世界は戦争が多い異世界へと転移したようです   作:スターリニウム

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第四章 転移国家の野望
第24話 国家安全保障会議の裏で...


2036年1月23日午前10時頃

ー日本国 総理官邸 大会議室ー

 

あの異例な記者会見から丸一日が経過した。

 

日本国内は、記者会見で発せられた宣戦布告というワードに全国が戦慄した。

 

SNS上では記者会見に関するツイートが多数のせられており、日本全国が混乱し恐怖感を味わっていた。

 

そのせいか、一部の自治体では戦争に備えてやたらと食料品や衣服等を安全な地下に蓄えるといった予想にもしなかった事態が発生している。

 

そんな混乱の最中、東京の総理官邸の前は、記者会見から翌日の今日でもマスコミが集っていた。

 

何故ならここ、総理官邸で、対異世界国家安全保障会議が現在行われているのだ。

 

この会議には、総理大臣の堀谷隆太や、官房長官の辻谷尚宏、外務大臣の切通優維(きりとおしゆい)、異世界開発庁長官の上津原寛典(うえつはらひろのり)、更には国防大臣の新塚達幸(にいづかたつゆき)の5つの行政機関が参加しており、その顔は、皆固い表情をしていた。

「それではただ今から、対異世界国家安全保障会議を開幕します。まずは国防大臣からご報告があります。」

 

会議の最初は、新塚国防大臣の報告から始まった。

 

「ええそれでは報告します。昨日の昼頃、ケレジウス大陸にある、キルーシュカ魔法連合王国に近い国の、アーテリカ王国から515キロ離れた海域を偵察飛行していたRF-4EJ偵察機の件ですが、報告によると、どうやら海上に巨大な船影が発見されており、更にそれより一回り小形な船影があったと報告されていました。」

 

国防大臣の話を聞いている者は、顔が強張りながら聞いている。そこに堀谷総理が口を出す。

 

「国防大臣、因みにその巨大な船影とやらの詳細を映した画像は残っているのか?」

 

「はい、こちらがその画像です。」

 

そうスクリーンに映し出された画像は、海面を割るかのように進んでいく船影が鮮明に映されている。これを見た総理や官房長官、そして他の大臣は幼児のように目を丸くしていた。

 

すると、国防大臣は、木で出来た船の甲板にズームインする。

 

「この船には共通して、砲塔が確認されていますが、ご覧のとおり4連装砲がついた砲塔が3つ搭載されています。しかも煙突らしき所からは、赤色の排煙が排出されているのが分かるかと思います。」

 

「4連装砲が3つ搭載してある船で赤色の排煙を出す船だと?そんな技術力がある異世界の国はあるわけがな......」

 

すると、総理大臣は何かを思い出したのか、いきなり考え事をする。

 

「...ん?もしやあいつらか!」

 

「総理、あいつらとはいったい何のことで...はっ!てことは...」

 

「そういうことだ、この巨大な船影とそれを護衛する船の群に、煙突から出てくる赤色の排煙、これは恐らく宣戦布告してきたばかりのキルーシュカ魔法連合王国が所有する軍艦ではないだろうか。」

 

そう総理が言うと、官房長官や大臣の不安が顔に汚点のようにくっつく。

 

すると、そこに異世界開発庁長官が口出しをする。

 

「そ...総理、いくらあの国の魔法の発展がすごくても、流石にあの船を造船出来るくらいの技術力はないかと...」

 

「じゃあ聞くが、赤色の排煙を排出する船に、戦艦のような巨大な砲塔が3つ、こんな船が造れる可能性がある国は魔法連合王国の他に何がある?君なら分かるはずだ。」

 

総理大臣が異世界開発庁長官に向けて言うと、なにも返せなくなったのか、そのまま黙った。

 

「...国防大臣、説明を続けよう。」

 

「は、はい。その軍艦に関することですが、もし総理大臣の許可が下りれば、あの軍艦に対して攻撃を行うことが出来ます。ですが相手は戦艦ですので、それなりに装甲が厚いでしょう。なので我々の攻撃に効果があるかどうかは不明瞭です。」

 

「うむ...どのみち友好国のアーテリカ王国を助けなければならないだろう。あの技術力から想定すれば確実にアーテリカ王国は壊滅的な被害を負うし、最悪の場合はアーテリカ王国そのものが消滅するだろう。で、用がすめば次にこっちが狙われるというわけだ。だから助けないと我が国の安全を脅かすこととなる。」

 

堀谷総理は、アーテリカ王国を魔法連合王国に占領されれば、魔法連合王国のケレジウス大陸支配のための橋頭堡になり、いつかはケレジウス大陸が魔法連合王国の植民地と化するだろうと思っていた。

