世界は戦争が多い異世界へと転移したようです   作:スターリニウム

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第8話 ヒルデガルド包囲戦 序曲

2035年11月24日

 

リスチーネハムンが陥落しておよそ一週間が経った。

 

辺りには、ロシア兵や、戦車、装甲車両が駐在していた。

 

そんな中、リスチーネハムンの郊外では、大規模な工事が行われている。

 

この場所は、元々エクリクシス軍の訓練施設だったが、その広さに持て余しぎみだったロシア軍が、空軍基地を建てる計画が持ち上がったためである。

 

ちなみにこの工事には、降伏したリスチーネハムンの守備隊を徴用しており、ロシア軍は指導しているのみだ。

 

リスチーネハムン中心部はというと、街灯にはロシア国旗が掲げられており、戦いで勝ったことを祝っていた。

 

だが、リスチーネハムンの住民は、ある不安を抱いていた。

 

もしかすると、ロシア兵は、皇帝の無礼な外交の報復に、自分達は処罰されるのではないかという事が、住民の間でささやかれていた。

 

だが実際は、処罰されたのは守備隊だけで、住民は何も処罰されなかった。

 

そんな中、高官達は、首都ヒルデガルドを攻略するために、攻勢作戦を考案する。

 

その作戦は、まず、ヒルデガルドに空挺軍を降下させ、陸軍が進撃できるように、橋を確保することだ。

 

何故なら、ヒルデガルドの周囲は複数の河川が入り混じっているため、橋を確保しなければ、陸軍が市街地に突入することが出来ないためである。

 

全ての橋を確保することができたら、陸軍が、ヒルデガルドを囲むように包囲陣をつくり、そこに突撃する部隊を市街地に送り込み、陥落させるという素早い展開が必要の作戦だ。

 

だがこの作戦には、エクリクシス大皇国を滅亡する以外の目的がある。

 

それは、新兵器の実験という目的だ。

 

実はここ最近、ロシアは、アメリカが新型レールガンを配備した情報を聞きつけたため、負けじと、戦車に付けられるレールガン砲を開発したのだ。

 

このレールガンは、まだ実戦配備はされていないが、この作戦の戦果次第で、実戦配備するか否かを決めるそうだ。

 

そんな中、上陸部隊総司令官の、ニキータ・ネクルチェンコはある場所に注目する。

 

その場所は、リスチーネハムンの西に10キロほどの地点にある、森林地帯だ。

 

この森林地帯は、どうやら『エルフ』という種族が確認されている。

 

エルフの種族にこの国の事を聞けば、得する情報があるかもしれない。

 

そう思った彼は、翌日、森林地帯を調査すべく、一部の装甲車両や戦車を率いて、西へと向かった。

 

この部隊は、いつゲリラに襲われていいように、BMP-T ターミネーターも参加している。

 

西へと向かっていると、ネクルチェンコは、奇妙なものを見つける。

 

「なんだこれは?」

 

奇妙な石を手にしてみると、何やら赤く光り輝いている。

 

「まあいい、後で調べるか。」

 

調査隊が森林地帯へと向かっておよそ10分、ついに森林地帯の奥に突入した。

 

「これはすごいな。」

 

この森林地帯は、地球に比べて、巨大樹が多い為、隠れるにはうってつけの場所だ。

 

すると、彼の目に、木の上で待機している人間らしきものを見つける。

 

「まさか、エルフなのか?」

 

そう思って、挨拶しようとする。

 

「やあ、こんにちは。」

 

だが次の瞬間、エルフから放たれた火の矢が、ネクルチェンコの乗る装甲車に当たる。

 

「くそっ!敵対視してやがる!」

 

そう思った彼は、無線を取りだして、焦りながら言い放った。

 

「エルフからの攻撃だ!各自戦闘に備えろ!」

 

そう言うと、BMP-Tの砲塔が動き始めた。

 

BMP-Tは、あのエルフに照準を向けると、30mm機関砲が火を噴く。

エルフは、撃ってすぐに倒れ、そのまま木から落下した。

 

それに反応して、他のエルフ達が現れ、今度は、魔法攻撃を始めた。

 

その魔法は、装甲車や戦車に当たると爆発した。

 

「司令!このままでも大丈夫でしょうか?」

 

「落ち着け、あいつらが使っている魔法は、所詮、榴弾みたいなものだ。」

 

実際に、装甲に当たった瞬間爆発はしているが、貫通しておらず、ダメージを与えていないのだ。

 

だがいつまでもこの状況の中にいるわけににもいかないので、BMP-TやT-14アルマータの攻撃が再開する。

 

BMP-Tから放たれるサーモバリック弾のミサイルやT-14の砲撃が、エルフ達を蹴散らす。

 

だがいっこうに収まる気配がないので、調査隊とその護衛は、リスチーネハムンへと一時的に撤退した。

 

