世界は戦争が多い異世界へと転移したようです 作:スターリニウム
2036年1月8日午後5時前
ーオーラウト王国 ノーブレーにてー
ホルムストール教国がソヌヴァ連邦に対して、何の予告もなしに侵攻してからおよそ5日程が経過した。
空は夕日によって赤く染まり、きれいな空には少しの煙がのぼる。
クラスター爆弾による爪痕が残っているノーブレーでは、NATO軍がホルムストール軍の死体を回収し、疫病を防ぐため焼却処分をしたり、重傷を負ったホルムストール軍の兵士や魔術師を手当てしていた。
そんなノーブレーの主要の道では、カーソンともう一人の兵士が一緒に周辺を探索していた。
「うわぁ...そこら中死体の山ですごい臭いな。」
カーソンは、燃え盛る死体の山の前を歩きながら見てそう呟く。
「仕方ないさ、あんな死体を道端に放置してたら、それを見た敵軍のやつらはすぐさま報告しだすからその隠蔽だよ。」
「だとしてもな、他にも処理する方法があったろう。土に埋めるとか、この世界にいるモンスターに食わせるとかな。」
「どっちも処理するのには効率が悪いから、言ったら上層部には却下されるな。」
「はぁ...臭くて鼻が詰まりそうだよまったく。」
そう言いながら歩いていると、 複数の戦車がカーソンの横を通ったのと同時に、ベージュ色のアメリカ軍の戦車の中に1台色が変わった戦車を見かける。
「なあ、さっき戦車の列の中にグレー色の戦車が通ったような気がするが。」
「グレー色の戦車?ああ、オーラウトが開発していた戦車が完成したのか。」
「オーラウトの戦車?」
カーソンは始めて知るオーラウト王国の戦車に首をかしげる。
「ああ、軍がオーラウトと協力して、異世界のどこの国にも負けない戦車を作るってなってな。性能は冷戦時代の戦車とそう変わらないってさ。」
「へぇ...」
カーソンは桁違いに発展しているなと思うのだった。
「おっと、早くしないと次の作戦の説明が広場で開かれる、急ぐぞ。」
「だな。」
そう言って二人は、作戦の説明がある広場へと走って向かった。
広場へと到着すると、他の兵士達が整列していたので、カーソンもその中に紛れる。
すると、前から高官らしき人物が列の前に現れた。
「様々な国から派遣された兵士達よ、ついにホルムストールの奴らを叩きのめす作戦は、いよいよ終わりに近づいてきた。我々NATO軍が次に攻撃する場所は、ノーブレーから北に10キロ離れている、城塞都市ダレスチツェの攻略だ。この城塞都市は、二重の壁がダレスチェを囲っており、どの壁にもバリスタが複数配備されている。だが、この城塞都市の攻略には、陸海空軍の協力が常に不可欠である。諸君には、ホルムストール本土侵攻の妨げであるダレスチツェ周辺を制圧、占領し、次なる作戦の支障にならないようにせよ。」
「イエッサー!!」
高官の話が終わると、兵士達が一斉に返事をし、並んだ列は崩れ、広場の近くにある装甲車や戦車へと搭乗し始める。
「さてと、この戦争の最後を派手に飾らないとな。」
「だな、もうすぐこの戦争を派手に終わらさないと、刺激的なことが無くなっちまうよ。」
そう言っていると、戦車が先頭の陸軍機甲師団は、ダレスチツェへと向かい出発する。
1月8日午後6時
ーホルムストール教国 城塞都市ダレスチツェ 第一防壁ー
日は地平線へと沈み、防壁にある松明以外は、暗闇に包まれている。
これからアメリカ軍によって鉄の雨が降るダレスチツェの防壁では、複数のバリスタを特殊兵がいつでも発射できるように準備しており、壁では複数の監視兵が交代で任務を行っていた。
監視兵の一人フェサラーは、視力が並の人間に比べかなり良いことから、若くして監視兵に抜擢された。
彼は、防壁の門前の監視を任されており、いつ敵が襲ってもいいように常に周りを警戒していた。
「よおフェサラー、こんな高いところで監視して怖くないか?」
壁の防衛に慣れている特殊兵の一人が、入ったばかりのフェサラーに話しかける。
「いえ、まったく。むしろ教皇様のために任務をやっていると思うと、何も怖くないです。」
「そうか、それはよかったな。」
特殊兵がそう言いながら、周辺を見始める。
すると、特殊兵は何かを見つけたのか、フェサラーに声をかける。
「フェサラー!あそこの道路から、なんか光が見えないか?」