 

すると、国防大臣が結論を迫るかのように話を作った。

 

「総理大臣、ご決断をお願いします。」

 

「うむ...魔法連合王国の軍艦に対する戦闘を許可する。」

 

「了解しました。」

 

その後も会議は続き、会議はおよそ5時間で終了した。

 

 

同日1月23日午前11時頃

ーケレジウス大陸 アーテリカ王国 近海にてー

 

日本国が、唐突の宣戦布告によって混乱していた頃、アーテリカ王国の近海では、一際大きな船が海面を割りながら前進していた。

 

空は青く澄んでおり、視界もかなり良好だ。

 

キルーシュカ魔法連合王国の超弩級戦艦、『ラフザー・アクベンス』とその護衛は、これからアーテリカ王国の戦列艦艦隊と戦闘するのだ。その数、およそ1900隻。列強と比べると少ない数だが、これでも王国にある全ての軍港からかき集めたのだ。

 

超弩級戦艦『ラフザー・アクベンス』で特徴的なのは、なにより四連装魔導砲が船に3つ搭載されていることだ。

 

主砲である四連装魔導砲の口径は38cmで大和と比べると小さいが、この38cm魔導砲が1つの船に12門、副砲の三連装15.2cm魔導砲4基も含めると計24門もあるので、数の暴力とも言える。おまけに対空能力にも秀でており、連装対空10cm魔導砲8基、13.2mm四連装機関魔法銃4基という、この船だけで国を滅ぼせるような威力を持っており、まさに動く要塞というニックネームに相応しい戦艦だ。

 

そんな動く要塞の戦艦の艦長、アルゲーディは、これから対決するアーテリカ王国の戦列艦艦隊に対して不安を抱いていた。

 

「アルゲーディ殿、現在敵の本軍はここから約20km離れています。主砲と副砲ともに装填が完了し、いつでも撃てるような状態にしてあります。」

 

「そうか、ご苦労だったな。ちょっと君に聞きたいことがある。」

 

「はいアルゲーディ殿、何でしょうか?」

 

「君はこの海戦で、我が軍が勝つ勝算は高いと思うか?」

 

「はい、そもそも国王の名が由来の超弩級戦艦であるラフザー・アクベンスは、あんな木造船の集団なんかに負けはしません。まああの艦隊の艦長なんぞ雑魚で、髭が取り柄しかないだけでしょうから、あいつらは仲間割れしますよ。大勝利間違いなしです!」

 

「そうか、君の言葉で勝機が上がった。」

 

そう言うとアルゲーディは、魔通信を使って各船員に対して士気高揚させるような話をする。

 

「全ての船員に告ぐ。まもなく、我々キルーシュカ海軍遠征艦隊は、アーテリカ王国の戦列艦艦隊と交戦する。これまでの訓練の成果を発揮する日だ。皆、いつでも戦えるようにしとけ。」

 

そう言うと、歓声が聞こえる魔通信から、ため口のような声が聞こえてくる。

 

「ああ!任せとけ!アーテリカ王国海軍とかいう戦列艦の集団なんか余裕で蹴散らせれるわ!」

 

「意気込みは素晴らしいが、言葉には気を付けろ。」

 

そうアルゲーディが言うと、魔通信をオンにしたままにし、そして、戦列艦艦隊からの距離があと15km切ったところで、奮い立つようなしっかりとした声を言い放つ。

 

 

「総員!戦闘開始!!」

 

 

その言葉によって、アーテリカ沖海戦が始まった。

 

 

同じ頃

ーアーテリカ王国 戦時戦列艦艦隊 旗艦アーテリアー

 

その頃、アーテリカ王国海軍の戦時戦列艦艦隊は、本部の指示を受けたので、その船(ラフザー・アクベンス)を沈没させるべく出撃していた。

 

この戦時戦列艦艦隊の主力艦であるアーテリア級戦列艦は、魔導砲100門というそこそこの性能な軍艦だが、その安定性のある速度とバランスで、改装されながらもアーテリカを護ってきたのだ。だがこの後、予想にもしない距離からの攻撃によって木っ端微塵にされるのをまだ知らなかった。

 

このアーテリア級の旗艦である『アーテリア』には、艦長の他に艦隊指揮官も同乗していた。

 

しばらく進んでいると、乗組員の一人が叫んだ。

 

「北西の方向に敵と思われる軍艦を発見!しかもかなり大きいです!」

 

そう乗組員が言うと、皆は北西の方向に目を動かす。するとそこには、巨大な塔みたいなのがはっきりと見えていた。しかも大きさは王国の戦列艦を余裕で超えている。

 

「おい、まさかあれと戦うわけじゃないよな...?」

 

