・・。
出回っている情報は、建物は半壊したものの負傷したのは数人。襲撃者は、オッタルによって迎撃済みという情報だけだと小巨人が言っていた。そして、治療費を吹っ掛けられて今現在に至る。
まだ気持ちの整理なんてつかない。姉さんがいないことも、敵を未だに取れていないことも、筋違いだと分かっていてもフレイヤに対する怒りも燻ぶっている。正直これから何をしたらいいのかもよく分からないでいる。・・・姉を手に掛けたやつに関しても、情報が少なすぎる。
「あんまり休憩が長いと叱られるニャー。オミャーも早く戻るニャッ!」
考え事にふけっていると、うるさい声が聞こえてきた。
「・・・アーニャ・フローメル。俺とお前はほとんど初対面で接点なんかなかったはずだろ?なんせ、俺が正式に入団した時にはお前は、小巨人とともにファミリアを半脱退していたしな。だからこそ聞きたい。なんで助けた?」
「んー。わっかんないニャー」
「は?」
「特に理由なんてないニャッ!オミャーは覚えてないかもしれないけど、あの時泣いてたニャ。だから、なんとなくほっておけなかったのニャ」
「・・・」
「それに、オミャーみたいな子供をほっておくなんてできなかったのニャ」
「・・・俺は子供じゃない」
「そういっているうちはまだまだ子供ニャ。ミャーは、ノアよりも大人だからちゃんと敬うんだニャー」
「ハッ、注文間違えて怒られてるアホ猫を敬えってほうが無理」
「あ、アホとはなんニャッ!失礼だニャッ!!!」
言い返そうとした瞬間、耳をつんざく罵声が飛んできた。
「馬鹿ども!!!さっさと働きな!!!何時までサボってるんだい!!!」
「「は、はい(ニャー)」」
・・・いろいろ考えなくちゃいけないことはあるけど、取りあえず・・・このドワーフが怖いです。
「この仕事いつまで続くんだ・・・」
「そりゃ、あんたが私に治療費を返し終わらなきゃ永劫だね」
ぼやきに反応したのは小巨人だった。
「・・・ぼりすぎだろ。疾風も似たような感じで丸め込んだのか?」
「丸め込んだとは失礼だね!こっちは善意で助けてやってるのさ」
「まあ、確かに疾風や俺のような面倒な人間を匿ってくれるのは助かる。やり方は強引だけど」
「・・・あんたはリューとは違って物分かりがいいけど、その辛気臭い顔はいつまでも消えないままだね。同じエルフでもこうも違うのかい?」
「もとからこんな顔なんだよ。ほっといてくれ」
俺は、
「アーニャ。あのバカの世話は、任せていいかい?」
「まっかせてくれにゃ!擦れた少年の心をミャーが癒してあげるのニャッ!」
「・・・不安だが、頼んだよ」
次回はアーニャによる不良少年のカウンセリング