世界は戦争が多い異世界へと転移したようです   作:スターリニウム

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投稿が遅れてしまい申し訳ありません。

詳しい情報等を調べに調べてたので結果かなり遅れました。




第27話 魔法連合王国上陸作戦の準備

2036年1月27日午前9時

ーアーテリカ王国 王都アーテリア 王城にてー

 

アーテリカ王国にとって重要な海運都市エスパリスを目標にした、魔法連合王国の上陸作戦から2日が経過した。

 

アーテリカ王国の王都アーテリアにある王城の謁見の間では、日本国総理大臣の堀谷隆太と、アーテリア王国国王アルフィルク8世が会談をしている。

 

会談の内容は主に、国防や、実行予定の魔法連合王国上陸作戦に関することなどだった。

 

「この度は、アーテリカ王国に魔法連合王国が足を踏み入れるのを予知できずに我が国が許した事は申し訳ございません。」

 

「いえいえ、別に構わないですよ。魔法連合王国が我が王国に上陸を仕掛けてきたのは我々が会談が終了した直後だったので仕方がないことです、なのでご心配なく。」

 

「お気遣いに感謝します。」

 

「は、はい。」

 

「では早速本題へと移りましょう。」

 

そう堀谷総理が言うと、彼は事前に用意をしていたタブレットを国王に見せた。

 

その画面に映っているのは、魔法連合王国本土の画像が映されており、所々に赤い点があるのは重要な占領地点を表していた。

 

「こちらは魔法連合王国の本土の画像です。先の会議で既にご存じかと思われますが、我々日本国はこの魔法連合王国本土への上陸をしようと考えています、国王もこの作戦に同意しますでしょうか?」

 

アルフィルク8世は少し頭を捻るが、すぐに決断をする。

 

「まあ同意はします。ですが日本国が指定する上陸地点は一体どのような環境なんですか?」

 

「具体的に言うと、上陸地点である南西部の砂浜は機関銃や魔導砲のトーチカで堅く防衛されており、その砂浜には無数の地雷が埋設してあることが確認されています。我々が上陸する地点はこの砂浜一帯に上陸をするつもりです。」

 

アルフィルク8世は、何故これほど危険な場所にわざわざ上陸させるのかが気が気じゃなくて仕方なかった。

 

「ちょっと待ってください。何故これほど防御されている場所を選択したんですか?もしかして砂浜を大軍勢で押し切るとかじゃないですよね?」

 

「これは最近になって判明したことなんですが、実は魔法連合王国の本土にあるほとんどの海岸にトーチカや海岸砲が設置されているんです。ですからどこを選択しても結局は機関銃や魔導砲の砲火に兵士達は晒されます、なので他と比べれば比較的防御が薄い南西部を選択したわけです。」

 

そう説明してもアルフィルク8世はまだその地点に上陸させることに懐疑的だった。

 

「ですが、その鉄壁とも言えるような防御線はいったいどのように攻略するつもりですか?」

 

「まず作戦開始日当日の深夜の時間帯を狙い、誘導地中貫通爆弾を搭載した爆撃機2機と、誘導爆弾や対空ミサイルを搭載した戦闘機5機を向かわせて厄介なトーチカを破壊します。対空ミサイルは敵の迎撃部隊に対して使用するつもりです。そして予定の朝には強襲揚陸艦や輸送艦を砂浜近くに移動し、トーチカ跡にヘリコプターで兵士を上陸させて南西部の砂浜一帯を占領した後に、橋頭堡を築くといった所ですね。」

 

そう説明すると、アルフィルク8世はさっきとは打って変わって感心しだした。

 

「なるほど...これはとても戦略的かつリスクが少ない方法ですね、やっぱり日本国なしに魔法連合王国には勝てませんよ。」

 

「そ、それはどうもありがとうございます。」

 

(なんか思ってたよりも時間掛かったな。)

 

