世界は戦争が多い異世界へと転移したようです 作:スターリニウム
ーリスチーネハムン郊外の空軍基地にてー
空軍基地が完成してからおよそ2日経ったこの日は、戦闘機や爆撃機、それに戦闘ヘリや輸送機等が、空軍基地を埋め尽くしていた。
何故なら、翌日に冬季攻勢作戦が決行するため、いつ出撃命令が下されてもいいようにである。
空軍基地には、ロシア空挺軍の連隊が待機していた。
ロシア空挺軍には、輸送機からパラシュート降下できるよう設計された、空挺戦車も出撃する。
同じ頃、陸軍はというと、主力のT-14やBMP-Tなどが大多数を占めていた。もちろん一部のT -14には、試製のレールガン搭載型も入っている。
だが、その中に、コアリツィヤ-SV 152mm自走榴弾砲も混じっていた。
これらは、包囲した際に、火力支援を行うときに使用される。
辺りは、輸送機や戦闘機が離陸する風景や、出発する装甲車両など、厳めしい雰囲気だった。
上陸軍総司令のネクルチェンコは、立場上、リスチーネハムンの通信所で待機していた。
そして、およそ5分後、輸送機がヒルデガルド郊外の上空に差し掛かると、IL-76の後部ハッチが開いた。
そして、空挺部隊が降下し始めた瞬間が、作戦開始の合図となった。
それに続き、空挺戦車も投下され、上空は、白色の落下傘で溢れていた。
ー首都 ヒルデガルド郊外の防衛陣地ー
兵力不足に悩まされていたエクリクシス軍だったが、首都在住の男子全員を徴兵したため、少しの兵力は賄った。
ここは、首都郊外にあるクーブルンク川の防衛陣地だ。
ここには、ありったけに集めた皇国突撃隊や、重装備をした長槍兵、なったばかりの魔術師が待機していた。
「今回、我々に課せられた任務は、クーブルンク川が敵の手に落ちないよう、ここを死守することだ。皆、準備はいいか。」
「「「了解!」」」
彼らは威勢の良い返事をしてはいるが、本心は突破されると誰も分かっていた。
分かっていないのは、長官だけなのだ。
「まったく、俺ら国民を使ってまでも死守しろってのかよ、もう降伏すれば早い話なのによ。」
「だな。」
ある皇国突撃隊の兵士が言う
そして、配置につくと、いつでも攻撃ができるように待機していた。
すると突然、一人の兵士が頭を飛ばされる。
「敵襲!!」
辺りは混乱し始め、混乱している内に、空挺戦車が防衛陣地に接近する。
一度止まると、光る巨大な何かが防衛陣地に向かって飛んでくるのが見えた。
着弾すると、勢いよく爆発し、長槍兵を吹き飛ばした。
これを見た彼らは、すぐさま逃亡する者や、必死に戦い続ける者もいた。
だが、30分後、辺りは着弾痕や、死体であふれかえっていたのだった。
このようなケースの戦闘が、いたるところで発生した。
そして最後の防衛陣地が崩壊すると、もはや無防備な状態になった。
ここで、陸軍が動き始める。
コアリツィヤ自走砲率いる自走砲大隊は、一気にヒルデガルド周囲を円のように囲み、最終的に完全に包囲した。
『こちら自走砲大隊、ヒルデガルド周囲を完全に包囲した。これより、火力支援に移る。』
この合図で、ヒルデガルド市街戦が開始した。
ー首都ヒルデガルド 中心街ー
そのころ、ヒルデガルドでは、皇国突撃隊や、民兵、重装備の兵士に、魔術師がヒルデガルドを防衛していた。
だが、これだけの人数を集めたところで、ロシア軍には敵わない。
ヒルデガルドを防衛する部隊の人数は、合計して約9万人だ。
しかし、ロシア軍はそれを上回る、およそ30万人のロシア兵が市街地に突入するのだ。
おまけに兵士の士気は最低レベルまで下がっており、もはや進撃を食い止めることは不可能だった。
そんな危機的状況で、きらびやかな装備をした兵士達がいた。
この兵士達は、王室親衛隊のエリート大隊で、中には1つの小隊を、1人で全員倒したという逸話がある者もいた。
