世界は戦争が多い異世界へと転移したようです   作:スターリニウム

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第9話 ヒルデガルド包囲戦 市街戦

ーリスチーネハムン郊外の空軍基地にてー

 

空軍基地が完成してからおよそ2日経ったこの日は、戦闘機や爆撃機、それに戦闘ヘリや輸送機等が、空軍基地を埋め尽くしていた。

 

何故なら、翌日に冬季攻勢作戦が決行するため、いつ出撃命令が下されてもいいようにである。

 

空軍基地には、ロシア空挺軍の連隊が待機していた。

 

ロシア空挺軍には、輸送機からパラシュート降下できるよう設計された、空挺戦車も出撃する。

 

同じ頃、陸軍はというと、主力のT-14やBMP-Tなどが大多数を占めていた。もちろん一部のT -14には、試製のレールガン搭載型も入っている。

 

だが、その中に、コアリツィヤ-SV 152mm自走榴弾砲も混じっていた。

 

これらは、包囲した際に、火力支援を行うときに使用される。

 

辺りは、輸送機や戦闘機が離陸する風景や、出発する装甲車両など、厳めしい雰囲気だった。

 

上陸軍総司令のネクルチェンコは、立場上、リスチーネハムンの通信所で待機していた。

 

そして、およそ5分後、輸送機がヒルデガルド郊外の上空に差し掛かると、IL-76の後部ハッチが開いた。

 

そして、空挺部隊が降下し始めた瞬間が、作戦開始の合図となった。

 

それに続き、空挺戦車も投下され、上空は、白色の落下傘で溢れていた。

 


 

ー首都 ヒルデガルド郊外の防衛陣地ー

 

兵力不足に悩まされていたエクリクシス軍だったが、首都在住の男子全員を徴兵したため、少しの兵力は賄った。

 

ここは、首都郊外にあるクーブルンク川の防衛陣地だ。

 

ここには、ありったけに集めた皇国突撃隊や、重装備をした長槍兵、なったばかりの魔術師が待機していた。

 

「今回、我々に課せられた任務は、クーブルンク川が敵の手に落ちないよう、ここを死守することだ。皆、準備はいいか。」

 

「「「了解!」」」

 

彼らは威勢の良い返事をしてはいるが、本心は突破されると誰も分かっていた。

 

分かっていないのは、長官だけなのだ。

 

「まったく、俺ら国民を使ってまでも死守しろってのかよ、もう降伏すれば早い話なのによ。」

 

「だな。」

 

ある皇国突撃隊の兵士が言う

 

そして、配置につくと、いつでも攻撃ができるように待機していた。

 

すると突然、一人の兵士が頭を飛ばされる。

 

「敵襲!!」

 

辺りは混乱し始め、混乱している内に、空挺戦車が防衛陣地に接近する。

 

一度止まると、光る巨大な何かが防衛陣地に向かって飛んでくるのが見えた。

 

着弾すると、勢いよく爆発し、長槍兵を吹き飛ばした。

 

これを見た彼らは、すぐさま逃亡する者や、必死に戦い続ける者もいた。

 

だが、30分後、辺りは着弾痕や、死体であふれかえっていたのだった。

 

このようなケースの戦闘が、いたるところで発生した。

 

そして最後の防衛陣地が崩壊すると、もはや無防備な状態になった。

 

ここで、陸軍が動き始める。

 

コアリツィヤ自走砲率いる自走砲大隊は、一気にヒルデガルド周囲を円のように囲み、最終的に完全に包囲した。

 

『こちら自走砲大隊、ヒルデガルド周囲を完全に包囲した。これより、火力支援に移る。』

 

この合図で、ヒルデガルド市街戦が開始した。

 


 

ー首都ヒルデガルド 中心街ー

 

そのころ、ヒルデガルドでは、皇国突撃隊や、民兵、重装備の兵士に、魔術師がヒルデガルドを防衛していた。

 

だが、これだけの人数を集めたところで、ロシア軍には敵わない。

 

ヒルデガルドを防衛する部隊の人数は、合計して約9万人だ。

 

しかし、ロシア軍はそれを上回る、およそ30万人のロシア兵が市街地に突入するのだ。

 

おまけに兵士の士気は最低レベルまで下がっており、もはや進撃を食い止めることは不可能だった。

 

そんな危機的状況で、きらびやかな装備をした兵士達がいた。

 

この兵士達は、王室親衛隊のエリート大隊で、中には1つの小隊を、1人で全員倒したという逸話がある者もいた。

 