そう言われたので、フェサラーはその方向に注目すると、遠くから光が点在していた。
フェサラーはこれを見た瞬間、敵軍と判断し、すぐさま魔通信で通達する。
「門前にて、敵軍と思われる光を発見した。これより敵軍に対する攻撃を開始する。」
そう魔通信に言うと、特殊兵達は光の方向へと向け、巨大な矢を装填した。
「全員発射!!」
そう特殊兵の一人が言うと、バリスタから複数の巨大な矢が風を切りながら放たれた。
そして着弾し、敵軍は一目散に逃げるのかと思いきや、さらに門へと距離を詰めてきた。
「あれおかしいぞ、なんで消えないんだ?」
特殊兵達は、謎に思い始める。
すると、その光から一際大きな光の槍がこちらへと向かってきた。
「敵の攻撃だ!退避し──」
特殊兵がそう言い切る前に着弾し、バリスタと人間の肉片が辺りに飛び散る。
「お......おい!いったいどうなってんだ!」
フェサラーはあまりにも予想外な展開に、頭が混乱していた。
そう混乱しているうちに、NATO軍の機甲師団によって次々とバリスタは破壊されていき、残るのはフェサラーただ一人のみとなった。
「嘘だろ...誇り高き我が民族が...あんな低知能種族に負けるなんて......」
そう言い残してフェサラーは、戦車からによる砲撃でこの世を去った。
ーホルムストール教国 城塞都市 ダレスチェ 第二防壁前ー
守りの堅い第一防壁を難なく突破したNATO軍は、次第に中心部へと繋がる第二防壁が、NATO軍の前に顔を見せる。
「ここが第二防壁か......予想通りの防衛の堅さだな。」
そう言った戦車の車長は、無線で攻撃ヘリAH-64Dによる航空支援を要請する。
「こちら機甲師団。防壁にある兵器の解体を頼む。」
「了解、すぐに向かう。」
そう伝えると、上空から複数のプロペラの音が聞こえ始めた。
音が収まったかと思うと、防壁の前で停止し、今度はハイドラ70ロケット弾ポッドが火を噴き、防壁上にある戦略兵器を解体していった。
「いいぞ!もっとやれ!」
機甲師団の兵士達は、AH-64Dの活躍に興奮していた。
「俺たちも負けてはいられないな。」
「よし、おいしいとこを奪うなよ空軍。」
そう戦車兵が言うと、車列は門へと進軍を再開した。
第二防壁の硬い門は、AH-64Dによる航空支援によって破壊されており、車列は堂々と主要道路を通ることができた。
すると前方から、隊列を組んだ魔術師や召喚魔術師が並んでいるのが見えた。
「流石ホルムストール、魔術師の数だけは負けていないな。」
そう言うと、敵の防衛隊列の奥から突如、眩しい光りと一緒に巨大な何かが現れる。
「うぐっ!何だあれは!?」
前方を確認すると、石で作られた巨人がこちらを睨んでいた。
「ゴーレムか...」
すると、砲手はすぐさまゴーレムにむけてAPFSDS弾が発射される。
APFSDS弾は装甲貫通に特化した弾頭だが、ゴーレムに着弾して貫通すると思いきや、貫通せず、逆にゴーレムの喧嘩を買ってしまう。
「チッ、なかなかしぶといな」
そう判断した装填手は、榴弾を装填し、すぐに榴弾を発射した。
今度はダメージを喰らわせたので、ゴーレムは榴弾の爆発によってゆっくり倒れる。
すると今度は残った魔術師からの攻撃魔法の一斉攻撃が始まる。
「そんなんで俺らは潰せねえよ!」
それに応じて、戦車や装甲車にある車載機関銃が火を噴き、魔術師達の体に穴を開けていき、血飛沫を上げていく。
「よし、このまま進むぞ!」
そう判断した車長は、魔術師が倒れこんでいる目の前を進み始める。
それと同時に兵士を乗せた装甲車のドアが開き、 一気に降車した兵士達は市街地全域をカバーするように各方向に動きだす。
運悪く戦車や装甲車の無限軌道に踏まれた者は、形容しがたい苦しみや痛みで悲鳴を喚き散らし、その声は車内にまでも聞こえてきた。
「こりゃ掃除が大変になるな。」
そう車長がふざけるていると、中心部の広場へと続く階段から、軍から支給された剣を持った民兵達がこちらへと突撃してきた。
「残りの敵軍はそれしかないのか?」
戦車兵がそう言いながらも、車載機関銃であっという間に民兵達はその場で倒れる。
「車長、恐らくここにいる敵軍は制圧したのでは?」
「どうやらそうみたいだな。」
そう言うと、M1エイブラムス戦車のキューポラから車長が上半身を出して、周囲を双眼鏡で見渡した。
