世界は戦争が多い異世界へと転移したようです 作:スターリニウム
たぶん書いた中では最多だと思います...
2036年1月9日午前9時頃
ーホルムストール教国 城塞都市ダレスチェ オーラウト-NATO軍前線司令部ー
あの大統領が、ホルムストール教国の主要都市に対する核攻撃の許可が出てから半日が経過した。
前線近くにある占領した城塞都市、ダレスチェにある広場を利用した前線司令部では、軍の高官が各分隊の分隊長を集め、重要な連絡が伝達されている。
ここには、カーソンが所属するオスカー分隊の分隊長グレイソンも連絡を聞いていた。
「────という訳だ、この事は分隊に所属する兵士全員にしっかり通達しなければならない。もし君達が連絡事項の1つでも何かしらの不備があれば、その翌日から諸君らを軍人という職から解雇処分する。いいな?」
「イエッサー!」
分隊長らは、まったく予想にもしなかった連絡に本心は疑っていたが、疑っても結局は連絡しなければならないので、その内容を熱心に聞いていたのだ。
とはいっても、まさか大統領があんな選択するものかと、NATO軍の大方の予想を覆すものだった。
そう思いながらも、分隊長たちは所属する兵士に連絡すべく、早足で自分らがいるところへと移動した。
ーNATO軍のテントがある広場にてー
その頃カーソンは、広場にある銅像前で分隊の仲間と楽しく会話していた。
「おいお前ら、いきなりだが、どっちを聞きたい?良いニュースか?それとも悪いニュース?」
いきなり話に割り込んできたグレイソンにカーソンは少し返事に戸惑ったが、良いニュースからまず聞くことにする。
「えっと...良い方からで。」
「良い方か?もうすぐでここでの戦争が終わることだ。」
「では悪い方は?」
「それを終わらすために核ミサイルを使うということが大統領によって決まったことだ。」
そうグレイソンが普通に言うと、カーソンは予想にもしなかった事に頭が混乱していた。
「へ...?今、核ミサイルって言いましたか?」
「そうだが何か?」
「い...いえ何も。」
カーソンは自分の聞き間違いなのではないかと思ってグレイソンに確認すると、普通に言っていたのでホッとしたのだが、核ミサイルを使うとは全く思いもしなかったので、カーソンは嫌な予感を感じていた。
「ならいい、その核ミサイルのことなんだが、どうやら海軍の潜水艦から一発だけ発射されて、そこから敵国の主要都市にばらまくという計画らしいそうだ。まあどのみち、俺らが活躍の場を見せつけれるのはミサイルが敵国に落ちて数日後なんだがな。」
グレイソンがそう言うと突然、別の分隊長からガスマスクが支給される。
「おいグレイソン、至急品のガスマスクだ。」
「おお、ありがとうな。」
そうガスマスクを手に取ると、グレイソンはカーソンに配りながら話を続ける。
「いいかお前ら、俺達は核ミサイルが発射した時から、主要都市の放射能が少なくなるまでの間は、ほんの少しだが平和な休日が過ごせる。だが放射能の数値が0だと分かった瞬間からすぐに連絡が来る、だからいつでも出撃ができるようにしておけ。いいな?」
「分かっていますよ分隊長。俺らはいつ戦ってもいいようにしっかりと訓練されていますから。」
「そうか、まあ少ししかない休日だ、一日を無駄にするなよ。」
「了解です。」
そう言うとカーソン達はさっきまでの会話に戻り、グレイソンは分隊長の集まりに参加してパーティーをすることになる。
同年1月10日午前6時前
ーオーラウト王国 ユトラータ港近海にてー
太陽が水平線から上り始め、少しずつ明るくなってきているこの時間、ユトラータ港近海の水面からは、アメリカ海軍所属のオハイオ級原子力潜水艦が、複数の核弾頭を搭載したトライデント-IIの発射準備をしていた。
潜水艦内は、発射に備えて最終確認が行われていた。
この潜水艦の艦長であるデイヴィスは、敵国に対する核ミサイルの実戦使用に気分が上がっていた。
彼は攻撃目標地点の市街地を見ていると、報告をしに来た船員が近くに来る。