そのため、装備する武器は、戦果を重視したものが多く、並の兵士は戦果を越えることができないくらいだ。

 

その中の1人、 フェネンダールは、王室親衛隊の中では希少な女性エリート兵士だ。

 

「フェネンダール、調子はどうかね?」

 

彼は、ディトイェンス大隊長だ。

 

「はい大隊長、調子は相変わらずです。」

 

「そうか、期待しているぞ。」

 

「はい、皇国のためならどんなことでも尽くします。」

 

そう言うと、大隊長は違う兵士へと向かった。

 

「お前はよくそんなことが言えるよな。」

 

彼は、同じ大隊に所属する、シュヴァリエだ。

 

「言葉には気を付けろ、シュヴァリエ。」

 

「分かったよ。」

 

そう話していると、大隊長が前に出てきた。

 

「諸君!君たちは皇国にとっての最後の希望となっている!我々に与えられた任務は、首都ヒルデガルドを、敵の手に落ちないよう死守することだ!なんとしてでも、敵に首都を占領されないよう、決死の覚悟を持って挑め!」

 

「「「了解!!」」」

 

大隊長が任務を説明し終えると、エリート大隊は、複数の分隊に分裂し、首都の各地に散らばり始めた。

 

彼女が所属する王室親衛隊は、元々は、皇帝や要人を護衛するための部隊だったのだが、首都防衛の兵力不足を解消するために、護衛から首都防衛へと任務が変わったのだ。

 

フェネンダールは、自ら指揮をする分隊を保有しており、これを構成するのは、シュヴァリエの他に、新入りのフォルジェや、落ち着きがあるイーサクなど7名だ。

 

彼女の分隊の任務は、市街地に流れるガリシア川に架かる、カタヤイネン橋を守ることだった。

 

この橋は、首都へと撤退する兵士達の通路なので、もし占領されれば、撤退のルートが阻まれるためである。

 

「ここが俺らが担当する場所か。」

 

シュヴァリエが呟く。

 

「そのようだ。」

 

そこには、魔術師達や、皇国突撃隊が待機していた。

 

恐らく彼らは、否応なしにかき集められたのだろうと思った。

 

すると、橋の向こう側から、必死になってこちらに向かっている人達が見えた。

 

よく見てみると、その人達は魔術師達で、必死に何かを言っている。

 

「逃げて!早く逃げないと、あの化物に殺される!」

 

そう警告していると、遠くから音が鳴った瞬間、無数の光る細い棒が見えてきた。

 

その光る棒は、魔術師達の身体を貫き、数秒もしない内に動かなくなった。

 

すると、その化物(Mi-28 攻撃ヘリコプター)が見えてきた。

 

その化物は、橋の前に差し掛かると、今度は無数の光る槍が出てきた。

 

光る槍は地面に着くと、爆発し、橋が崩壊した。

 

「おい、嘘だろ.......」

 

シュヴァリエが戦意喪失の状態になる。

 

「全員逃げるぞ!ここにいてはやられるだけだ!」

 

フェネンダール達は、一旦裏路地に逃げようとした。

 

だが、その化物の速度は早く、数秒も経つと、追い越して彼らの前に現れた。

 

すると、彼らの前で光る細い棒を撃ち始めた。

 

このあと、光る細い棒は、彼らの鎧を貫き、身体が粉々になるまで撃たれ続け、その後死亡した。

 

そのころ、王室では、度重なる敗北の報告が続いていた。

 

その影響で、皇帝は、前までの威勢が弱まり、気を失っていた。

 

それは、ロシア軍の占領部隊が、王城まであと100m地点の時だった。

 


 

同じ頃、ロシア軍は、意気高揚としていた

 

異世界の国々に、ロシアという名前が知れ渡るからだ。

 

王城の防壁は、自走砲大隊の猛砲撃で完全に崩壊しており、誰でも容易に入れた。

 

そして、作戦開始からおよそ2日、王城にロシアの占領部隊が突入した。

 

占領部隊はその後、皇帝とその家族を殺害し、王城の塔に、ロシア国旗を掲げた。

 

それはまるで、ライヒスタークの赤旗*1が蘇ったようだった。

 

西暦2035年11月27日 エクリクシス大皇国は、ロシア連邦に対して無条件降伏した。

 

こうして、エクリクシス軍の勇敢な戦士達は、降伏していったのだった。

*1
1945年にドイツの国会議事堂で、ソ連兵がソ連国旗を掲げている写真




これでエクリクシス戦は完結です。

次は戦後処理に入ります。

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