するとアルフィルク8世は、堀谷総理に励ましの言葉を掛ける。

 

「きっと日本国が作戦を指揮すれば大陸に再び安全な日々が戻ります。ですからこの事を伝えればケレジウス大陸の全国家がどんなことでも協力してくれます。なにしろ大陸中の脅威である魔法連合王国を打ち砕けるのは日本国しかありませんから。」

 

「そうですか...なんか色んな人々を助けている感じがしてとても精々します。」

 

そう堀谷総理が言うと、国王アルフィルク8世は座っていた座席から起立しだす。

 

「さあ総理大臣殿、もうすぐ昼なので昼食はいかがですか。本日は王国の閣僚も招待しているので様々な話が出来ると思います。」

 

「はい、ありがとうございます。」

 

国王と総理は昼食を摂るべく謁見の間から退室した。

 

同日午後4時

ーアーテリカ王国 海運都市エスパリスにて-

 

何の予告もなしに始まり結果失敗に終わったアーテリカ王国本土への上陸作戦の傷跡は、2日が経った今日ですらまだ残っていた。

 

魔法連合王国海軍による市街地全体への猛砲撃によって、一帯は灰と化し、港は運良く軽傷で済んだものの、市街地のほとんどは荒廃していた。砲撃によって散らばった瓦礫を片付けたり、傷付いた石畳の道路にある死体かどうか分からないものを回収する住民がちらほらいるなか、海軍港では歴史上見たこともないような数の兵士達が集まっていた。

 

理由は来月の2日に行われる、日本主導の魔法連合王国本土への上陸作戦のために、日本国だけでなく、アーテリカ王国などのケレジウス大陸に所属する国から志願、あるいは徴兵されてきた兵士達が、予め日本国国防海軍が用意した揚陸艦等に乗船するためにここに集結しているのだ。

 

港では様々な国籍出身の兵士達が日本製のヘルメットを被っており、その顔や表情は様々だった。

 

その人混みの中には、二人の若い男性が海を眺めながら何か会話をしていた。

 

「ついに噂で聞いた日本国の海軍のお出ましか、なんかわくわくするな。」

 

「だな。聞いた話だと、日本国よりもアメリカという国のほうが技術力が高いし数も多いらしいそうだ、ただでさえ日本は技術力の差がすごいのにその上がいるとはな...まったく次元が違うよ。」

 

そう話しているのは、アーテリカ王国の西に位置する国、イルト国出身のハーフエルフのセルカとシェアトだ。

 

イルト国は多くの民族が共存している国家なのだが、この国に住んでいるハーフエルフは人間の次に多い人口を持っているにも関わらず地位は低い。そのため人間の統治者が若い男性や女性のハーフエルフを対象に徴兵を行い、その結果一部のハーフエルフが今回の魔法連合王国上陸作戦へと送り出された。その数、およそ5000人。この中にも彼らは含まれていた。

 

「にしても、いくらなんでも俺らを徴兵するなんて流石にないだろ。」

 

「多分人間の統治者が俺らを邪魔者だって思ってるんだよ。まあいつかはこんな扱いを受けるだろうて思ってたし別に構わないのだがな。」

 

そうシェアトが言うと、水平線から船影が複数見えてきた。

 

「あれが日本国の海軍か...なんか思ってたよりも数が少ないな。」

 

セルカは船影を見てふと呟くが、ここにいる誰もがそう思っていた。

 

列強でなくても、ケレジウス大陸の全国家は、海軍は数で勝負するという考えが定着しているのだ。そのせいか日本国が派遣した艦隊は自国の艦隊と比べても小さく見えているのだ。

 

すると、日本国国防陸軍の担当らしき男が拡声器を口に近づけると日本語で指示をする。

 

「多国籍から来た兵士の皆さん、まもなく搭乗する船が港に到着します。くれぐれも足には気を付けてください。それと搭乗する際は列を乱さないようお願いします。」

 