「艦長、核ミサイル発射まであと3分を切りました。現在ミサイルは発射準備段階に入っており、午前6時には発射され、午前8時までには各主要都市に核弾頭が着弾する予定です。」
そう聞くとデイヴィスは、船員に対して冷静に言う。
「ほう、やっとあのおかしな宗教国家に爆風と放射能のプレゼントが出来るから気分が上がるよ。」
「そうですね、ここのところ最近ホルムストールが大陸を暴れていましたから、天罰を下すのには絶好のタイミングです。」
「だな、あいつらは俺達と同盟を結んでいるオーラウトに喧嘩を売るという時点で負けは確実だということを分かってなかったからな。」
デイヴィスは、宗教国家に対する核ミサイルの使用に最初から賛成していたのだ。
そのためか、普通の任務時よりもかなり気合いが入っており、船員は少し彼に引いていた。
「艦長、ミサイル発射まで残り1分を切りました。早く指揮室に行かないといけませんが...」
「そうだな、そろそろ行くとするか。」
そうデイヴィスが言うと、報告をしに来た船員と一緒に指揮室へと向かっていった。
指揮室内は、かなりの船員が集まっていて、ほとんどがミサイル打ち上げを見に来ており、一部のモニターにはベイト・カーメル含め攻撃予定の主要都市、8都市がモニターに映っていた。
「ミサイル発射まであと30秒!」
そう船員が声を大きく言う。
「いよいよだな。」
「そうですね、今私は、歴史の転換点にいるような気分です」
そう言うと、艦長は静かにミサイル発射をモニターから見守る。
「発射まで10秒!9 8 7 6」
「5 4 3 2 1 発射!」
発射と言ったのと同時に、潜水艦発射弾道ミサイル・ハッチが開き、トライデント-IIが発射された。
トライデント-IIは高圧蒸気を出しながら海面から出て、その後すぐに3段式ロケットの1段目が点火し、予定通りの流れに入ることができた。
「1段目ロケット点火を確認!敵国の方角へと移動を確認!」
そう船員が言うと、ミサイルは順調に敵国ホルムストールの方角へと向かって飛んでいく。
発射されて1分が経過すると、ミサイルは高度が約1000キロメートル上空に達していた。
「2段目分離!3段目着火!」
この報告を聞くにつれて、デイヴィスは段々と笑顔になってきていた。
(早く着弾してくれないだろうか...)
このあとミサイルは、幾度か軌道修正を行い、ミサイルはホルムストール教国の領土上空約1000キロに入った頃には数十分が経過していた。
「予定の軌道に投入を確認、これより、8個の核弾頭を主要都市に投下する。」
そう言うと同時に、ミサイルから8個の核弾頭が切り離され、それぞれ別方向にある都市へと投下した。
そして、ホルムストール教国にとって地獄の時間は、今まさに始まろうとしていたことは知る由もなかった。
ー同日午前7時半 ホルムストール教国 聖地ベイト・カーメル 住宅街地区ー
これから晴れのち爆風に変わるホルムストール教国の聖地ベイト・カーメルでは、在住する軍人から住民まで、仕事や学校の準備をしていた。
その住宅街にある家には、とある一人の男が教国のために魔法学校に通っていた。
「さてと、早く行かないと待ち合わせに遅れてしまう...」
そう言いながら彼は、家の扉を素早く開けては閉めた後、待ち合わせ場所へと足を速める。
その男の名前は、テランス・ツヴァイン。髪色は赤色、瞳は水色をしており、愛称をテランと呼ばれている。
テランは真面目で、他の魔法学校生に比べると魔術の上達速度がかなり早く、周囲からは百年に一人の逸材と呼ばれているが、ただひとつ『ツキがない』という欠点があった。
なにしろ最初の魔法修得の際に事件を起こすほどで、これまでに十数回も事件を経験し、魔術学校近くの街が巻き込まれるような事件を起こすことがあるくらいだ。
そんな彼も魔術に関しては優秀ということに変わりはなく、彼は他の魔法学校生に魔法の修得方法を教えているのだ。