「多分、あれは違うかもしれない...」

 

そう言った瞬間、ラフザー・アクベンスの四連装魔導砲が火を噴くのが見えた。

 

「敵の攻撃だ!全艦回避ぃ!」

 

そう指揮官が魔通信で呼び掛けるが、その時にはもう遅かった。

 

「戦列艦ニヴェーレ被弾!」

 

そう魔通信士報告すると、戦列艦ニヴェーレは激しく爆発しながら燃え、木片や肉片を撒き散らしながらゆっくりと沈み始める。

 

「せ、戦列艦ニヴェーレ轟沈!」

 

「くそっ!やっぱりこうなるか!」

 

指揮官が焦燥しながら言うと、魔通信から連絡が入ってきた。

 

「指揮官!このままでは我々アーテリカ王国戦列艦艦隊は消滅します!一刻も早く撤退をって、うわああああああ!!!!」

 

「戦列艦ザウラク通信途絶!恐らく敵の攻撃を受けたかと思われます!」

 

「.........」

 

指揮官は、船上から間近に見ている地獄絵図に言葉を失っていた。

 

(我々アーテリカ王国は、あの魔法連合王国に好き放題にされる宿命なのだろうか...)

 

そう思うと、彼は無理矢理声を魔通信に向けて張り上げる。

 

「全艦艇に告ぐ!総員撤退!撤退!海域から撤退せよ!」

 

するとすぐさま、アーテリア級含め残留戦列艦は、王都へと帰還するためにその方角に全速力で移動を開始する。

 

だがその船(ラフザー・アクベンス)の攻撃はまだ収まらず、撤退するために急ぎに急いでも攻撃は続き、戦列艦艦隊は500隻に減少していた。

 

「全艦回避運動しながら撤退しろ!あの砲弾が直撃すると死ぬぞ!」

 

そう指揮官が言うと突然キルーシュカ魔法連合王国海軍からの攻撃が止んだ。艦長は、一体何が起きているのか分からなかった。

 

「か...艦長、敵の攻撃が止まりました。我々は神からの助けが我々を味方にしたのでしょうか?」

 

「いや、分からない。だがあの無敵軍艦からの攻撃が止まったのは有難いことだ。まああんな無敵軍艦が我が王国の領土を直接攻撃するともなると、恐怖でしかないんだが。」

 

戦列艦に乗る乗組員は、笑い事では済まない話でしょうにと思った。

 

王国海軍の軍港からかき集めて結成した戦時戦列艦艦隊は、超弩級戦艦『ラフザー・アクベンス』の全力攻撃によって、およそ1400隻を海の中に葬った。

 

この熾烈な戦いは、後に日本国が参戦するきっかけを作ることとなった。

 

 

ーアーテリカ王国近海 超弩級戦艦『ラフザー・アクベンス』司令塔

 

「アルゲーディ殿、敵の本軍は我々の攻撃によって、撤退しています。」

 

「よし、攻撃を止めろ。」

 

そう魔通信に向かって喋ると、戦列艦艦隊の方向を向いていた砲塔は、元の位置に戻ろうとゆっくりと動き出す。

 

すると、一人の若い男が艦長に何かを報告しに近寄ってくる。

 

「アルゲーディ殿、何故攻撃を止めるのですか。」

 

「いいか、君の気持ちも良く分かる。だが撤退している相手に向かって攻撃を続けるのは失礼とは思わないか?そんなことをすればただの一方的な虐殺だ。」

 

「ですが──」

 

「ですがじゃない。君はそこら辺の大陸にいる国家みたいな野蛮な考えを持っている、それに気を付けろ。」

 

「りょ、了解しました。」

 

そう言うと、若い男は深いため息をつきながら司令塔を出た。

 

それと同時に、アルゲーディは魔通信を使用し、全艦艇に帰港を呼び掛ける。

 

「キルーシュカ魔法連合王国海軍遠征艦隊の全艦艇に告ぐ、本拠地へと帰港する。」

 

こうして、アーテリカ王国近海での戦いは、キルーシュカ魔法連合王国の勝利に終わってしまった。この結果、キルーシュカ魔法連合王国はアーテリカ王国近海の制海権や制空権を獲得し、キルーシュカ魔法連合王国の上陸はもはや時間の問題となるのだった。




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次回は日本国国防軍が登場する予定です。

次の章に関するアンケートです。異世界の国との展開はどうしますか?因みに日本は異世界の国々と国交を結んでいる条件です

  • 異世界の国が突如日本に宣戦布告する
  • 異世界の国が日本に反乱軍の鎮圧を要求する
  • 異世界の国に対し日本が宣戦布告する
  • その他(日本じゃないどっかの国が舞台)
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