「車長、辺りの光景はどうでしょうか?」
「そうだな、全体的に見えるのは死体しかない。もはや死体なのかどうかすら見当がつかんものまである。」
そう言うと、車長の無線から連絡が入った。
「こちら歩兵部隊、確認したところ、ダレスチェにいる敵兵は全滅し、制圧したことを確認した。これより広場へと合流する。」
「こちら機甲師団了解、広場で落ち合おう。」
そう言い終えると、車長はキューポラを閉め、広場へと続く階段を他の戦車と共に向かった。
その後NATO軍の兵士達は広場で仲間同士お酒を酌み交わし、タバコをふかしたりして、この戦いでの疲れやストレスを消していった。
この攻略戦によって、オーラウト-NATO軍は敵の物資や施設を確保することが出来たので、付近に戦略的に重要な施設は無くなり、前線近くのホルムストール軍の半分は聖地の防衛のために移動しなければいけなかった。
だが、ホルムストール軍の大部分を防衛に当てた聖地が、数日後には火の海になることをまだ知らなかった。
ーアメリカ合衆国 ホワイトハウスー
その日の夜、アメリカ合衆国のホワイトハウスては、大統領は戦争がすぐにでも終わるように祈っていた。
するとスコット副大統領がドアを開ける。
「大統領、ホルムストール教国との戦況報告をしますけど、よろしいでしょうか?」
「ああ、別に構わない。」
そう言うと、副大統領はタブレットを大統領に見せた。
「現在陸軍と空軍による活躍によって、友好国のオーラウト王国の元国境まで押し返すことができ、さらには戦線付近にある城塞都市の攻略に成功し、ホルムストール軍のほとんどは聖地の防衛に回っています。」
大統領はタブレットを真剣な表情で見つめる。
「ですが、ホルムストール教国には多くの主要都市があり、それらを現兵力のみで全て攻略するのには約2カ月はかかるでしょう。」
そう言うと、大統領はいきなり口を止めさせる。
「待て、さっき全て攻略するには2カ月はかかると言ったか?」
「はい、そうですがなにか?」
すると大統領は、副大統領を驚かす発言をする。
「核ミサイルを使用するというのはどうだろうか?」
そう発言すると、副大統領は少し嫌な予感を感じた。
「い...いい案ですが...核ミサイルを使うというのは少しリスクが高いのでは...?」
「どういうことだ?」
「要は、核ミサイルを発射したことが他の人に知れ渡ると、世論から批判を受けることになります。」
「そうなるかも知れない、だが早いうちに終わらさければ。我が国は他の同盟国の援助をも借りて戦争しているのだ、どの国も本来なら戦争に参加はしたくないものだし、出来れば戦争に巻き込まれたくはない。」
「な...なるほど、了解しました。ではどこから発射しますか?潜水艦からの攻撃が陰密性が高いですが...」
「それにしてくれ。」
「了解しました。明日の夜までにはオハイオ級原子力潜水艦一隻を大西洋に派遣し、そこから、複数個別誘導再突入体を搭載したトライデント-IIを一発のみ発射するよう海軍に通達します。」
「了解した。」
そう言って副大統領は退出しようと思ったが、大統領はなにかを忘れたのかまた呼び出す。
「すまない、もう1つあった。この事はオーラウトにいるNATO軍にも伝えておけ。」
「はっ。」
そう言うと、副大統領は通達するために退出した。
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次回はいよいよ核ミサイルがホルムストールに落ちます!
次の章に関するアンケートです。異世界の国との展開はどうしますか?因みに日本は異世界の国々と国交を結んでいる条件です
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異世界の国が突如日本に宣戦布告する
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異世界の国が日本に反乱軍の鎮圧を要求する
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異世界の国に対し日本が宣戦布告する
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その他(日本じゃないどっかの国が舞台)