足を速めていた彼は、近くに停まっていた馬車で移動することにする。
「あのすみません、ちょっと市場が行われている所までお願いできますか?」
「ああ市場ね、いいぞ、さあ乗れ。」
たまたまその馬車の馬を操る人が優しかったので、テランはすぐに馬車に乗り、馬車は市場が開かれている所まで移動をする。
「君は魔法学校生なのか?」
「はい、そうです。」
「広場で待ち合わせしているのか?」
「はい。」
「そうか。」
テランと馬車の馬を動かす人との短い会話が終わると、数十秒後には市場前には到着していた。
「ありがとうございます。」
そう言うとテランは、馬を動かす人に銅貨10枚を渡して、待ち合わせ場所へと一目散に向かった。
ここはフロイント2世の名がつく広場であり、宮殿からすこし離れた所にあるフロイント広場には、一定期間に開催される市場で人が多く、ここの住民は待ち合わせの際、巨大なフロイント2世の像を目印に集まっているのだ。
テランも同様フロイント2世の銅像前を探索していると、誰かが遠くからテランに声をかけてくる。
「おいテラン!こっちだ!」
声をかけてきたのは、髪色が茶色の男だ。
「よお、フレーゲス遅れてすまない!」
「テラン、相変わらずの遅刻だな。」
「わりぃ、ちょっと道が混んでてな。」
「ああそうかい、じゃあ行くぞ。」
そうフレーゲスが言うと、魔法学校方面へと向かって歩き始める。
今テランがいる地点と魔法学校までは歩けば3分で着くので、二人は余裕そうに呑気な会話をしていた。
「テラン、今日は魔法修得の試験だぞ、くれぐれも事故らないようにしとけよ、ツキがない人。」
「ツキが無くて悪かったな。でも俺のほうが上達のスピードでは誰よりも勝っているぜ。」
フレーゲスがそう警告するが、テランの返しにフレーゲスはムキになる。
「あのな、上達のスピードが早けりゃいいってもんじゃないんだぞ。」
「はいはい、それは分かってますよ。」
といった会話が学校の門に着いてからも続いていた。
門前では、たくさんの魔術学校生が椅子に座りながら会話したり、それぞれの魔法学校生が技を競いあったりしている。
「今日も刺激的な一日が始まりそうだよ。」
そうテランが何気なく言うが、このあと本当に
魔法学校の門をくぐり抜けると、テランはふと空を見上げる。
空を見上げると、遠くからなにか光っているのが見えた。
「おいフレーゲス、空からこっちに向かって光るなにかが見えるんだが...」
「なんだよそれ、どうせお前の幻覚だ......え?」
フレーゲスも空を見上げると、確かに光るなにかがこっちに向かっているのが見える。
付近の魔法学校生や住民も、その光に気づき、空を見上げる。
「何だよあれ?」
「なんか不吉な予感がするけど...」
「神がこの世に降臨したのか?」
魔法学校生や住民が一人一人不安を口にする。
だが見ているうちに、光るなにかは魔法学校を通過しそうで、付近の人々は光るなにかに目を追う。
そして魔法学校の上空を光るなにかが通過した。
その速度はかなり速く、あっという間に魔法学校を通過し、ついにはホルムストール教国の政治の中心である宮殿の近くまで飛んでいた。
だがそこでテランは、あることに気付く。それは、あの光るなにかは宮殿近くに目掛けて少しずつ高度が下がっていることを。
「おい、まさかオーラウトが開発した兵器じゃないよな?」
テランはそう口に出すが、フレーゲスには聞こえなかった。
そして次の瞬間、光るなにかは、いきなりピカッと眩しくなり、あまりにも眩しくて人々は目を手で覆う。
数秒経つと、眩しくなくなったので手を広げると、そこには見たこともない巨大なキノコ雲が上っていた。
すると、すぐ近くで雷が落ちたような轟音が鳴り、人々はパニック状態になった。
「う、うわあああああ!!!隠れろおおお!!!」
一人の住民がそう叫ぶと、人々はすぐさま近くの建物に隠れ、住民は開けていた木の扉をすぐに閉め、魔法学校生も学校へと逃げ始める。
「お、おい俺らも隠れるぞ!」
