復讐者が豊饒の女主人でこき使われるのは間違っているだろう!   作:ああああああ

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第4話

「で?頼みってのは何だい?やめさせてくれってわけじゃないだろうね!?」

 

「いや、ここで働くのは変わらないが、できれば定期的にダンジョンに行かせてほしい」

 

「店に出ないでダンジョンに潜る日が欲しいと」

 

「ああ、そうだ。結局のところ、俺がやるべきことは変わらない。敵を討つために、強くなる。それだけのことだ」

 

ミアは、少し笑って言い放った。

 

「・・・ま、きっちり働くんならそれでもいいさ。・・・ましな顔になったみたいだしね」

 

「すまないな」

 

「ああ、あと私のことは母親と呼びな!ここにいるやつは私の所有物!娘も息子も誰にも渡しはしないさ」

 

「・・・りょうーかい。ミア母さん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「飲み会?」

 

「そうニャッ!ミア母ちゃんもいないッ!店も今日は休みニャッ。やることは一つしかないニャ!」

 

「・・・怒られるような気がするけど・・・まあいいか」

 

 

 

 

そう思って参加したのは失敗だった。めちゃくちゃ頭痛い。アーニャのやつ無理やり酒飲ませやがって・・・。目を覚ますと死屍累々だった。食堂で全員雑魚寝をしていた。酒臭い。後妙に甘い匂いが・・・。

 

「―――この香りって眠りの香?ってことは、暗殺者かな?そういえば疾風がいないな。・・・外か」

 

アーニャに着ていた上着をかぶせてやり、俺は外に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

静謐な夜が更けてきたころ、目の前で争っているルノアとリューを見ながら黒猫は笑う。

 

「おーおー、納金どもは単純でいいニャ~。騒ぎが起きても、騒動に慣れきった住人どもは介入してこない!ギルドが来る頃には、疾風は死んでるニャッ!邪魔者はいない!ここからはミャーの独壇場ニャ」

 

「それは、どうかな?」

 

「誰!って!?美少年にゃ!」

 

黒猫が振り向いた先には、刀をぶら下げこちらを見下ろす少年が立っていた。

 

「―――そうだな、かの有名な『黒猫』に聞かれたのだから答えるのはやぶさかではないけど・・・これから、やられる奴に名乗る必要性は感じないな」

 

「行ってくれるにゃッ!フェレス・クルス!」

 

一瞬、性癖に負けかけた黒猫がだが、流石に持ちこたえノアを見据え、瞬時に魔法を使った。

 

自分と同じ姿の実態の無い幻影体を生み出す幻影魔法。それは、暗殺者にとっては相性のいい魔法であり、波の冒険者相手にはかなりの脅威になりえる魔法だった。

 

・・・普通の冒険者ならば。

 

「ま、相性が悪かったな」

 

一瞬の出来事だった。気が付いた時には、クロエはけたたましい音とともに空中に投げ出され、そのままの勢いで向こう側の建物の壁に衝突した。

 

ギョッとしたのは、クロエだけではない。リューもルノアも驚きに目を見開かせて屋根の上を見上げた。そこには、月の光をバックにゆっくりと刀身を鞘に収めていくノアの姿があった。

 

カチンッと、鍔の鳴る音―――少年の冷たい瞳は、己が吹き飛ばした暗殺者に向いていた。

 

「加減もしたし、狙ったのは武器だ。死んでいないだろう。とっとと、出て来いよ。黒猫」

 

「・・・どうなってるのよ。抜いた刀身どころか、いつ抜いたのかさえ見えなかったのだけど」

 

クロエは腕が痛むのか、右腕を左腕で押さえながら瓦礫となった建物の壁から姿を現した。

 

 

「やり過ぎでは?店主にどやされますよ・・・ノア」

 

「「え」」

 

「ノアって・・・え、それにその刀・・・」

 

「そういえば、かの美神のファミリアに最速でレベル5になったオラリオきっての剣士がいるって話が・・・」

 

「お、おミャー・・・まさか、『剣帝』ニャ!??」

 

「懐かしい呼ばれ方だな。『禍犬(まがいぬ)』の方が有名だと思ってたぞ。ああ、あと素が出てるぞ、『黒猫』」

 

(か、勝てるわけがないのニャ!相手はレベル5!!。それも、レベル6目前とまで言われていたやつにゃ)

 

「リューたちの戦いを大人しく見てるっていうなら、殺すのはよしておくけど」

 

「ハハハハ、それはできない相談ニャ。こっちも、プライドがあるニャ!」

 

「へぇー、ならせいぜい吠えて見せろ!『黒猫』!!!!」

 

 

 

 

 

適当に、黒猫の攻撃をいなしながら疾風の方を見る。毒を受けたのか、動きがかなり鈍い。疾風とは一度だけ、共闘したことがあるが動きにもっと鋭さと華麗さがあった。あのままだと、やられかねないんじゃ・・・

 

「ッ・・・っとあっぶね!」

 

ギリギリで、ナイフを躱して刀ではじく。ここを殺人現場にして、ミアに殺されるのは勘弁なので、最低限の攻撃を急所を外して繰り出すだけにとどめ、防御も躱していなしてはじくだけにとどめている。

 

「こっっの!ニャーを舐めすぎニャ!!!」

 

「ハッ、一撃でも当ててから言ったらどうかな?お姉ーさん?」

 

「ウニャァァァァァー!」

 

黒猫をからかうもとい、挑発していると詠唱が聞こえてきた。それも一度聞いたことがある詠唱だ。

 

「今は遠き森の空。無窮の夜天に鏤む無限の星々 愚かな我が声に応じ、今一度星火の加護を―――」

 

「ちょッ、待てよ!?疾風!こんなところで・・・って、あぶな!」

 

「っよけるんじゃないニャー」

 

「ちょっと大人しくしてろ!!!バカ猫」

 

「バカとはなんニャー」

 

激情する猫をいなし、再度声をかけようとするが、遅かった。

 

「汝を見捨てし者に光の慈悲を 来れ、さすらう風、流浪の旅人。空を渡り 荒野を駆け、物事よりも疾く走れ。星屑の光を宿し敵を討て」

 

詠唱が完成していた。

 

『ルミノス・ウィンド!!!』

 

周囲に展開させた風をまとわせた光球が無数に放たれた。

 

 

 

 

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