「もう来るのかよ速いな。」

 

そう言うと、彼らは下に置いていた89式自動小銃を手にした。

 

すると、最初の船が到着したのか人混みは船の方向に動き始め、二人もそれに釣られるかのように動き出す。

 

「かなりデカイな...噂通り一門だけの船もあるが、俺らが乗る上が平らな船ってもしかしてあれか?」

 

「そうみたいだな。だが、上についているあれは一体何なんだ?」

 

それを見ると、上には鋼鉄のワイバーン(F-35B ライトニング II)が均等に置かれているのが見えた。

 

「あれか?どうやら日本国の航空戦力らしいそうだが、見るからにワイバーンより強くて速そうだ。」

 

「ていうか、そもそもあれはワイバーンとは言えないだろ。」

 

そう二人が会話していると、彼らが搭乗する船に近づいてきた。

 

日本国国防海軍が所有する強襲揚陸艦『さつま』型は、日本国国防海軍所有のF-35Bを10機だけ配備しているのみだが、各種ヘリコプター20機の配備が出来る能力がある強襲揚陸艦だ。

 

更にこの強襲揚陸艦は戦闘員約2500名を戦地に送り込むことができ、おまけにLCACエアクッション形揚陸艦とAAV7水陸両用強襲輸送車約10輌を搭載することが出来るという優れものだ。

 

しばらく中を進んでいると、かなり広大な部屋に入った。

 

そこはLCACやAAV7を収容しているウェルドックで、現代人から見てもやはり驚いてしまうくらいの広さを持っている。

 

「す...すげぇ、これが噂のヨウリクカンってやつか?」

 

「ヨウリクカンって何のことかわからないが、とにかく強いに違いないだろう。」

 

そう言うと二人は船内を更に進んで、F-35Bが待機している甲板へと向かった。

 

到着すると、辺りは兵士達で溢れており、その中には同じイルト国出身の兵士もいた。

 

するとセルカがシェアトに声を掛ける。

 

「なあシェアト、あの鋼鉄のワイバーンは日本国の兵士に聞いたらどんなレーダーでも探知しづらい素材で塗装してるって言ってたぜ。」

 

「それ本当か?日本国とはいえど、流石にレーダーに見つかりにくい戦闘機なんて有り得ないだろ。」

 

シェアトはレーダーでも探知しづらい事に耳を疑ったが、そうなるのも無理はなかった。なにしろレーダーさえあれば悪天候であろうがどんな飛行物体でもレーダーに映るし、更に言えばレーダーの監視網からは逃れられないと考えていたのだ。

 

「そのレーダーに探知しにくい素材って何で出来てるんだろうな。」

 

「さあな、それを聞いたら国家機密だから教える事が出来ないって言ってたし、それが完全に理解出来るのには数百年はかかるんだろうな。」

 

「もしかしたら数百年掛かっても解明できないかもな。」

 

そう言うと、二人は強襲揚陸艦内にある到着するまで泊まる部屋に向かった。

 

日が水平線に沈み始め、空が夕焼けに染まる午後6時頃、イージス護衛艦『こんごう』数隻と強襲揚陸艦『さつま』3隻と、もうじき参加予定の原子力空母『あしたか』で構成される敵地上陸打撃群は、アーテリカ王国のエスパリスから出港の汽笛を鳴らして魔法連合王国へと向かった。

 

こうして、転移国家と転移国家同士による熾烈な戦いまでのカウントダウンは着々と進んでいった。

 

そして、平和を取り戻す戦いが、始まる。

次の章に関するアンケートです。異世界の国との展開はどうしますか?因みに日本は異世界の国々と国交を結んでいる条件です

  • 異世界の国が突如日本に宣戦布告する
  • 異世界の国が日本に反乱軍の鎮圧を要求する
  • 異世界の国に対し日本が宣戦布告する
  • その他(日本じゃないどっかの国が舞台)

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