テランがそう言うと、テラン達は魔法学校生達と一緒に学校へと逃げ始める。
すると後ろから、熱い風がものすごい勢いで建物を破壊し始め、周囲に瓦礫が散乱する。
それと同時にテラン達魔法学校生も熱い風に吹き飛ばされ、かなり熱いのを感じたのを最後に衝撃で気を失う。
「う......いてぇ......」
あの爆発から約30分が経過していた。テランは気が復活したが、あの衝撃の痛みはまだ少し感じていた。
彼は、核弾頭の爆風によって魔法学校の瓦礫の下敷きになっており、足をかなりケガしていた。
「フレーゲスのやつはどこに行ったんだ?」
そう言うとテランは、上達したばかりの風魔法を起こして瓦礫を飛ばし、瓦礫から出るとケガをしている足部分に治癒魔法をかける。
「ふぅ......これで大丈夫だな...」
そう安心すると、近くに下半身がえぐれている人の死体があるのを見つける。
「...あれ?もしかしてフレーゲスじゃね...?」
そう言うと、その死体に近づいて確かめる。
死体をよくみると、顔は分かるが、皮膚はかなり火傷をしていて、服はボロボロ、腕は爆風と熱による影響で赤黒くなっており、見るだけでも痛く感じる。
「お......おい嘘だろ...俺の友が...まさかこんな目に遭うなんて......」
テランはあまりにも突然な友との別れに、涙を隠せず、死んだフレーゲスの前ですすり泣いた。
アメリカ軍による核ミサイルの実戦使用によって、聖地ベイト・カーメル含め8つの都市が復旧困難なダメージをくらってしまい、結果的に数百万人の住民や兵士が死亡した。その中には、教皇のフロイント2世や、ホルムストールに味方したオーラウト人も含まれていた。
その影響で、ホルムストール教国は無政府状態になり、ソヌヴァ戦線は圧倒的にソヌヴァ連邦が有利になり、戦争中の間停滞していた神聖タルガリア戦線も動き始めたのだった。
同日午後12時頃
ーアメリカ合衆国 ホワイトハウスー
核ミサイルが実戦運用されておよそ5時間が経過した頃、ホワイトハウスでは大統領が核ミサイルの報告を静かに待っていた。
「失礼します大統領。」
そう言いながら入ってきたのは副大統領だった。
「はぁ...何だ君か。驚かさないでくれ。」
「すみません。」
「まあいい、核ミサイルの戦果を教えてくれ。」
「はっ、今回ホルムストール教国にある8つの主要都市を核ミサイルによって攻撃しました。その結果、聖地ベイト・カーメルの建物の過半数が破壊あるいは半壊しており、死亡者数は合計しておよそ920万人と推定されています。」
副大統領は報告を続ける。
「ですが、我々の核攻撃によって教国は無政府状態になっており、降伏文書に調印してくれるかどうかはわかりません。」
「まあいい戦果じゃないか。せっかく厄介な国を無政府状態にすることが出来たんだ、さあ飲め。」
大統領がワイングラスを副大統領に差し上げた。
「はい、では喜んで。」
「アメリカ合衆国に万歳!」
そうワイングラスを乾杯しながらホワイトハウスは戦勝を祝った。
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次回は降伏した後の話を書く予定です。
次の章に関するアンケートです。異世界の国との展開はどうしますか?因みに日本は異世界の国々と国交を結んでいる条件です
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異世界の国が突如日本に宣戦布告する
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異世界の国が日本に反乱軍の鎮圧を要求する
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異世界の国に対し日本が宣戦布告する
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その他(日本じゃないどっかの国が舞台)