ーリスチーネハムン 前線基地ー

 

前線基地へと撤退した部隊は、予想にもしなかった戦闘に疲れていた。

 

「ネクルチェンコ司令、先の調査はどうでしたでしょうか?」

 

調査隊に含まれていない兵士が質問する。

 

「ああ、とんでもないことになったよ。」

 

そう疲れながら言った。

 

「調査して、いい情報を手にできるかと思ったら、奇襲攻撃に遭ってな、こんなこと予想もしなかったよ。」

 

「そうですか。ですがいい知らせがあります。」

 

「何だね?」

 

「空軍基地があと少しで完成です。訪ねてみませんか?」

 

そう言われたので、訪ねてみると言い、車に乗った。

 

出発して5分くらいで建物が見えてきた。

 

空軍基地前に到着すると、格納庫や滑走路は完成しており、もはや完成に近かった。

 

「もはや完成に見えるじゃないか。何が終わっていないんだね?」

 

「地下の新兵器実験場がまだ未完成です。」

 

「へえ、新兵器実験場か。」

 

ここで彼は、どんな実験をするのかを聞いてみる。

 

「どういう実験をするのだね?」

 

「資料によれば、レーザー砲や、偵察機能付きの昆虫などです。」

 

「なるほど。で、いつ完成するんだ?」

 

「恐らく3日後ぐらいかと。」

 

「わかった。」

 

だがネクルチェンコは、首都に敵の全兵力が集結しないうちに早く完成して欲しい一心だった。

 

帰ろうとすると、建設で働いている旧リスチーネハムン守備隊からクレームを言われた。

 

「おい、お前がこの建設の主導者だな?」

 

「早くここから解放してよ!」

 

「この建設が終わったら絶対にお前を殺してやるからな!」

 

護衛している兵士が警告射撃をすると、ゆっくりと自分が働く場所に戻った。

 

「さっきの連中はなんだったかね?」

 

「あれは旧守備隊のリーダー達です。あの連中はちゃんと監視しないと逃げ出すかもしれませんから、危険人物に指定してます。」

 

そう会話しながら前線基地へと帰っていった。

 

前線基地に帰ってみると、いつもの装甲車両がごった返す雰囲気だった。

 

辺りはすっかりお酒を飲む兵士や、タバコをふかす兵士で多くなっている。

 

「司令、一緒にお酒飲みません?」

 

「いや、結構だ。」

 

何人かの兵士に誘われたが、断った。

 

テントに戻ると、ある高官から話しかけられた。

 

「司令官、空軍基地はどうなっていましたか?」

 

「ああ、ほとんど完成してた。ただ帰ろうとした時に労働者にクレーム言われたけどな。」

 

「いつ頃完成しますか?」

 

「確か.......3日後くらいだったな。」

 

「そうですか。」

 

会話はそれで終わりだった。

 

ー3日後ー

 

3日経ったこの日は、いつもより騒がしかった。

 

何故なら、リスチーネハムン郊外にある空軍基地が完成したからである。

 

空軍基地前には、広大な施設を一目見ようと、リスチーネハムンの住民が押し寄せていた。

 

そして、空軍基地に初飛来する飛行機が近づいてきた。

 

初飛来したのはAn-225ムリーヤだった。

 

その巨大さに、住民は開いた口が塞がらなかった。

 

着陸して数分が経つと、前部のハッチが開き、そこから数台の装甲車両が出てきた。

 

これを見た住民は、戦うべき国を間違えたと、改めて思った。

 

そのころネクルチェンコはというと、空軍基地の完成式典に参加していた。

 

ネクルチェンコは、空軍基地内の色々な施設を訪問した。

 

それを見てネクルチェンコは、作戦に期待を抱いたそうな。

 


 

ー首都ヒルデガルド 王室ー

 

「皇帝閣下、首都に在住する男子全員の徴兵が完了しました。」

 

この時の王室は、いつもより空気が悪かった。

 

相次ぐ主要都市の陥落と兵力不足に、軍部も、そして皇帝も頭を悩ませていた。

 

「そうか、ならば徴兵した分を首都の防衛に当てろ。」

 

「了解しました。」

 

そう部下が言うと、軍部に伝えようと去っていった。

 

すると、王室のドアが突然開いた。

 

「なんだ!入室するときはノックしろ!」

 

入ってきたのは、王室親衛隊指導者の、ライムンドだ。

 

「皇帝閣下!大変です!ロシア軍が首都に向かって進軍しています!」

 

「何ィィィ!!!!」

 

皇帝は予想にもしなかった進軍の早さに驚愕した。

 

「すぐに皇国突撃隊を配備しろ!」

 

「はっ!」

 

そう伝えると、急いで退室した。

 

ついに、ヒルデガルド包囲戦が始まったのだった。

 




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次回はいよいよ本編です。
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