そのため、装備する武器は、戦果を重視したものが多く、並の兵士は戦果を越えることができないくらいだ。
その中の1人、 フェネンダールは、王室親衛隊の中では希少な女性エリート兵士だ。
「フェネンダール、調子はどうかね?」
彼は、ディトイェンス大隊長だ。
「はい大隊長、調子は相変わらずです。」
「そうか、期待しているぞ。」
「はい、皇国のためならどんなことでも尽くします。」
そう言うと、大隊長は違う兵士へと向かった。
「お前はよくそんなことが言えるよな。」
彼は、同じ大隊に所属する、シュヴァリエだ。
「言葉には気を付けろ、シュヴァリエ。」
「分かったよ。」
そう話していると、大隊長が前に出てきた。
「諸君!君たちは皇国にとっての最後の希望となっている!我々に与えられた任務は、首都ヒルデガルドを、敵の手に落ちないよう死守することだ!なんとしてでも、敵に首都を占領されないよう、決死の覚悟を持って挑め!」
「「「了解!!」」」
大隊長が任務を説明し終えると、エリート大隊は、複数の分隊に分裂し、首都の各地に散らばり始めた。
彼女が所属する王室親衛隊は、元々は、皇帝や要人を護衛するための部隊だったのだが、首都防衛の兵力不足を解消するために、護衛から首都防衛へと任務が変わったのだ。
フェネンダールは、自ら指揮をする分隊を保有しており、これを構成するのは、シュヴァリエの他に、新入りのフォルジェや、落ち着きがあるイーサクなど7名だ。
彼女の分隊の任務は、市街地に流れるガリシア川に架かる、カタヤイネン橋を守ることだった。
この橋は、首都へと撤退する兵士達の通路なので、もし占領されれば、撤退のルートが阻まれるためである。
「ここが俺らが担当する場所か。」
シュヴァリエが呟く。
「そのようだ。」
そこには、魔術師達や、皇国突撃隊が待機していた。
恐らく彼らは、否応なしにかき集められたのだろうと思った。
すると、橋の向こう側から、必死になってこちらに向かっている人達が見えた。
よく見てみると、その人達は魔術師達で、必死に何かを言っている。
「逃げて!早く逃げないと、あの化物に殺される!」
そう警告していると、遠くから音が鳴った瞬間、無数の光る細い棒が見えてきた。
その光る棒は、魔術師達の身体を貫き、数秒もしない内に動かなくなった。
すると、その
その化物は、橋の前に差し掛かると、今度は無数の光る槍が出てきた。
光る槍は地面に着くと、爆発し、橋が崩壊した。
「おい、嘘だろ.......」
シュヴァリエが戦意喪失の状態になる。
「全員逃げるぞ!ここにいてはやられるだけだ!」
フェネンダール達は、一旦裏路地に逃げようとした。
だが、その化物の速度は早く、数秒も経つと、追い越して彼らの前に現れた。
すると、彼らの前で光る細い棒を撃ち始めた。
このあと、光る細い棒は、彼らの鎧を貫き、身体が粉々になるまで撃たれ続け、その後死亡した。
そのころ、王室では、度重なる敗北の報告が続いていた。
その影響で、皇帝は、前までの威勢が弱まり、気を失っていた。
それは、ロシア軍の占領部隊が、王城まであと100m地点の時だった。
同じ頃、ロシア軍は、意気高揚としていた
異世界の国々に、ロシアという名前が知れ渡るからだ。
王城の防壁は、自走砲大隊の猛砲撃で完全に崩壊しており、誰でも容易に入れた。
そして、作戦開始からおよそ2日、王城にロシアの占領部隊が突入した。
占領部隊はその後、皇帝とその家族を殺害し、王城の塔に、ロシア国旗を掲げた。
それはまるで、ライヒスタークの赤旗*1が蘇ったようだった。
西暦2035年11月27日 エクリクシス大皇国は、ロシア連邦に対して無条件降伏した。
こうして、エクリクシス軍の勇敢な戦士達は、降伏していったのだった。
これでエクリクシス戦は完結です。
次は戦後処理に入ります。